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巨大企業、米GEの変兆!

皆さん、おはようございます!
昨晩、以前仕事でご一緒させて頂いた先輩、同僚との旧交を暖める中で、突然、先輩が早期退職制度に手を上げた旨の話しに及び、正直、驚きました。定年まであと3年、今後の長い人生を考え、早々に転身を図りたいとのこと。とても前向きなお考えだと思います。



米ゼネラル・エレクトリック(=GE)が126年に及ぶ歴史で初めて外部からトップを起用することを決めたそうです。新しい最高経営責任者(=CEO)に指名されたのはローレンス・カルプ氏という、年間10件を超える企業買収で米機械メーカー、ダナハーを急成長させた実績のある人物です。


14年間という在任期間中に売上高と時価総額をともに5倍に引き上げた実績を持つそうです。約2兆8千億円の資金をM&Aに投じ、百貨店に工具を供給していたダナハーを機械コングロマリット企業に育てています。そんなカルプ氏の手腕に米GEが見込んだのは、M&Aにより膨張したコングロマリット企業の手綱さばきだということです。


米GEといえば、家電製品製造を発祥に、中興の祖であるジャック・ウェルチ氏のM&A戦略により、IT事業、航空機エンジン事業、発電事業、メディカル事業、金融事業などまで手掛ける世界に名だたる巨大コングロマリット企業です。ウェルチ氏の後を継いだジェフ・イメルト氏は後継者指名の要件として「ポートフォリオ経営」を掲げています。


いかに伸びる事業を見抜き、逆に成熟化してしまった事業を見極め、各々の事業の組み換えを行って、グループ企業としての相互補完効果を最大限引き出して行くかを考えるのがGEのトップに求められる能力であると明言しています。その意味で、カルプ氏のポートフォリオ経営に白羽の矢が立ったと言うことが出来るでしょう。


そのイメルト氏もインダストリアル・インターネットを次代の主力事業と定め、金融事業からの撤退を進めて来た経緯があります。イメルト氏の後継者となるフラナリー氏は電力、メディカル、航空を柱に据える方針を掲げています。しかし、巨艦GEの変革は一朝一夕にはいかなかったことが、今回のCEO交代劇に繋がったようです。


金融事業では追加損失発生が発生するほか、2015年に1兆2800億円で買収した発電事業では再生可能エネルギーの台頭により苦戦するなど誤算が続いています。イメルト氏がCEOを務めていた時代までは順風満帆に見えた巨艦米GEにおいても、情報技術革新に端を発した社会の変化に、忍び寄る影が近づきつつあるように思われます。


30万人以上を擁する従業員の中から、将来のトップ候補を英才教育を施して選抜していく明確な人事制度を持ちながら、なぜ、今回はグループ外からトップを招聘する必要があったのか疑問に思われる方も多いことでしょう。また、GEでも優秀な若手社員ほどスタートアップに新天地を求め、退職者が増えているそうです。


この辺の話しを聞きますと、やはり米国においても、大手企業のピラミッド型のヒエラルキー組織が、上意下達型の官僚的な企業文化を生んでしまい、これからの時代に相応しい事業構想を描き切れずに企業の活力が減退しているのではないかと推測されます。
時代が大きく変容する中では、ポートフォリオ経営も万能な手法ではないのでしょう。


米GEの様なポートフォリオ経営を実践するコングロマリット企業経営の常套手段は、持ち得る資本力にものを言わせて、様々な事業を買収して各事業領域ごとに統廃合することにより規模の経済を追求してきたということが出来ると思います。しかも、自前主義の発想により必要と思われるあらゆる事業をグループ内に抱え込んできたと言えます。


これからの時代、同質性の高い文化を持つ大手企業グループの中で、新たな事業を構想していくには限界があると言わざるを得ません。それは社会のニーズが供給者の論理で構想された事業ではなく、消費者の目線の中にこそ新たな事業機会があるからであり、その様な事業は現在の企業と企業の境目に存在していると言うことが出来ます。


その様な境目にある事業を形にして行くためには、オープンプラットフォーム、オープンイノベーション型の開かれた企業文化の中で、役職員全員が経営判断を司る様なフラットな人間関係を醸成していく必要があります。それだけ時代のスピードが早くなっており、個々人に求められる判断力が重要になると考えられるからです。


社内外の境にボーダーラインを設けることなく、人々がコミュニティの中で協働することにより新たなアイディアの発見が促がされるものだと思います。工業化社会では資本力が重要な資源でしたが、これからの時代は人的資本こそ最も重要な経営資源と認識される様になると思います。企業の内外、組織の営利・非営利に拘わらず。。


今日もありがとうございます!
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ヒューマンキャピタル!

