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懐かしのセゾングループ!

皆さん、おはようございます!
アスクルとヤフーの経営に関する確執の中で、創業者である岩田前社長の取締役再任がなされず、新社長として吉岡氏が選任されました。同氏は、以前勤めていた会社で同じ釜の飯を食べた仲間であり、今後の経営手腕にエールを送りたいと思います。



感性経営、生活総合産業を標榜し1980年代に一世風靡した、今はなきセゾングループが懐かしく思い出されます。全盛期にはグループ売上4兆円を誇っていましたが、バブル経済崩壊の怒涛の中で、基幹会社である西洋環境開発の経営破綻を発端として、2001年には事実上グループ解体にまで追い込まれた記憶が昨日の様に思いだされます。


西武百貨店、ロフト、西友、無印良品、パルコ、クレディセゾン、ファミリーマート、吉野家、インターコンチネンタルホテル、J-WAVEなど、約200社からなる企業グループでしたが、今では各々の会社が資本関係を持ちあうことなく、他のグループの傘下または独立した企業体として独自に経営を営んでいます。


各企業はその後も日本を代表する個性豊かな企業にまで成長を果たしており、仮にセゾングループがいまも存続していたとしたら、世界に誇れる非常にユニークな企業グループとして名を馳せていたのではないでしょうか。グループ創業者である堤清二氏(=故人)の先見の明に、改めて感服しない訳にはいかないでしょう。


1964年に池袋にある西武百貨店(=本店)を相続により西武鉄道から分離して堤清二氏が経営を司ったのがセゾングループの起源になります。高度経済成長、その後のバブル経済があったとはいえ30年あまりの年月で、いまでも消費者に受け入れられる数々の企業を創出していることはなかなか出来ることではないと思います。


見方を変えれば、各企業がそれまでの堤清二氏のカリスマ経営の影響から解き放たれ、セゾングループの解体劇を乗り越えることにより、健全な経営へと移行せざるを得なかったのかもしれません。その結果、各社ともセゾングループ時代とは異なり、普通の会社となってしまったとも言えるでしょう。


全盛期のセゾングループは、マーケットオリエンテッドにより文化を創造していくことを自負しており、どちらかといえばカネ勘定よりも新たな業態開発や新商品開発に重きを置いていました。クリエーター志向の強い社員が集まり、新卒の人気企業ランキングでいつも1位に輝いていた感性で仕事が出来る理想の職場であったのかもしれません。


1980年代後半には、オーダーエントリーシステムというグループ横断職種別採用も開始しており、いまの時代を先取りする非常に画期的な人財採用を行っていました。きっといまもセゾングループが存在していたら、新卒一括採用や終身雇用などという旧態依然とした日本型の雇用慣行を見直し、年齢に捉われない通年採用を行っていたことでしょう。


事業の採算性やカネ勘定をある意味度外視して、時代を先取りする新たな事業を展開していくことほど働くものにとって楽しいことはないと思います。そのツケが、グループの中でインキュベーション機能を司っていた西洋環境開発の経営破綻という形で振り掛って来たということが出来ます。


バブル経済下、不動産による信用創造力を背景として新たな事業を創出していく目算が、バブル経済崩壊とともに藻屑となり崩れ去っていったと言えます。その意味では、事業を拡大伸張させようとする積分的な発想と、事業を分析検証する微分的な発想のバランスが不可欠であると言えるでしょう。


いまの社会は、積分的な発想よりも微分的な発想が強まり過ぎてしまい、新たなことを生み出して行こうとする視点に欠けてしまっているということが出来ます。その意味では、少々破天荒であった当時のセゾングループの事業展開について、時代を超えて現在の産業界が参考にすべき点も多々ある様に思われます。


当時を振り返りますと、多くの社員が積分的な発想で新しい事業を創出していく中で、経営企画や経営管理を司っていた少数派の私たちは、なんとか事業の採算をあわせるべく微分的な発想で、奮闘してきたことが懐かしく思い出されます。その時は、希少な役回りとして重宝されて来たと思いますが、貴重な経験であったと思います。


いまの時代は、多くの企業が微分的な発想に陥っており、時代の変革期の中でもっと積分的な発想へと大きく舵をとって行く必要があるでしょう。これから訪れる社会を見据えて、自らが築き上げてきた経営資源を生かし、そこに少しだけ新たな要素を入れることにより、今までとは異なる新たな事業の可能性を開花させることが出来ると思います。


今日もありがとうございます!
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