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匠と工業生産

皆さん、こんばんは!


この週末は素晴らしい天気の休日でしたが、いかがお過ごしだったでしょうか?
私は、久しぶりに家内と猫の額ほどの雑草で生い茂った庭の手入れをしていました。
日頃の運動不足で体中が筋肉痛でしたが、いまバリカンで刈り上げた様な庭を見ながら、
気持ち良く、キーボードを指で滑らせています。


生け垣なども、部屋からの見映えを考えながら
どの様に刈り込んでみようかと、
結構、それなりに綺麗に整ってくると全体のバランスが気になったりします。
やりながら庭師というお仕事もアート性が必要なんだな。。等と考えたりしていました。


昨日の日経朝刊トップページに「ご当地アパレル、芽吹く」という記事が掲載されていました。熊本県の大手アパレルメーカーの下請けだったアパレルメーカーのオリジナルブランドのデザインシャツが、大量生産品にはない品質や商品へのこだわりから、インターネットの普及も相俟って、ファンが増加しているそうです。


今治タオルをはじめ、全国で新潟ニット、長崎シャツ、秋田県産のポロシャツ等が一斉に芽吹きだしているそうです。そう言えば、今年の3月に繊維で栄えた富士吉田に行った時にも、国産ネクタイメーカーが糸づくり、生地織りからデザイン、仕立て迄の技術を活かし、オリジナルの風合いある洋服、バッグ、リネン等へ業態転換した話しを聞きました。


甲府にも、その様なアパレルメーカーがあると家内が言っていたのを思い出しました。
確かに大量生産品ですと、品質は高いですが、オリジナリティに欠けます。また、最近は海外生産が多く、なかなか作り手のこだわりを消費者に伝えるのは難しいと思います。その様な中で、モノづくりへの思いを語る製品に消費者が共感している好例だと思います。


2週間ほど前にプロフェッショナルの流儀で数寄屋造りの棟梁の特集がありました。ただ単に建物を建てるのではなく、建物の借景や部屋の使用方法、利用者の目線などを意識して、素材である木の良さを最大限引き出す。そして、建物の使用後も定期的に巡回して不具合を丁寧に調整して周るプロの流儀の思わず絆されました。これぞ匠です。


このことを消費者の側からみると、商品の良し悪し以前に、それを作った織り職人なり棟梁のこだわりや人柄があり、その愚直なまでの魂に絆される。
当然に、その様な匠が作るものですから、手作り感と温もりのある商品として仕上がることが前提としてある訳です。


ヨーロッパ、特に北欧の家具については、日本でもその素材感を活かした家具として、高価であるにも関わらずとても人気があります。なかでもフィンランドは、白夜と言われるように北極圏に近く夜がながい国です。その様な国での生活の知恵でしょうか、暗くても生活を楽しむ文化の中から、シンプルなデザインだけど温かみのある商品が多いものです。


私も知らなかったのですが、そのフィンランドのデザインの歴史を紐解くと、
微妙に日本の工芸品の影響を受けているとのことです。
日本の工芸品も自然の素材の風合いを活かし、製造元のブランドを前面に出さない質素さといいますか、禅の精神がフィンランドでも賞賛されているようです。


そう言えば、かの有名なアップルの創業者、スティーブ・ジョブズも親日家で知られ、
禅の精神を大切にしていたと、とある本で紹介されていました。
それが、あのスマートフォンという機能性の中に洗練されたデザインを生んだのかもしれません。


この様に思いを巡らしてみますと、今の時代において消費者に好まれる商品というのは、
機能性を追求した工業製品だけではなく、その商品に込められた製作者の思いや考え方が消費者の共感を生み、商品としても何とも優しい温もりを感じる。その様な商品に人々は安心感を覚えるのではないでしょうか。人間の本能がアナログである所以ではないでしょうか。


もう一つ、着目しなければいけないのは、情報化社会の進展により企業規模に関わらず、良い商品の情報が個々の消費者の目に留まるようになったことです。必ずしも企業の規模が比較優位な社会ではなくなってきていることです。その様に考えますと、アパレル、家具以外にも消費者が求める暮らしを豊かにする商品は沢山ありそうですね。


消費者も機能を追求する商品は良いものをより安く、暮らしを豊かにする共感商品には少しくらい高くても、とメリハリのあるお金の使い方をする様にライフスタイルが変わってきているように思います。また、これからの社会は消費者と供給者の境目も曖昧になってくるのではないでしょうか。


消費者であっても、工芸を趣味とする玄人はだしの方々は世の中に沢山いらっしゃいます。インターネットというツールを使えば、その様な方も自由にグローバルに情報を発信することが出来ますね。作家の世界でも同じような現象が既に起きているようです。一昔前であれば、出版社の編集者と作家の共同作業がなければ本が世に知れ渡ることはありませんでした。


この様に見て来ますと、モノづくりだけではなく、極論すれば消費者が求めるあらゆるコトに同じことが言えるのではないでしょうか。長年、日本では大手企業の下請けという形で中小企業は屋台骨を支えて来ましたが、これからの時代は冒頭の熊本県のアパレルメーカに見るように、今まで培ってきた持てる技術力を活かし新たな活路を見出して行けるでしょう!

