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三菱重工とJapan Taxi

皆さん、おはようございます!
今日は朝からスカッ!と快晴で思わず心にスニーカーを履いたようにウキウキしますね。
東京も午前中には気温が30度を超える様で、
まるで真夏の様な天気です。二男は来週から沖縄社員旅行、いいな~!


今朝、Yahoo!ニュースを見ていましたら三菱重工の記事に目が留まりました。
最近、立て続けで純国産ジェット旅客機MRJが5度目の納期延長、
造船業の豪華客船製造で1千億円の受注に対して2500億円超の損失発生、
三菱自動車のリコール隠ぺいや燃費データの改ざん問題等など。


新聞紙上で事実関係をご覧になり記憶に残っていらっしゃる方は多いと思います。
なぜ三菱重工グループに限ってこの様な不祥事が頻発するのか不思議でしょうがなかったのですが、やっとその理由が分かりました。
どうやら「重工業体質」というのがあるようです。


一言で言いますと、
三菱重工業は、三菱財閥の祖、岩崎弥太郎が「三菱は国家なり」と語った言葉にある通り、官業中心の重工業を営んできた歴史があるため、消費者を軽視する体質があると揶揄されているそうです。


また、その根本に技術力の低下が著しく、設計が製造部署に出す部品据え付け要請書なるものを作成できない、現場を知らない技術者がマネジメント層の多数を占めるようになり、技能伝承を含めた人材育成が出来なくなっているとのことです。それがデータ改ざんや隠ぺい問題として露呈していたのですね。「下町ロケット」の帝国重工を彷彿させます。


一方、皆さんJapan Taxi株式会社ってご存知ですか?思わず、そんなタクシー会社あったかな?と考えてしまいますね。実をいうと日本最大の車両数を誇る日本交通のデジタル機器やアプリケーションを開発する子会社なんです。「全国タクシー」というスマホでタクシーを呼ぶアプリを開発しています。


つい昨日の日経にも掲載されていましたが、
トヨタ系「未来創生ファンド」から5億円の資金調達を行っていました。
タクシーに乗ると料金メーターやらドライブレコーダーやカーナビ等ありますが、これって一式揃えると1台あたり車両価格の1/3程度掛かるらしいのです。


製造メーカーは歴史のある老舗2部上場企業が多いようですが、独占市場で価格が硬直的なのでしょうね。そこに目を付けた日本交通のタクシー王子こと川鍋社長が「自ら安く作っちゃえ~」っと。それだけではなく、国内外のタクシー会社にも販売しよう!っという発想力がコペルニクス的な逆転の発想で素晴らしいですね。


だから先ほどのスマホでタクシーを呼ぶアプリ開発等も出来るのですね。スマホでタクシーを呼ぶと、近くに居るタクシーのカーナビに表示されるのご存知でした?!
私もタクシーに乗る時は日本交通を好んで選びますが、どの運転手さんも礼儀正しくて清々しいですよね。


運転手さんに話を聞けば、時々日本交通の社員の方が覆面でお客様として乗車し、運転手さんの運転技量とサービスマナーを確認しているとのことです。業者に依頼するなら兎も角、社内でこの様なことを行うことは良い意味でなかなか出来ませんよね。
時間がある時には川鍋社長自ら運転手を務めるというから驚きです。


ここまで徹底した現場主義を貫き通すから運転手さんのサービスは勿論、
お客様が社内で快適に過ごして頂く為の様々な方策が思い浮かぶのでしょう。
ここが川鍋社長の逆転の発想が出来る強さなのではないでしょうか。
自動車の自動運転化が進むことを考えますとトヨタ系ファンドからの出資も意味深ですね。


ある本を読んだ時、アイディアというものは、匠の技の様な五感の直感的な言語化できない経験知(=暗黙知というらしいです)を少しずつ周囲の人に伝えて行く経験知を皆で共有していく過程(=形式知というらしいです)の中で、創出されることが多いそうです。先の三菱重工の技能伝承の部分ですね。


経験した知識と言うのは現場でなければ得られない掛替えのない知識です。研修室でマニュアル(=形式知)を勉強するのも即効性があり重要ではありますが、経験と両輪でないと実感がわかずにアイディアが生まれてこないものでしょう。その意味で、三菱重工とJapan Taxiは好対照だと思いました。


昨日から大学新卒者の採用試験が開始されました。
業種にもよりますが、有効求人倍率がバブル経済期に次ぐ高さで、ややもすると入社後の現業職への配置は新卒者から敬遠されがちではないでしょうか。企業サイドも、組織の仲間に入る為の儀式ではなく、なぜ現場経験を積む必要があるのかをきちんと理解する必要があります。


今日、そのことを理解できていない世代が企業の経営層を占めつつあることが容易に想像されます。日本の組織が官僚組織になりつつある原因は、ここら辺にあるのではないでしょうか。私が、財務を行いながらも、数字の根拠である現場に行って見て、手で触ってみないと数字が腹に落ちず理解できない理由がやっと分かりました。

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