誰にも聞けない経営財務戦略!

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経営参謀の役割!

皆さん、おはようございます!
訪れたことのない初めての土地に行くことは、好奇心がそそられ楽しいものです。その地域の景観から感じとった街としての成熟度を捉えながら、行きかう人々の表情を受け止め歩いていますと、その街がどの様な枠組みで成り立っているか、思考を巡らすことが出来ます。



これだけ社会が大きく移り変わりますと、組織規模の大小に拘わらずこれまでの価値判断基準や仕事のあり方が通用しなくなり、何事にも捉われない新しい考え方で事業を描き出す必要があるでしょう。それは、社会における自分たちの使命を再定義し、完成したかに見えるビジネスモデルを一旦分解して、事業資源を取捨選択しながら再編集する必要があります。


これからは企業組織としての規模だけが利益をもたらすものではなく、質が重要となってきます。求められる使命を全うするために、自らの原点である他者に真似することのできない経営資源に着目し、更にそれを磨きをかけながら新しいビジネスモデルに改編していくことが不可欠となっています。その時に大切なのが、判断の拠り所となる明確な理念なのです。


理念は、擬制法人である企業組織に自然発生的に芽生えるものではなく、自然人である経営トップの志や意志に裏付けられている必要があります。その意味では、生え抜きの社員の中から昇り詰めた経営トップは、その立場から個人の志や意志を企業理念として据えることが難しいかもしれません。中興の祖が打ち立てた企業理念を時代に合わせる必要があります。


むしろ、中小企業の方が経営者の志や意志を企業の理念として反映しやすいと思います。しかし、中小経営者は日々の業務に多忙を極めており、また経営哲学を意識している方が意外にも少な過ぎるという課題があります。何れにしましても、これからは企業組織の規模に拘わらない大創業時代ともいえる様な、事業を再構築していくことが求められているのです。


大手企業であれば、中興の祖に代わる人物が自らの志や意志を拠り所として事業を再構築していく必要があるでしょうし、中小企業であれば経営トップの暗黙の志や意志を形式知化しそれを形にしていく必要があります。その時に必要となるのが経営参謀という人財でないかと思うのです。どんな中興の祖にも信頼できる経営参謀が居たことは歴史が語っています。


経済が右肩上がりの成長期の平時の経営参謀は、どちらかといえば経営トップの黒子として組織内を縦横無尽に動きながら、経営トップに出来ない謂わば汚れ役を司る役回りなのでしょう。しかし、今という将来を見通すことが難しい時代においては、企業としての業績が安定せず経営トップの精神的重圧も大きく、それを共有する役割が経営参謀に求められます。


一番大切な役割は、やはり経営トップが志や意志を拠り所として企業の理念を打ち立て、それを根付かせながら事業再構築していくことだと思います。具体的には、経営トップといえども一介の人間であり、様々な経営課題に忙殺される中で明確な志や意志をもって事業を司ることは難しく、もやもやした暗黙の意識の中にある志や意志を可視化することでしょう。


それを現実のものとする為には、どうしても経営トップが全幅の信頼を寄せられる側近との間で、経営トップの漠然としている志や意志を言葉にならない言葉でキャッチボールすることを通して、自らの志や意志を描き出していくプロセスを踏む必要があると考えます。それを受け止め共感しながら経営トップに伝え返して行くことにより思いが徐々に深まります。


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のれん償却議論!

皆さん、おはようございます!
物心ついた時から、父親が地方銀行を退職して事業を営んでいたせいか、私自身も同じような道を歩んでいる感じがします。子供の頃の父親との会話といえば商売の話ばかりであり、いま振り返ってみますとサラリーマン家庭で育った子供とは一風変わっていたと思います。



国際会計基準(=IFRS)を設定する国際会計基準審議会(=IASB)は、貸借対照表に計上するのれんを定期償却しない現行のルールの維持を決め、長年の議論に一応の区切りがついています。「のれんと減損」を主題とする理事会では「コストがかかる」「耐用年数が見積もれない」など、定期償却をルール化する難しさを指摘する声が相次いだそうです。


IASBは2010年代半ばから、のれんの会計処理について改善を検討してきました。減損処理は計上が遅くなったり、小さくなったりしがちで、利益や資産の過大評価によって投資家をミスリードしかねないという指摘がなされていた為です。早めに費用化していく定期償却の再導入議論が本格しましたが、議論は難航に次ぐ難航を極めてきたと言われてます。


のれんは、現在の会計ルールで明確に認識できない様々な要素の集合体であり、機械的に費用化していいのか、何年で償却すべきかなどで意見が割れたそうです。収束の見えない議論の中で現行のルール維持に傾いたのは、上場企業にのれん償却を導入する方向であった米財務会計基準審議会(=FASB)が、今年6月に突如議論を打ち切った影響もある様です。


欧米で非償却で足並みをそろえる形となった今回の決定は、償却を続ける日本にも影響を及ぼす可能性が大きいと見られています。平時の利益を押し下げる償却ルールのせいで、海外企業と同条件で競争できないという不満が企業の間でくすぶっています。定期償却導入議論の契機は、のれん巨額減損の連鎖が資本市場に混乱をもたらす課題が温存されたままです。