三菱重工とJapan Taxi

皆さん、おはようございます!
今日は朝からスカッ!と快晴で思わず心にスニーカーを履いたようにウキウキしますね。
東京も午前中には気温が30度を超える様で、
まるで真夏の様な天気です。二男は来週から沖縄社員旅行、いいな~!


今朝、Yahoo!ニュースを見ていましたら三菱重工の記事に目が留まりました。
最近、立て続けで純国産ジェット旅客機MRJが5度目の納期延長、
造船業の豪華客船製造で1千億円の受注に対して2500億円超の損失発生、
三菱自動車のリコール隠ぺいや燃費データの改ざん問題等など。


新聞紙上で事実関係をご覧になり記憶に残っていらっしゃる方は多いと思います。
なぜ三菱重工グループに限ってこの様な不祥事が頻発するのか不思議でしょうがなかったのですが、やっとその理由が分かりました。
どうやら「重工業体質」というのがあるようです。


一言で言いますと、
三菱重工業は、三菱財閥の祖、岩崎弥太郎が「三菱は国家なり」と語った言葉にある通り、官業中心の重工業を営んできた歴史があるため、消費者を軽視する体質があると揶揄されているそうです。


また、その根本に技術力の低下が著しく、設計が製造部署に出す部品据え付け要請書なるものを作成できない、現場を知らない技術者がマネジメント層の多数を占めるようになり、技能伝承を含めた人材育成が出来なくなっているとのことです。それがデータ改ざんや隠ぺい問題として露呈していたのですね。「下町ロケット」の帝国重工を彷彿させます。


一方、皆さんJapan Taxi株式会社ってご存知ですか?思わず、そんなタクシー会社あったかな?と考えてしまいますね。実をいうと日本最大の車両数を誇る日本交通のデジタル機器やアプリケーションを開発する子会社なんです。「全国タクシー」というスマホでタクシーを呼ぶアプリを開発しています。


つい昨日の日経にも掲載されていましたが、
トヨタ系「未来創生ファンド」から5億円の資金調達を行っていました。
タクシーに乗ると料金メーターやらドライブレコーダーやカーナビ等ありますが、これって一式揃えると1台あたり車両価格の1/3程度掛かるらしいのです。


製造メーカーは歴史のある老舗2部上場企業が多いようですが、独占市場で価格が硬直的なのでしょうね。そこに目を付けた日本交通のタクシー王子こと川鍋社長が「自ら安く作っちゃえ~」っと。それだけではなく、国内外のタクシー会社にも販売しよう!っという発想力がコペルニクス的な逆転の発想で素晴らしいですね。


だから先ほどのスマホでタクシーを呼ぶアプリ開発等も出来るのですね。スマホでタクシーを呼ぶと、近くに居るタクシーのカーナビに表示されるのご存知でした?!
私もタクシーに乗る時は日本交通を好んで選びますが、どの運転手さんも礼儀正しくて清々しいですよね。


運転手さんに話を聞けば、時々日本交通の社員の方が覆面でお客様として乗車し、運転手さんの運転技量とサービスマナーを確認しているとのことです。業者に依頼するなら兎も角、社内でこの様なことを行うことは良い意味でなかなか出来ませんよね。
時間がある時には川鍋社長自ら運転手を務めるというから驚きです。


ここまで徹底した現場主義を貫き通すから運転手さんのサービスは勿論、
お客様が社内で快適に過ごして頂く為の様々な方策が思い浮かぶのでしょう。
ここが川鍋社長の逆転の発想が出来る強さなのではないでしょうか。
自動車の自動運転化が進むことを考えますとトヨタ系ファンドからの出資も意味深ですね。


ある本を読んだ時、アイディアというものは、匠の技の様な五感の直感的な言語化できない経験知(=暗黙知というらしいです)を少しずつ周囲の人に伝えて行く経験知を皆で共有していく過程(=形式知というらしいです)の中で、創出されることが多いそうです。先の三菱重工の技能伝承の部分ですね。


経験した知識と言うのは現場でなければ得られない掛替えのない知識です。研修室でマニュアル(=形式知)を勉強するのも即効性があり重要ではありますが、経験と両輪でないと実感がわかずにアイディアが生まれてこないものでしょう。その意味で、三菱重工とJapan Taxiは好対照だと思いました。


昨日から大学新卒者の採用試験が開始されました。
業種にもよりますが、有効求人倍率がバブル経済期に次ぐ高さで、ややもすると入社後の現業職への配置は新卒者から敬遠されがちではないでしょうか。企業サイドも、組織の仲間に入る為の儀式ではなく、なぜ現場経験を積む必要があるのかをきちんと理解する必要があります。


