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イオンの食のSPA!

皆さん、おはようございます!
様々な産業があるなかで、いま急速に既存のビジネスモデルの変革を進めつつあるのが、小売産業と自動車産業だと思います。やはり情報技術革新により、お客様との関係が単に商品を買って貰うだけの存在から、継続的なサービスの提供へと変化しつつあります。



いままで小売業のビジネスモデルを類型化してみますと、それはメーカーが製造した商品を調達し、自社の店舗に全ての商品を陳列して直接消費者に販売するという意味から「販売モデル」、もう少しその行為を法律に則して言い換えてみますと「売買モデル」とでも言うことが出来ると思います。


そのビジネスモデル転換の一つの方向が、ネット販売との融合であることは昨日ブログにてお伝えした通りです。アマゾンはリアル店舗を運営するスーパーマーケットの取り込みを始めており、リアル店舗事業の巨艦ウォルマートはネット販売事業の買収による強化を急いでいます。


アマゾンのビジネスモデルもネット販売ではありますが、仕入れた商品を販売するという意味においてはやはり「販売モデル」ないしは「売買モデル」ということが出来ますが、同社のプラットフォームや物流システムを利用して他社製品の販売と配送を代行しているという意味では「プラットフォームモデル」をも含んでいると言えます。


小売業のビジネスモデル転換のもう一つの方向が、ファーストリテイリングやニトリなどの業態であるSPA(=製造小売業)ということが出来ると思います。このSPAという業態のビジネスモデルは、単に商品をメーカーから仕入れるのではなく、自主企画した商品を委託生産していることから、半ばメーカー機能を兼ね備えた小売業です。


その意味では「自主生産モデル」ないし「プロデュースモデル」ということが出来ます。なぜプロデュースかといいますと、プロデュースという語彙には製品等を企画し生み出すという意味があるからです。小売業は、直接お客様と接して商品を販売する訳ですから、一番お客様のニーズを知り得る立場にあると言うことが出来ます。


そのお客様のご要望を商品開発に繋げていくことが、究極の小売業と言えるでしょう。その為にはメーカーが開発した商品を調達することに留まらず、自ら商品開発を行うことが自然の流れだと思います。中には、メーカーと共同で商品開発を行うという選択肢もあるのかもしれませんが、インシアチブを持てるか否かはメーカーとの力関係だと思います。


イオンはスーパー業態の業績低迷に悩んでいましたが、今後の一つの方向として食の製造小売りに活路を見い出して行く方針です。働く女性や高齢者が増えていることに注視して、これからの店づくりとして、売り場面積の約4割をも冷凍食品を含む惣菜売り場として割く計画であり、イートインコーナーも採り入れていくそうです。


岡田社長が描く食のSPA化は、安全で鮮度の良い原料から、生産、物流、販売までを自社で手掛け、問屋に依存して同質化しがちだったスーパー事業の差別化を図って行くことに狙いがあります。前面に打ち出すのがプライベートブランドである「トップバリュ」であり、2018年に約8千億円だった売上を2020年までに1兆円にする考えです。


スーパー業界での総菜類SPA化という取り組みは初めて聞きますが、確かにこれからの時代の要請として中食分野は、働く女性や高齢者の増加から、市場は拡大する一途でしょう。野菜などの素材を購入して、家で下ごしらえをして調理するという時代ではないのかもしれません。料理も時間のある時に楽しみながら行うものかもしれません。


小売業界における、情報化による顧客管理の質的向上と物流の効率化、および小売業という垣根を越えて商品を企画開発するというSPA化という大きな二つの流れがあります。
各々、別々な要素にも見えますが、実は商品を媒介としてそれぞれが情報システムというサプライチェーンで繋がっており、それが業態の転換を迫っていると言えます。


情報技術の進展により、お客様の購買履歴をAI(=人工知能)等で解析することにより精緻に顧客の需要を捕捉することができます。その情報を基にすればお客様が欲する質の高い商品を企画開発する精度が高まると思います。そして、情報化の進展により限りなくカスタムメードに近付けていくことが可能になって行くでしょう。


また、それと併せて物流や在庫管理などを含めた商品管理の高度化が進むでしょう。ファーストリテイリングが「情報製造小売業」を標榜する意味はここにあります。従来の小売業にとって、情報化は単なるネット販売に留まらない、業界の垣根を越えた新たなビジネスモデルの出現を意味します。モノづくりから情報の時代と言われる所以です。


今日もありがとうございます!
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