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コーオウンド・ビジネス!

皆さん、おはようございます!
盛夏という言葉が似合うくらい暑い日が続きます。自宅に植えられている植栽たちも、夏の陽の光を一身に浴びて、日に日に伸び伸びとたくましく成長している姿が手に取る様に見て取れます。これも自然のメカニズムに囲まれて育まれている証なのでしょう。



いまの資本主義社会は、当初それを予定していた時に比べて歪な構造になってしまっている様に思えます。実体経済と金融経済のバランスが取れている時ならばまだしも、金あまり現象で、金融経済が実体経済を凌駕するようになってしまってからは、企業にそのひずみが出てきていると言えるのではないでしょうか。


経済が右肩上がりに成長しているときであれば、企業が戦略をもって新商品開発や新規事業創出を行わなくとも、モノが飛ぶように売れたと思います。ただし、その時には企業成長にともなう資金需要に供給が追い付かず、一定の制約が企業に課されていたと言えます。金融経済よりも実体経済の方が大きかったからです。


それが、社会にモノが行き渡り、新たなマーケットを見出すことの難しい成熟した社会になりますと、ダブついた資金を背景に企業はM&Aによりマーケットの争奪戦を繰り広げ、あたかもそれが自己の成長に繋がっているような錯覚に陥っています。マーケット全体でみれば、買収額以上の付加価値を生んでいないからです。


今では企業にとって最大の利害関係者である株主に気を取られ、株主価値(=株価)を最大化するためにROE(=自己資本利益率)やROIC(=投下資本利益率)といった財務指標を最大化することが唯一の経営目的であるが如く立ち振る舞っている姿がそこにあります。事業を通して社会に利益をもたらすという目的を忘れています。


その様な財務係数に追われる無機質な職場環境の中で、働き手も何のために事業会社に身を置いているのか疑問を持つのみならず、疎外感すら覚えてしまうのではないでしょうか。働き手のモチベーションまでも低下させている中で、どんなに働き方改革という施策を打っても、企業の付加価値を高めるような生産性の向上を望むべくもありません。


いまや企業は社会的公器である立場から遊離してしまい、金融経済の中に組み込まれてしまっている観(=大きな経済圏)が強まっていますが、やはり企業本来のあるべき姿は一社会市民として身近な社会の課題を事業を通して解決していくところに真価が問われるものだと思います。悪戯に現代の資本の論理に流されることなく実業を営むべきでしょう。


資本主義という一点に現代の社会の問題点を押し付けるのではなく、本来のあるべき資本主義の枠組みを見出していく時期に差し掛かっているものと思います。いまの社会は実体経済と金融経済で各々異なる事業主体が棲み分けています。個人資金の多くが金融事業者を介して実体経済を営む企業に還流している現代社会の枠組みにも問題がありそうです。


これがもし一地域市民や従業員が自らの生活を支える企業、自らが働く企業の影響株主・支配株主となるコーオウンド・ビジネス(=従業員等所有事業)であったとしたらどうでしょう。自分たちが生活する地域経済を支える事業を自分達自身が所有して運営していく自己完結型の新たな経済の枠組み(=小さな経済圏)です。


きっと「私たちの会社だ」という意識が仕事に対する意欲と参加意識を生み、仲間との協力が自然な形で醸成されることでしょう。仕事の努力の成果である利益が公平に分配され、その事業に参画する仲間たちが利害を共有する枠組みは、金融経済に偏ることのないバランスの取れた地域社会、働く環境、資金循環を育んでいくことでしょう。


私たちの生活から遊離してしまった企業を再び私たちの手中に取り戻すことが可能となります。このコーオウンド・ビジネスを新しい社会の枠組みと書きましたが、実は今までにも生活協同組合や信用金庫など、協同組合組織として存在してきたものです。これらも出資者と運営者が乖離してしまっていますが、働き手と出資者が連接点になるべきです。


コーオウンド・ビジネスを採り入れはじめている企業が世界的にも増えつつあります。例えば、社員9万人の英国デパートチェーン「ジョン・ルイス」やゴアテックスで有名なスポーツ素材メーカー「ゴア」など。日本でも「日本レーザー」や「ぴあ」が全従業員に譲渡制限付き株式付与に動き出しています。


後継者のいない中小企業の存続が懸案となっている日本において、このコーオウンド・ビジネスを採り入れてみてはどうでしょうか。自分たちの地域を皆で支えあっていく地域社会が企業活動を通して育まれていくのではないでしょうか。今こそ行き過ぎた資本主義を見直し、地域の生活者みんなが幸せを分かち合えるような社会にして行くべきでしょう。


今日もありがとうございます!
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