今日、そのことを理解できていない世代が企業の経営層を占めつつあることが容易に想像されます。日本の組織が官僚組織になりつつある原因は、ここら辺にあるのではないでしょうか。私が、財務を行いながらも、数字の根拠である現場に行って見て、手で触ってみないと数字が腹に落ちず理解できない理由がやっと分かりました。

社長の役割り

皆さん、こんにちは!
今日の東京の地域的な集中豪雨は凄かったですね。
急に雨雲が張り出してきて、こりゃ降るなって思いきややはり。。
昨年もそうだったと記憶しているのですが、昔はこんなこと無かったと思います。


今日、以前勤めていた企業の40代半ば過ぎの後輩が、
事業部長の職を辞めて、中堅の建設会社の代取社長に就任したというので、
表敬訪問にお伺いしてきました。
サラリーマンの世界では、だれしもが羨む理想的な職業人生ではないでしょうか。


まだ就任して4ヶ月目ということで、
企業文化の違いもあり、結構大変ではないかと思いましたが、
ご本人と顔を合わせれば、水を得た魚のように伸び伸びと元気な表情でした。
そう言えば、前職の時も人一倍、個性が強いタイプだったと記憶しています。


社員数が200名くらいで、
事業部長時代の部員数と同数のようで、
あまり違和感を感じていないのも功を奏しているのではないでしょうか。
それ以上に業績好調で、業界内でも高い利益率をキープしていることが何よりだと思います。


彼が、現在取り組んでいるのが、社員のモチベーションを高めること。
その様な業績ですから、決して低い訳ではないのですが、
もっと自発的に伸び伸びと仕事に取り組んで貰い、
業界内で異彩を放つ専門性高い事業を更に強固なものにして行きたいとの思いからです。


また、中堅建設業でありながら様々な特許技術を保有しており、
かつ元請事業者としての機能に着目しているところに前職でのメーカー発想を融合させ、
技術供与+部材販売+施工監理という従来の業態の枠組みに囚われない、新たなパッケージとしてのビジネスモデル思考を持っているところが素晴らしいと感じました。


中小企業にも、規模や業績により様々だと思います。
今回、彼にお会いして羨ましいと思ったのは、
社長自ら実務に目を光らせて手を染めなくとも、きちんと会社が回って行く①実務基盤が整っていること、②積極投資に廻せるほどの潤沢な利潤があることです。


私も、それほど経営の経験がある訳では有りませんが、
一般的な中小企業では社員が精一杯努力しても隙間からはみ出てしまう業務を
トップ営業の傍ら拾って歩かなければならず、
落ち着いて物事を考えている余裕がないと言うのが正直なところではないでしょうか。


企業の成長段階によっても異なると思いますが、
企業の置かれたステージによって望まれる経営者というのも自ずと異なるものでしょう。
一方、経営者として求められる資質も千差万別。企業集団×経営者資質と考えると、このベストフィットする組み合わせは、なかなか難しいものがあります。


その意味では、大手企業の生え抜きトップというのは、それこそ実務経験を長年積んで、ある時から突然にマネジメント職に携わり、段階的にトップマネジメントを昇り詰めて行く。企業も時代とともに変容して行くので、その時代のトップを時間を掛けて育成していけないので、結果的に柔軟な幅の広いタイプが適任者という事になるのでしょう。


私の現在の企業トップ像は、社員のモチベーションを引き出し、ベクトルを一つに向ける技術に優れた方というイメージです。ある意味、象徴でなければならない。企業トップにとっての最大の仕事が後継者を作ることと言われる理由が良く分かります。今日お会いした彼は、中堅企業と言いながらも今おかれた段階において適役だと思います。


一方、中小企業やベンチャー企業は、事業のノウハウが企業の知的財産として定着していない為、どうしてもトップ経営者が売上の源泉とならざるを得ないと思います。トップ経営者が社員のだれよりも事業の事を熟知しており、そのノウハウを段階的に社員に委譲して行く過程にあるとも言えます。言い方を変えれば職人の親方と言えるかもしれません。


経営にこれと言ったスタンダードはないと思います。
同じ銀行でも、会社が異なれば、与えられた環境も異なれば、文化も言語も異なる。
必要なのは、その企業が置かれた状況を客観的に俯瞰し、適切な判断を下せるか否か。これすらも標準化は難しいと思います。経営学を修めてもそれで足る訳ではない。


与えられた環境の中でベストを尽くす柔軟さ、洞察力。それから、知り合いの地方の中小企業の社長を思い出したのですが、社会正義とでもいいますか、審美眼といった資質の方が、知識よりも大切だと思います。その為には、何かの道を極め、一芸に秀でている「禅」の様な奥深さを持ち合わせていることが大切なように思います。