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株価経営の矛盾!

皆さん、おはようございます!
栄枯盛衰、会社にも時代とともに栄える時ばかりではなく、衰退せざるを得ない時もあります。その意味では、生きものと一緒だと思います。経営判断で一番難しいのは、会社が立ち行かなくなった時に、幕引きをするタイミングであるとつくづく思います。



いま、会社の株主価値を最大化することがグローバルスタンダードとなっています。
欧米諸国の会社に比べて、株価収益率(=PER)や自己資本利益率(=ROE)が見劣りする日本では、株価を高めることが政策課題とまでなっています。確かに、日本の会社は欧米の会社に比べて、生産性が低いということが出来そうです。


同じ売上規模でありながら、日本の会社と欧米の会社とでは利益率が大きく異なっています。生産性とは、従業員1人当たりの付加価値のことをいいますので、利益率を高めていく為には、働き方改革を通して生産性を高めていく必要があると言えるでしょう。生産性を高めるためには、働き手一人ひとりの創造性に負うところが大きいと思います。


ここまでは会社の規模の大小に関わらず、会社における経営の質を問う問題です。しかし、こと株主価値最大化という点については、会社の質のみならず、量をも追い求めることになりますので、特に人口減少が著しくなる日本の経済において、右肩上がりの成長をし続けることを前提としていますので疑問を持たざるを得ません。


確かに情報技術革新を捉えて、イノベーションにより既存事業を改編していく必要に迫られていることは間違いありません。しかも、それは事業の質の転換による新たな成長軌道へシフトすることを意味していますので、社会にとっては歓迎すべきことです。しかし、今までの既存の事業構造のまま成長し続けることには限界があると思います。


株価を継続的に高めることをファイナンスの原理に従って考えますと、株主資本(=純資産、自己資本)から要求されるコスト(=資本コスト)を上回る利益を上げる必要があります。資本コストを上回る利益を生んではじめて株価が上昇する訳ですが、翌年にはその利益が株主資本を構成することになりますので、資本コストのハードルが上がります。


ということは、翌年にはその前年よりも高くなった資本コストを上回る利益を出す必要があります。結果、株価を上げるために毎年、前年よりも多い利益を生み出し続けなければならないスパイラルを背負い続けることになります。これが金融市場からの要請となりますが、必ずしも実物市場では毎年市場が成長するとは限りません。


市場が飽和してしまいますと、会社は限られた市場の争奪戦を始めることになり、海外進出やM&Aを繰り広げ、量を追求しているのが現状です。やがてこれらも頭打ちとなるのは明らかです。その為にも事業の質的転換が急がれます。しかし、全ての会社が質的転換に成功する訳ではありませんし、成功しても同じスパイラルに陥ってしまいます。


この様に考えますと、株主価値を高めることを唯一絶対とする現在の経済界の風潮に問題はないのでしょうか。株主というのは、会社にとっての一つの利害関係者に過ぎないと思います。それら全ての利害関係者の価値を最大化することによって、はじめて社会が円滑になっていくと思います。それが真の意味での企業価値経営といえるでしょう。


今日もありがとうございます!
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