皆さん、おはようございます!
トヨタ自動車とソフトバンクの提携がトップニュースを飾っています。
この業界の垣根を越えた連携関係が新しい時代の幕開けを予感させます。
企業の規模に拘わらず、これからの時代は「協働」がキーワードになるのでしょう。



官民ファンドの地域経済活性化支援機構(=REVIC)をご存知でしょうか。事業再生と地域活性化を目的に地域企業に対する資金提供を行っています。
官民ファンドと言いますと、資金提供の条件に大義名分が必要だったり、資金提供後の制約が何かと多く、使い勝手が悪いという印象を持たれがちです。


しかし、そんなREVICが企業への支援の軸足を資金提供から専門人材の派遣に移しつつあるそうです。象徴するのが、9月に福井銀行と連携して、同行の取引先企業にREVICが直接経営に精通した専門家を派遣し、業務改善に向けた取り組みを後押しているそうです。いま事業再生の分野でも本当に必要なのは資金ではなく人財だと思います。


今後3年間のREVICの主眼は、専門家の派遣や事業再生の知見やノウハウをいかに地域金融機関に移転するかにあるといいます。その背景には、融資審査が財務一本やりの審査から、金融庁の指導によりその企業の将来性を見極める「事業性評価」に変化していますが、未だ地域金融機関のノウハウ不足により実効性に限りがあるからです。


例えば企業全体としては破綻している中小企業であっても、優良事業を持っている企業の場合、売上の7割をカットして優良な3割に経営資源を集中する画を描けば、5年後、10年後には、その3割が10割に引き上げることも可能となります。従来の担保主義に浸っているうちは、決して生まれてこない発想です。


REVICは時限的に設立された会社である為、3年後には消滅する予定です。それがいずれ消えてしまう資金に傾注することなく、人財を通じたノウハウの移転に舵を切ることにより事業再生の知見やノウハウを持続的に定着させたいとの考えがあるようです。REVICでは専門家派遣と並行して、金融機関から110人もの研修生を受け入れてます。


先日も、総合商社の丸紅が静岡銀行、常陽銀行をはじめとする地方銀行8行に対して、海外進出やM&A支援のために、10月より社員を派遣するということが発表されたばかりです。企業から地方銀行に人財を派遣するケースは珍しく、地域活性化に向けた新たな事業連携のモデルとして広がる可能性が示唆されていたばかりです。


総合商社の業績は足元では資源価格の上昇などで好調ですが、5~10年先を見据えた新たなビジネスの発掘が急務になっており、各社とも国内市場を含む新規市場の開拓を急いでいます。その様な地域金融機関と総合商社の利害が一致し、連携関係を築くに至った訳です。これもREVICと同様に、今後の事業連携の一つのあり方だと思います。


REVICは半官半民企業であるため、自らの利益追求だけではなく半分は公共的な観点からの取り組みですが、この総合商社と地域金融機関の取り組みは両者にとってメリットを見い出すことが出来ます。今までの地域活性化策でしたら、公共にしろ民間にしろ地方にお金を落とす形のそれが多かったと思います。


今回のそれはお金としてのキャピタルではなく、人的資本(=ヒューマンキャピタル)を地域金融機関に投入するという点において興味深いと思います。そこで人と人が交われば、当然に知識の融合が図られる訳です。活きた投資が行われるという意味において、いま地域金融機関が抱える問題の本質を突いていると言えるでしょう。


地方都市を活性化させて行くためには、まずは地域経済圏の中で財貨や資本が循環している必要があります。その上で、地域の資本が地域外に流出しない様に財貨を地域外に販売していくか、人をその地域内に呼び込んで行く必要があります。その為には、その地域が持ち得る有形、無形の資源を充分に見極めてアピールしていく必要があるでしょう。


その為には、地域内の人たちばかりではなく、地域外の人たちと大胆に交流することにより、新たな着眼点や考え方といった知識の融合を図っていく必要があると思うのです。
人間が異国の地を旅することによって、新たな知見を得て知的好奇心を満足させるのと同じ様に、日常生活の繰り返しでは良いアイディアも生まれて来るものではありません。


このことは、多くの大手企業が官僚的な組織となってしまい、将来に向けた新たな構想を描き切れずに閉塞感が漂っているのと同じことを意味していると思います。組織のヒエラルキーによって人々がフランクに知識交流できないのと本質は同じだと思います。今、私たちに必要なのは、コミュニティを通じた協働の精神を取り戻すことでしょう。


今日もありがとうございます!
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他人事としての「しごと」!

