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ウォルマートとアマゾンのビジネスモデル!

皆さん、おはようございます!
M&Aの世界を見ていますと、既存事業の規模を拡大する為に海外展開を図るなど、市場を獲得する形の同業他社買収が圧倒的な数を占めています。本来は、イノベーションの必要から既存事業のビジネスモデルを変えるM&Aが為されるべきでしょう。



昨日のブログで、ビジネスモデルの意味や必要性について記載してみました。ビジネスモデルとは、収益を上げるために事業が持つ固有の仕組みやシステムを類型化し紐解くことにより、その事業の構造を端的に理解するためのツール(=方法)であると言うことができます。既存業界内の企業であれば、だいたい同じような類型に当てはめられます。



ところが、情報技術(=IT)の発展により、今までの既存事業にはない新しい形のビジネスモデルが出現する様になっています。どの様な業界でもIT武装なしには、今後のビジネスの存続が考えられないまでに至っています。その意味では、既存企業、スタートアップ企業による玉石混合のビジネスモデル競争の時代にあると言うことも出来ます。


既存ビジネスにおける小売業の代表格といえば世界的に店舗展開する米ウォルマートでしょう。「Every Day Low Price」で標榜されるように、極限までスケールメリットを追求した経済合理性により、小売業界を凌駕してきた企業の代表格と言えるでしょう。そんなウォルマートも米アマゾンの出現に手をこまねいているようです。


ウォルマートのビジネスモデルは、突き詰めれば商品の「販売モデル」ということが出来ると思います。多様な商品をメーカーより調達して店舗に陳列を行い、店舗に来店した消費者が各々の欲求に照らし合わせてそれを購入するという意味では、メーカーと消費者を仲立ちすることを生業としています。


ウォルマートならではの消費者への提供価値(=What)は、商品価格の安さでしょう。1万店にも及ぶ店舗網で2018年度には56兆円もの売上を稼ぎ出しており、この販売力を背景に、スケールメリットを追求して、メーカーから安い価格で商品を調達することを実現しており、それがまた売上の拡大へと繋がっています。


これだけの数の店舗網で取り扱う商品のアイテム数は相当の数に上るため、通常であればスケールメリットを通り越して、スケールディスカウント(=規模の不経済)を起こしそうなものです。しかし、ウォルマートでは早くから情報システムを導入し、商品1個ずつ単品管理を実現しており、人工衛星を利用して世界中の各店を繋げています。


それと同時に、メーカーから各店へ商品を配送する効率的な物流網を構築して在庫ロスのない商品販売を実現している訳です。これがウォルマートの消費者へ商品を提供するプロセス(=How)の特徴となっています。ところが、消費者である顧客管理が手薄であり、そこにアマゾンが付け入っているということが出来ます。


ご存知の通り、アマゾンは書籍の販売からはじめたネット通販ビジネスということが出来ます。ビジネスモデルの類型は、突き詰めればウォルマートと同様商品の「販売モデル」ということが出来ますが、インターネットを介して商品の販売を行うため、創業当初より1to1マーケティングという消費者の購買履歴を活用した顧客管理が出来ています。


その購買履歴を活用して、消費者の好みにあった商品をネットで提案することにより、売上を確実に増やすことが出来ます。また、ネット通販というWebプラットフォームを自社が取り扱う商品以外の業者に開放することにより、リアル店舗では販売数量が少なくて取り扱えない様な非常に多岐に渡る商品を提供している所に特徴があります。


そして、消費者が購入した商品を自宅まで届ける物流網を全世界に張り巡らせていることがアマゾンの実態が物流会社ではないかと言わしめるほどの強みとなっており、これがアマゾンの提供価値(=What)でありプロセス(=How)ということが出来ます。
そのアマゾンがリアル店舗を持つスーパーマーケットの囲い込みを始めています。


それは、生鮮食品などネット販売や宅配には馴染まない商品の販売に触手を伸ばしはじめたことと、消費者は必ずしもネット販売のみならず、実際にリアル店舗に行って商品を見定めながら購入したいと言う需要に応えるためということが出来ます。ネット販売とリアル販売へと全方位網をひきはじめている訳です。


ウォルマートもネット販売に力を注ぎはじめていますが、一朝一夕にはアマゾンが既に構築したネット販売網に追いつくのは現実的に考えて容易ではないと思われます。
アマゾンエフェクトによりリアル店舗販売するスーパーマーケットの経営が困窮を極める中で、アマゾンがスーパーを手中に納める方が容易いでしょう。


今日もありがとうございます!
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