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株式取得額の費用計上について!

皆さん、おはようございます!
大谷翔平選手のドジャースへの入団に際して、契約金額が10年間で約1015億円という途方もない金額に驚かされました。個人として糧を得るための仕事には様々なものがありますが、エンターテイメントという自らの肉体を駆使した仕事ではこれ以上はないでしょう。



政府・与党は2024年度税制改正で中小企業のM&A(=合併・買収)に関する税負担を軽減する為、買収した株式取得額の最大100%を税務上の費用(=損金)に参入できるようにするそうです。従業員2000人以下の中堅企業も税優遇を受けられるようにします。政策判断とはいえ、コーポレートファイナンスを預かる立場として少し複雑な気持ちです。


M&Aを活発にして後継者不在に悩む優良な中小企業の事業存続につなげる狙いです。また
、小規模企業には難しい販路開拓や総務部門の効率化も促すそうです。いずれも中小企業にとって、私自身も目の当たりにしている改善すべき経営課題だと捉えています。その為には
、税優遇によりM&A型事業承継や販路開拓・管理業務強化を図ることは正しいでしょう。


中小企業をM&Aした場合に株式取得額の70%を損金算入できる現行の税制措置を拡充し
、1社目の株式取得は70%、2社目は90%、3社目以降は100%を損金算入できる方向で調整がなされています。中堅企業による中小企業の買収では、1社目は優遇しないものの、2社目、3社目は同水準にする方向だそうです。果たして実効性があるのか疑問です。


過去5年以内に1億円規模以上のM&Aをしていることを優遇税制の条件にする方針だからです。取引水準が1億円以上のM&Aは、そうざらに存在するものではありませんし、仮に中堅企業にとっても1億円以上もの投資を行うことは社運を大きく左右する取引になるからです。大手ですらM&Aで成功させている企業は一握りに過ぎないことを認識すべきです。


だからか経営力向上策などの計画の認定を受けることが条件となっているかもしれません。しかしながら、経済産業省が認定している経営力向上計画は形式的に従業員への報酬を増やすことなどを要件として満たしているかどうかを判定するのみです。その様な計画書ではM&Aによる相互補完効果を測れないばかりか、M&Aの足枷にすら成り兼ねないでしょう。


政府・与党が将来に向けたビジョンを描き切れないでいる中、本来あるべきM&A型事業承継や販路開拓、管理業務強化策を正しく導くことは出来ないのではないでしょうか。悪戯に株式を取得すればよい、販路開拓の強化や管理業務の効率化を進めれば良いというものではなく、そこには転換期を迎えた産業構造下におけるビジョンや事業戦略が不可欠なのです。


税制優遇策とともに中堅・中小企業が正しいビジョンをや経営戦略を描いていく為に必要な支援策もパッケージで用意することが大切です。例えば経営力再構築型経営改善計画をそれを伴走支援できる専門家とともに描く必要もあるでしょう。それは中堅・中小企業経営者にとっての弱みである意志を明確にすることを通じて、事業理念やビジョンを描くことです。


そうやって描き出した経営計画を一律で評価し、税制優遇を受けるための条件を満たすことは、ある意味ナンセンスだと感じてしまいます。これからの社会は個性溢れる事業を創出していく必要があるのに、均質化させてしまう弊害があるからです。政策側が公平性を期す必要があることは分かりますが、それではこれからの社会に期待感が持てなくなるでしょう。


今日もありがとうござます!
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