誰にも聞けない経営財務戦略!

ビジネスの未来を財務と心で読み解くブログです!

CREATE LIFE!
より良い暮らしを創造しよう!

http://crelife.co.jp

IT企業に変身するJR東日本!

皆さん、おはようございます!
先日、東京は八王子日野バイパス沿いにある角上魚類という鮮魚専門チェーンストアに初めて訪れてみました。結構前からその存在は知っていたのですが、近くへ訪れたので百聞は一見に如ず立ち寄ってみました。新潟県の寺泊港から毎日直送される鮮魚類を見て圧巻です。



JR東日本が民営化以来、最大の岐路に立たされています。新型コロナウイルス禍で客足がコロナ前に戻らない状況にあり、都心の在来線と商業施設の相互送客で稼ぐビジネスモデルが行き詰ってます。首都圏人口も減少に転じており、抜本的な手を打たなければじり貧が避けられず、鉄道一本足からの脱却に向けて組織、働き方、事業すべてを刷新する考えです。


JR東日本が目指すのは、ヒト・モノ・カネの膨大な情報の蓄積を生かし鉄道事業も経営するIT企業へ脱皮することです。1日1300万人がJR東日本の鉄道を利用し、旗艦商業施設であるルミネ新宿には8万人が来店しているそうです。スイカは9300万枚超という圧倒的保有数を誇っており、この蓄積された情報をビジネスに活用しない手はありません。


昨年6月には本社機構再編によりマーケティング本部という戦略組織が誕生しています。同組織を軸に官僚機構にありがちな縦割りとなった組織にメスを入れ、新しいサービスの開発に舵を切って行く事としています。既に成長に向けた種は蒔き始めており、スイカを初めとする20種類以上に及ぶ会員IDデータを統合し、広域デジタル経済圏をつくる計画です。


2024年春にはその起点となる銀行代理業「JRE BANK」を立ち上げて、預金や住宅ローンなどのサービスに参入する準備を進めています。金融サービスの利用に応じ、新幹線や駅ビルなどで使えるポイントを付与する特典も検討している様です。銀行口座を基盤に流通や不動産など各事業を一体化したサービス展開が期待できるのではないかと思います。


JR東日本としては、口座数が増えればデータベースを活用した新しいサービスの開発も考えられるとしてます。例えば、既にスイカを介した乗降者の利用状況を集計して、駅周辺の市場分析などに活用できるデータサービス「駅カルテ」を販売していますが、金融事業のデータが加わることにより、ビッグデータとして高い競争力を保持することになるでしょう。


JR東日本は、これまで新宿などターミナル駅の優良資産を有効活用し商業施設を構えて鉄道事業との相互補完効果を追求するビジネスモデルが既に劣化しているとの認識に立っています。鉄道事業の定期収入はコロナ前比で8割の水準にまで落ち込んでいます。富裕層の消費で復活した三越伊勢丹などの百貨店と異なり、ルミネは少子化で減少しているそうです。


JR東日本は、鉄道事業が営業収益全体の6~7割を占めています。ただし、2023年3月期の部門別利益見通しでは鉄道事業など運輸業の売上高営業利益率が1%に満たない状況にあり、流通・サービスの同14%、不動産・ホテルの同23%に比べると見劣りします。
足元の時価総額は約2兆9千億円、2000年の2兆7千億円とほぼ同じ水準のままです。


一見、JR東日本という途轍もなく大きな企業であり安定している様に見えますが、内実は非常に厳しく正しく背水の陣といったところでしょう。財務数値の絶対額が大きくても業績効率が悪ければ企業規模に拘わらず経営破綻することもあり得るのです。公共事業だからといつまでも縦割り組織機構に甘んじることなく、大胆な変革を成し遂げることを願います。


今日もありがとうございます!
https://crelife.co.jp

×

非ログインユーザーとして返信する