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減損会計の弾力化?!

皆さん、おはようございます!
先日、家の近所にある深大寺まで、往復1時間あまり気持ちの良いウオーキングを楽しんできました。不要不急の外出を避け、なるべく家で仕事をするよう努めていますが、やはり時には降り注ぐ陽の光を浴びながら心のバランスを保ってみたいと思います。



4月も半ばを過ぎ、そろそろ3月決算の大手企業による決算報告がピークを迎えると思います。今年は、新型コロナウイルスの感染拡大により、どの企業も在宅勤務を余儀なくされており、決算業務を司る経理関連部署は、例年になく繁忙を極めているのではないでしょうか。東京証券取引所も決算報告の時期を緩和しても良いのではないかと思います。


その様な折に、金融庁は新型コロナにともなう需要の急減を受け、会計基準における減損処理の適用を弾力化し、企業がただちに工場や店舗の資産価値の切り下げを迫られないようにする方針を打ち出しています。企業や監査法人が減損会計の判断を柔軟に出来るようにすることで、企業のコロナにともなう業績悪化を和らげる効果を狙っていのことです。


減損処理は、企業が保有する株式や不動産などの資産の価値が大きく下がり、回復すると認められない場合に、当該資産の簿価を時価まで切り下げ、決算時に減損損失として損益計算書に反映させる会計基準であり、欧米をはじめとする会計制度においても採り入れられています。企業が抱える潜在的な損失を早期に開示することを目的としています。


例えば、コロナの影響で、自動車メーカーが工場の生産を止めたり、ホテルの宿泊キャンセルが相次いでいます。企業は利益を生むことを前提に、工場、ホテル、店舗などを固定資産に計上していますが、自動車を生産しない工場や宿泊客のいないホテルは利益を生まないため、当該資産の収益を還元することによる実質価値が目減りすることになります。


金融庁が打ち出している減損処理の判断弾力化は、公正な会計基準の判断方法によることなく、コロナの影響については減損処理を行わなくとも良いとも受け取れる内容だと思います。企業の業績悪化が株式市場に悪影響を及ぼし、更には景気に波及することを避けたい思惑が見て取れます。しかし、果たしてそれで良いのか疑問を持たざるを得ません。


そもそも、減損処理を判断するのに際して、本当にコロナの影響なのかを企業が明らかにすることは難しいと言わざるを得ません。営業自粛要請を受けた店舗ならいざ知らず、間接的な影響を受けた企業全てが該当するといって良いのでしょうか。中には、このコロナ騒ぎに乗じてどさくさ紛れに減損損失の計上を回避しようとする企業もあるでしょう。


本来、企業にはどの様な経営環境においても、自らの経営成績や財政状態を適正に開示する義務があると思います。その企業の利害関係者の立場からしましても、今回のコロナの影響で、いったい企業がどの程度の損失を受けたのかを知る権利があります。それは企業にとっては不可抗力の災害であり、経営者にとって責めを負うべき内容ではありません。


むしろ顕在化された損失を秘匿することなく、いかに将来に渡って補っていくかという建設的な計画を企業が提示してこそ、今回のコロナ問題後の社会を立て直していく道標を明らかにしていくことに通じると思います。私たちも私たち自身の手で、理想とする社会を創造し、それを実現していく責務を負っていることを改めて認識するべきでしょう。


今日もありがとうございます!
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