誰にも聞けない経営財務戦略!

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中小企業ファイナンス!

皆さん、おはようございます!
一つの会社に永年勤め上げた方の定年退職が目の前に迫ってきますと、残りの人生をどの様に生きて行くか考えるものです。もちろん雇用延長という選択肢もあるのでしょうが、折角の機会なので染みついた垢を落し自由な発想で将来の自分を見つめ直しても良いでしょう。



コーポレートファイナンス(>企業財務)といいますと、その究極的目的が企業の経済価値を追求することにありますので、主に株式公開している若しくは株式を公開しようとしている企業のためにあるものと思われがちです。しかし、企業価値最大化は必ずしもそれら企業のためだけではなく、中小企業も取り巻く利害関係者の幸福を最大化する必要があります。


最近ではEGSといった、従来の財務情報だけでない環境・社会・ガバナンス要素も考慮したすべての企業利害関係者に「持続可能性」なリスクと機会の特定、評価、および管理を含む様に組織の目的を拡大することにより、企業価値を生み出す企業戦略に統合されるようなフレームワークが重視されています。それは株主価値だけを注視する考えとは異なります。


それは中小企業にあっても、企業価値を高めることによって全ての利害関係者との間で持続可能な発展を為し得ることを意味します。確かに中小企業がエクイティ(=株式)資金調達することは稀かもしれませんので、資金ポジションのバランスをとりながら適宜必要な時に金融機関から資金調達できる様にしておくことは企業財務の領域では大切なことでしょう。


それはコーポレートファイナンスとしても必要最低限なことであり、それにも増して中小企業の価値をいかに高めて行くかとい視点に立てば、やはりROIC(=投下資本利益率)を一つの参考となる財務指標として拠り所としていく必要がありそうです。ただし、大手企業でのポートフォリオマネジメントによる事業の集中と選択という活用方法ではありません。


本業を為す事業のROICを如何に高めるかは、既存事業をどの様に少ない投下資本で再構築(≒ビジネスモデル転換)しながら売上を最大限高める他はありません。プロモーションなどのマーケティングを駆使することも必要なのですが、それ以前に中小企業として事業を支え発展させる基盤としての企業理念やビジョン、経営戦略を明確にする必要があります。


なぜ中小企業として社会的存在意義を明確にする必要があるかといいますと、それはそこで働く人々をはじめとする利害関係者の幸福度を高めるべく企業として目指すべき方向を宣言する必要があるからです。彼らも自分の人生のテーマを持っているのであり、大前提としてそれと企業の存在意義がズレていてはワクワク、楽しく仕事することが出来ないでしょう。


その意味では、企業の経済行為を無機質な数字に置き換え効率性を判断するROIC経営の概念を人間の心理にまで拡張して捉える必要があるのであり、事業に関わる方々のエンゲージメントを高めるべく人的資本経営と融合させていく必要があるでしょう。そうすれば働く人々も自由な発想で自律的に事業に取り組むコアエンジンを整えることができるでしょう。


それが私の考える中小企業ファイナンスの概念であり、コーポレートファイナンスとして戦略性を駆使する必要があります。ファイナンスだから貨幣で鵜呑みにして捉えれば良いというものでなく、それを経済行為の手段として人間の心理にまで拡張していくものです。だから行動経済学のように人間を理解することが不可欠であり人的資本ROIC経営なのです。


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「やきとり大吉」のM&A!

皆さん、おはようございます!
「未来会計」という言葉の響きに、従来の過去の経営成績や財政状態を開示する「財務会計
」とは異なった躍動を感じます。もちろん企業の業績を理解することも大切ですが、私たちが知りたいのは企業が将来に向けてどの様になっていくかということではないでしょうか。



鳥貴族ホールディングス(=HD)は、サントリーホールディングスの子会社で「やきとり大吉」を展開するダイキチシステムを買収すると発表しています。買収額は非公開のため分かりませんが、やきとり大吉は住宅街などでの店舗展開が中心で中高年の利用が多い一方、「鳥貴族」は繁華街が中心で若年層が多く、買収による補完効果が大きいと判断してます。


ダイキチシステムは、1997年設立でサントリーホールディングスの100%子会社です
。2021年12月期は売上高5億4200万円で営業利益は9700万円です。やきとり大吉を全国で500店超展開しており、全ての店舗がフランチャイズ店です。確か自宅周辺のみならず地方の住宅街に行っても真っ赤な看板に「大吉」の大きな字が目立つ店舗です。


最初の頃は個人経営で多店舗展開している安い焼き鳥の居酒屋というイメージしかなかったのですが、地方に行きましても繁華街ではなく郊外の住宅地に店舗を構えているので、ただならぬ焼き鳥居酒屋として気に留めていました。店舗の内装も古びた焼き鳥屋という感じであり、どうひいき目に見ても繁盛しているとは思えない休日にふらっと立ち寄る店舗です。