日米欧の主要企業ののれんは2021年度末で合計約6.5兆円に達しており、純資産対比では3割を占めるまでになっています。日本がのれん非償却に動けばリスクも一段と膨らむという見方もあります。会計処理の議論に区切りを付けたIASBは、情報開示の充実という別の道を探っているそうです。9月にM&Aに関する開示の充実を暫定決定しています。


M&A実施がどんな戦略的根拠に基づいているか、目的がどれ位達成されているか、目的達成度を測るための指標、期待されるシナジー(=相乗効果)の定量的開示といった項目が対象になる見通しです。開示を通じM&Aの成否を浮き彫りにすることで、のれん償却議論の新たな手掛かりができるとの期待もありますが、開示の基準化までに時間を要すでしょう。


そもそも、今般のれん償却議論は、日本と欧米で財務諸表を捉える本質が異なることから始まっています。一昔前なら、財務諸表は適正な期間損益計算を行うことを目的としていましたが、それでは貸借対象表の実態を歪め果たして企業の公正価値(≒時価)を評価しずらいという本質的議論がなされ、損益計算書よりも貸借対照表の方を注視する着地を見てます。


それでも日本は、貸借対照表と損益計算書の両方を重視する考えを採ることで、のれん減損の必要性判定した上で、必要あれば一時的減損として処理して定期償却は継続することとしています。ただし、のれんを構成するノウハウなどの無形資産を機械的に償却すべきか議論の余地が残ります。利用者は財務情報を過信することなく目利き力をも効かせるべきです。


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銀行員の目利き力を問う!

皆さん、おはようございます!
サラリーマン時代は、自分の思い通りに階段を順風満帆に昇り詰めてきたと思います。独立してここまでは、山あり谷あり試行錯誤を繰り返しながら波乱万丈な人生を送ってきましたが、ようやく風をはらみながらフラットな状態で大空を舞う感覚が分かる様になりました。



目利き力を調べてみますと「器物・刀剣・書画などの真偽・良否について鑑定すること。また、その能力があることや、その能力を備えた人」となります。それは、その事物について深い見識を持っていることが前提となりますが、ただ単に学んだ形式知のみに頼り判断できるだけでなく、それを経験的に五感で身につけた暗黙知に依るところが大きいと思います。


この目利き力を金融庁がいう銀行員に求められる目利き力になぞらえて捉えてみますと「融資の審査において、顧客の技術力や販売力などの定性面の勘案を含め、顧客の事業価値を適切に見極めるための能力」を指します。ただ単に「過去」の業績である財務諸表から指標を分析したところで、財務安全性を除き事業の将来の可能性を目利きしたことになりません。


これまで銀行は、融資審査時にスコアリングといって、主に財務諸表の定量面に基づいて指数化し、そこに定性面を考慮して加減を加えるという手法をとってきました。いかにも機械的な判断に依ってきた訳ですが、それは銀行員の個人の能力差による判断のばらつきを防ぐ意味と、銀行業としてスケールメリットを追求する為に業務を標準化する意味があります。


融資審査に規則性を持たせてルール化しないと、銀行という組織の縮図の中で上席や審査部に説明できないという問題もあるでしょう。事業の将来の可能性なんて、それこそ見る人によって異なりますので、それを他者に説明し理解を得ることが難しいと思います。しかしだからといって、いつまでもスコアリングの様な方法に頼っていては目利き力は養えません。


私が、信用金庫で仕事をしていた時代は、未だ明確なスコアリング手法というものは用意されておらず、融資をして良いかどうか自らの判断(=目利き力)で決める余地が残されていました。先輩から良くいわれたことは、仮に自分の身銭をお客様に貸し出すとしたら、それが出来るのか否かの意思により融資をするのか否かを判断することを教えられてきました。


しかし、それでも銀行業の悪しき慣習である、不動産担保や経営者個人保証という変数をあたり前の様に考慮してのことであったと思います。それを度外視して、素の事業価値を適切に見極める能力を高めるためにはどうしたら良いのでしょう。事業を見極めるためには、経営者を見て、社員の意欲を見渡し、そして最後に事業そのものを吟味することが大切です。


それぞれを見極める意味と論点は別の機会に譲るとして、まずは事業を目利きする能力を高めるために、数多くの様々な事業を目利きする多くの機会を持つことでしょう。それにより経験値(=暗黙知)として客観的な事業を見る目が養われます。ただし、それでも事業を外から見ているだけでは限界があります。事業そのものを自ら経験することも必要でしょう。


それも、ただ漫然と事業会社で事業経験を積むだけでなく、事業を立上げ成功させるばかりでなく、事業に失敗する経験も不可欠です。出来ることなら事業を営む側として、銀行から資金調達する経験をしてみても良いでしょう。銀行として、行員にそんな息の長い経験を積ませることは出来ないと思いますが、その壁を如何にして打ち破るかが求められています。


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