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人的資本ROIC経営!

皆さん、おはようございます!
台風の到来とともに突然やって来た「秋」。雨模様が続くなか急に気温が下がり、半袖ポロシャツにジャケットを羽織ってちょうど良い感じでした。ようやく気候も安定し秋を満喫できる様になりました。時の経過は早いものですが、しっかり秋を受け止めたいと思います。



世界の株式市場で稼ぐ効率を示すROIC(=投下資本利益率)で世界の主要銘柄を分類すると、ROICが高い銘柄ほど足元の株価が底堅いようです。各国の中央銀行による金利引き締めが進んで金利が上昇するなかで、緩和相場では意識されなかった企業の資本調達コストも増加しており、ROICを軸にした投資家による企業の選別が加速しているようです。


ROICとは、税引後営業利益を自己資本と有利子負債を合わせた投下資本で除した財務指標です。株主と債権者、それぞれから調達した資金でどれだけ利益を生んでいるかを示しています。算定された値が高いほど資本を効率良く使用していることになります。投下資本は運転資本と固定資産の合計値でもよく、企業の事業別の競争力を分析することも出来ます。


同じく資本効率性を示す自己資本利益率(=ROE)は株主目線、総資産利益率(=ROA
)は会社全体の資産の効率性を表現するという意味でそれぞれ捉える意味が異なってきます
。思い返せば20年前の2000年代初頭に勤めていた上場メーカーで、このROICを用いた事業別ポートフォリオマネジメントを行い、低迷していた株価を3倍に上げています。


その当時は、ROICどころか有利子負債のみならず自己資本にもコストが掛っていることを経営陣に理解してもらうのに苦労しましたが、いまやROICは経営手法の常識となっています。それでも経営手法として定着するまでに20年の時を経る必要があったことに、社会というものは船がゆっくり旋回するように実にゆっくりと動いていることを実感します。


ROIC経営とは企業が有利子負債や自己資本といった広義の資本を効率良く活用して余りある利益を獲得していることを判断することにあります。その結果として企業の経済的な価値を最大限高めることができる訳です。もちろんROICを利用して理論株価を導き出すことが可能であることをコーポレートファイナンスの教科書は私たちに教えてくれています。


ただし、ROICは飽くまで経営判断のための一つの参考となる財務指標であり、ROICを使用した財務効率性を経営の目的にしてはならないことは言うまでもありません。今日のROIC経営が定着する迄の経営をつぶさに見ていますと、その本来の意味を理解せずに盲目的に追従していた様に見受けます。ROICは使い方を間違えると劇薬にもなり得ます。


安直に株価を高める為にROICの低い事業を売却したり、安易に事業のコストを削減したりしながら辻褄を合せることも可能です。しかし、それらは本来の経営判断ではなく、それ以前に企業の存在意義を拠り所として個々の事業方針を定めて行くべきでしょう。仮にROICが低い事業であっても、それを社会のために育てて行く必要があるかどうかなのです。


ROICを高める為の王道は効率よく売上を高めていくことであることを忘れてはなりません。それを考えるのがそこで働く方々の英知であり、それを最大限引き出すために人間心理の知見を活用しながら企業に対するエンゲージメントを高めて行く必要があります。それが人的資本経営であり、人的資本経営とROIC経営を融合する位がちょうど良いでしょう。


今日もありがとうございます!
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