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オーケストレーター!

皆さん、おはようございます!
世界的に企業のビジネスモデルを研究しようとする経営学者の動きがにわかに活発になっています。まだまだ学問というには知見も歴史も浅く、共通した定義づけがなされていないばかりか、ビジネスモデルを類型化すること自体が学者によって区々となっている状況です。



ビジネスモデルの中に「オーケストレーター」という耳慣れない形態があります。このビジネスモデルは、ある製品・サービスに関するバリューチェーン内の特定の機能を担いつつ、その他の機能については他社にアウトソーシングすることで、バリューチェーン全体の最適化を図っていく戦略です。アスクル、ラクスル、DELL、IKEAがそれに該当します。


コンピューター販売大手のDELLは受注生産方式を採っていますが、同社がパソコンという完成品を消費者に届けるという一連のバリューチェーンの中で主に担っているのは、製品の企画やマーケティング、販売、アフターケアなどです。その他の部品製造・調達や製品の組み立て、配送などは他社にアウトソーシングしており完全なファブレス企業と言えます。


コンピューター販売におけるバリューチェーン内の付加価値を生む活動を行いながらも、他の活動は外部企業の協力を得つつ、バリューチェーン全体の最適化を果たそうとするプレーヤーのことをオーケストレーターと呼んでます。要点はオーケストラレーターは特定の機能を担いつつも、他社を巻き込んでバリューチェーン全体のコントロールしていることです。


コンピューター販売は通常、ある程度のスペックが決められた組み合わせによって幾つかの種類の完成品をメーカーから小売店を通じて消費者に届ける仕組みです。見方を変えますと在庫をストックした上で販売する方式ですと陳腐化の激しい「在庫リスク」を抱えるビジネスだった訳です。これに対しDELLは受注生産方式によってこのリスクを解消してます。


あたかもオーケストラの指揮者のような立場でバリューチェーン全体を再構築しているところに特徴があります。業界は異なれDELLと同じビジネスモデルを採っている国内企業に名刺など印刷を手掛けるラクスルがあります。消費者が自由に印刷物をデザインするテンプレートのあるプラットフォームを持ち、販売するまでのバリューチェーンを担っています。


ユニークなのは、実際の印刷は外部印刷業者に外注していることです。印刷業者から見れば季節閑散に応じてどうしても輪転機に未稼働時間が出てしまいますので、その様な時間に消費者からの注文をマッチングして稼働率を平準化する仕組みを構築しており、自らは企画やマーケティング、販売などに傾注しながら全体のバリューチェーンの最適化を図ってます。


このオーケストレーターというビジネスモデルは、特定業界における知見があれば、あとはアイディアや構想力により多くの資本投下することなく参入し易いモデルということが出来るでしょう。できることなら固有特許権や他社が真似のできないサービスアイテム、外部連携企業との揺るぎない関係を築くことにより参入障壁を高める必要があるかもしれません。


旧態依然とした構造を持つ業界において、その知見とビジネスモデルやビジネスストラクチャーを描き出す企画力と開発力を持っていれば、情報技術などを活用して消費者との販売やアフターサポートといったインターフェースを整えることによりバリューチェーンの最適化が図ることができ、これからの産業構造の転換期にとても面白い事業展開が可能でしょう。


今日もありがとうございます!
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