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トヨタのカーシェアリング!

皆さん、おはようございます!
社会システムの一つの歯車の動きが変わると、それにつれて周囲の歯車の動きにも影響していく。その様に社会の仕組みは、少しずつ確実に移り変わっているものだと思います。消費者にモノやサービスを届けるビジネスほどその影響が大きいのでしょう。



トヨタ自動車は、2019年中に地方の系列ディーラーでクルマの相乗り移動サービス(=カーシェアリング)を始める方針です。同社グループのアイシン精機が愛知県豊明市で始めたカーシェアリングサービス「チョイソコ」のシステムを活用する計画です。
高齢者などの交通弱者を病院や商業施設などへ送り届ける事業内容です。


カーシェアリング事業は、まず鹿児島や兵庫などのカーディーラーで検討し、全国に広げる予定です。アイシン精機が開発したシステムは、複数の利用者がいる場合でも、異なる目的地の中から最適な運行ルートを導き出すことが出来ます。実際のクルマの運行は、地域のタクシー会社などに依頼することを想定しています。


カーシェアリング、自動運転などを目指すCASE時代においては、自動車の消費方法が所有から利用に変わることが見込まれ、カーディラーでも自動車販売以外のサービス提供を事業の柱として構築していく必要があります。いままで自動車を仕入れて販売するというシンプルなビジネスモデルであったカーディーラーにも変革の波が押し寄せています。


各産業における既存事業のビジネスモデルの原点は、自らが持つ技術やノウハウを活用してモノやサービスを創り出し、それをお客様に提供していくという「自主生産モデル」であるということが出来ます。しかし、自らが創りだした商品を広くお客様に買って頂く為には、販売拠点を広げていく必要があります。


自社で各地に販売拠点を設けても良いのですが、それでは手間がかかり効率が良くないため、自動車メーカーでいえばカーディーラーという販売拠点を設けて代行してクルマを販売して貰うことにした。ここに、クルマを仕入れてお客様に販売するという新たな事業のはじまりがあり、このビジネスモデルを「販売モデル」ということが出来ます。


「販売モデル」には、契約形態によって代理販売、フランチャイズ販売、仲介販売などがあり、「自主生産モデル」をとる他の事業者から商品の提供を受けて、商品の販売に専念する事業主体であると言えます。直接お客様と関係を持ち、お客様のご要望に直接応えていく存在であるということが出来ると思います。


今回、地域カーディーラーが取り組もうとしているカーシェアリング事業は、いままで販売していたクルマという商材を販売するのではなく、利用するというサービスに置き換えることに着目しますと商品の価値を変容させています。このビジネスモデルを「販売モデル」から「価値変換モデル」への変容だということが出来ます。


一方で、アイシン精機が開発したカーシェアリングシステムを活用して地域のタクシー会社を巻き込み運行を委託する形態を採っています。カーディーラーの役割としては、相乗りするお客様と運行するタクシーとをマッチングするプラットフォームを提供するという意味では「プラットフォームモデル」ということも出来ます。


これからの時代、複数の企業が連携して一つの事業を運営していく時代であることを考えますと、各社が集う場であるプラットフォームという考え方は重要であると思います。
また、そういった新たな事業の仕組みを考え、構築していく事業プロデュース機能もビジネスモデルとして大切になってくると思います。


また、アイシン精機のシステムは、複数の相乗り者の希望乗降地からもっとも効率的な運行ルートをAI(=人工知能)により即座に割り出すという意味では、これもこれからの時代に不可欠な「情報解析モデル」になると言っても良いと思います。アマゾンの顧客購買履歴を用いた購買動向分析なども情報解析モデルであると言って良いと思います。


自動車メーカーなどは、いまやパーツを外部企業から調達し、自らが企画開発した自動車を組み立てることに専念していると言う意味では、純粋な「自主生産モデル」とは異なり、「アセンブリモデル」と言ってもよいかもしれません。ハウスメーカーなどは、規格化住宅を組み立てることに専念していますので、これもアセンブリモデルと言えます。


この様に、これからの事業というものは、原点である「自主生産モデル」を核として、派生的に創出されて来た「販売モデル」、「アセンブリモデル」、「価値変換モデル」、「プラットフォームモデル」、「情報解析モデル」といったビジネスモデルの一つまたは複合的な組み合わせとして営まれて行くものと考えます。


今日もありがとうございます!
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