皆さん、おはようございます!
事業を営む立場になると自分の遣りたいことを自由に出来ると考える方が多いと思います。確かに自身を制約するものはないのですが、それが自分事としてではなく他人事としての事業である必要があります。この辺の微妙な違いが事業の難しい所だと思います。



未だ日本では売上高と組織の拡大を重要課題とする考え方が幅を利かせている様に思います。19世紀後半に米国で発達した大規模で官僚的な構造を持つ企業組織は、各国に広がり世界経済の大きな地位を占めています。日本でも、高度経済成長を経て、それまでの全社員が一丸となって目標を共有する集団体制が色褪せ、官僚化の道を進んでいる様です。


官僚的な組織は、平穏な時代には指揮命令系統が明確であり、非常に効率的に機能しますが、今のように時代の変革期にあっては外部環境の変化への対応力が弱く、脆いものではないでしょうか。大手企業において、特に自動車メーカーで品質性能データ改ざんに関わる問題が露見しているのは、内向きな組織を物語っていると思います。


日本の企業も、高度経済成長している時代には、ハングリー精神を持って役職員一同が見果てぬ夢を追いかけて、キラキラと輝いていたのではないでしょうか。自社で作る商品を提供することが社会のニーズに合致しており、その意味では企業組織という媒介を通して、役職員は社会の一員として貢献していることを実感できたと言うことができます。


ところが世の中にモノが満たされ、商品が売れなくなると、それまで役職員で共有していた自社の社会的な意義が失われ、企業組織としての官僚機構ばかりが突出する形となってしまっているものと思われます。仕事の負荷ばかり増えて、それに対するモチベーションを維持することが難しくなっていると言えるでしょう。


本来、企業組織というものは、役職員の間で将来に対する構想を共有できて、はじめてきちんと機能するものです。それが、今日において多くの企業が将来に対する構想を描き切れないでいると言えるでしょう。その様な組織として充分に機能しない状況の中において、自らの組織を守り通そうという盲目的な意識のみが作用しているのでしょう。


これは、幕末の徳川家を見れば明らかであり、時代に関わらず人間が持ち合わす心理なんだと思います。時代は違えども、いまの日本の大手企業は創業50年以上が経過し、大なり小なり、同じ様な境地に立たされているものと考えられます。役職員の意識が大きく内側に向いてしまっているのですね。


ここを正さないと、これからの日本を担う構想を描き切れないでしょう。
いまはゼロ金利政策により、また東京五輪・パラリンピックを控え、僅かながら景気が浮揚しているように見えますが、2020年以降もいまの景気が続くとは限りません。いま景気を牽引しているのは、新規オフィスビルなどのインフラ更新重要です。


2022年には生産年齢人口が一段と減少していくことが予測されています。2020年以降は、いま以上に将来に対する不透明感が顕著になって行くと思います。消費に対する意欲も減退していくでしょう。そこから早く離脱する為にも、早く官僚的な企業組織を見直して行く必要があるでしょう。


もっと、企業組織で働く役職員がフランクに意見を言い合えるコミュニティを整えて行かなければならないと思います。それも、同じ企業組織内の役職員だけではなく、もっと幅広く様々な背景を持つ人々が互いに理解し合いながら、この日本という社会をどの様にすべきか、自らの企業組織を通じてどの様な社会貢献が出来るかを話し合うべきです。


目先の事業を維持していくために繁忙を極めているなどという声が聞こえて来そうですが、利益に貢献しない必要以上の過剰なサービスを提供しようとしているという意味では生産性が低下していると言えるでしょう。一種のワーカーホリックとも言うべきであり、もっと能動的に仕事にメリハリを付ける必要があると思います。


経営者にとって雇用の確保を目指すことが最大の目的だと思います。それ以上に、人間の営みである「しごと」とは、自らの生活の基盤であるのみならず、一国の経済の源泉であり、社会を変革させ文明を進化させる拠り所です。「しごと」は会社から給料を貰うか、自ら個人事業者として営むかに拘わらず、社会に受用されている必要があります。


その様な「しごと」の集大成として社会が動いて行くのではないでしょうか。「しごと」とは自ら創っていくものであり、そこに需要が対を為しているものと言えるでしょう。
企業組織の中で決まり切った仕事を行いながらも、そこには少しずつながらも明日に向けた工夫が為されていることが必要ではないでしょうか。


今日もありがとうございます!
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