ニッチなマーケットでも利益が出るよう低コストで運営していることが見て取る様に理解できます。きっとご存知の方も多いのではないでしょうか。そんな「やきとり大吉」をサントリーホールディングスが経営してたとは、思わず目から鱗が落ちてしまいます。きっとコンセプトとは、住宅街のファミリー層に気軽にビールを飲んで貰う広告塔だったのでしょう。


本当は全国500店舗に留まらず、もっと出店可能地域があると踏んでいたのではないでしょうか。フランチャイズ展開ですので、サントリーの酒類および焼き鳥をはじめとする食材を業務委託先である食材業者から一括で仕入れ、各フランチャイジーへ外注先の物流網を通じて配送すれば、現店舗の20倍程度の店舗展開が出来るものと計画していたのでしょう。


きっとサントリーホールディングスが今回ダイキチシステムの経営権を手放すことにした理由として、経営資源の集中と選択を大義名分に伸び悩む店舗数に見切りを付けたものと推測します。それにも増して急激な円安や物流業界の逼迫を背景に物価が上昇していることから食材の仕入コストが増加傾向があることも将来的な懸念材料として持っていたと思います。


それから単店あたり売上が思ったほどに伸び悩んでいたことも背景としてあると思います。ダイキチシステム自体の業績はフランチャイズビジネスのせいか約20%近い営業利益率を叩きだしていますので立派だと思います。流石、サントリーホールディングスが経営しているだけあって、フランチャイズビジネスとしてのシステムを確立していたものと思います。


鳥貴族HDは、関西、関東、東海を中心に約600店舗を展開しており、その顧客層は20~30代が中心となっています。やきとり大吉の方は住宅街立地であり40~60代の顧客層を中心とすることから、両者の相乗効果を期待できると思います。一番メリットを追求できるのが食材調達におけるボリュームディスカウントを享受することではないでしょうか。


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人的資本ROIC経営!

皆さん、おはようございます!
台風の到来とともに突然やって来た「秋」。雨模様が続くなか急に気温が下がり、半袖ポロシャツにジャケットを羽織ってちょうど良い感じでした。ようやく気候も安定し秋を満喫できる様になりました。時の経過は早いものですが、しっかり秋を受け止めたいと思います。



世界の株式市場で稼ぐ効率を示すROIC(=投下資本利益率)で世界の主要銘柄を分類すると、ROICが高い銘柄ほど足元の株価が底堅いようです。各国の中央銀行による金利引き締めが進んで金利が上昇するなかで、緩和相場では意識されなかった企業の資本調達コストも増加しており、ROICを軸にした投資家による企業の選別が加速しているようです。


ROICとは、税引後営業利益を自己資本と有利子負債を合わせた投下資本で除した財務指標です。株主と債権者、それぞれから調達した資金でどれだけ利益を生んでいるかを示しています。算定された値が高いほど資本を効率良く使用していることになります。投下資本は運転資本と固定資産の合計値でもよく、企業の事業別の競争力を分析することも出来ます。


同じく資本効率性を示す自己資本利益率(=ROE)は株主目線、総資産利益率(=ROA
)は会社全体の資産の効率性を表現するという意味でそれぞれ捉える意味が異なってきます
。思い返せば20年前の2000年代初頭に勤めていた上場メーカーで、このROICを用いた事業別ポートフォリオマネジメントを行い、低迷していた株価を3倍に上げています。


その当時は、ROICどころか有利子負債のみならず自己資本にもコストが掛っていることを経営陣に理解してもらうのに苦労しましたが、いまやROICは経営手法の常識となっています。それでも経営手法として定着するまでに20年の時を経る必要があったことに、社会というものは船がゆっくり旋回するように実にゆっくりと動いていることを実感します。


ROIC経営とは企業が有利子負債や自己資本といった広義の資本を効率良く活用して余りある利益を獲得していることを判断することにあります。その結果として企業の経済的な価値を最大限高めることができる訳です。もちろんROICを利用して理論株価を導き出すことが可能であることをコーポレートファイナンスの教科書は私たちに教えてくれています。


ただし、ROICは飽くまで経営判断のための一つの参考となる財務指標であり、ROICを使用した財務効率性を経営の目的にしてはならないことは言うまでもありません。今日のROIC経営が定着する迄の経営をつぶさに見ていますと、その本来の意味を理解せずに盲目的に追従していた様に見受けます。ROICは使い方を間違えると劇薬にもなり得ます。


安直に株価を高める為にROICの低い事業を売却したり、安易に事業のコストを削減したりしながら辻褄を合せることも可能です。しかし、それらは本来の経営判断ではなく、それ以前に企業の存在意義を拠り所として個々の事業方針を定めて行くべきでしょう。仮にROICが低い事業であっても、それを社会のために育てて行く必要があるかどうかなのです。


ROICを高める為の王道は効率よく売上を高めていくことであることを忘れてはなりません。それを考えるのがそこで働く方々の英知であり、それを最大限引き出すために人間心理の知見を活用しながら企業に対するエンゲージメントを高めて行く必要があります。それが人的資本経営であり、人的資本経営とROIC経営を融合する位がちょうど良いでしょう。


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