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大和ハウスの2つの顔!

皆さん、おはようございます!
必要なノウハウを持つ人財を紹介するだけで業務報酬の一定額を歩率で得る慣習が一部であるようです。人材紹介会社やM&A仲介会社の様にマッチングを本業としているのであればそこに労力を費やしているので理解できます。そこはやはり信用に尽きるものと思います。



大和ハウス工業がゼネコンとディベロッパーの事業を組み合わせた経営戦略を採ってます。
2つの顔を使い分けるため全体像が分かり難く、市場からは評価されていないようです。それでも国内外でこの戦略を続けるのは、将来が不透明な事業環境の中でリスクヘッジを図りながら安定的に成長して行こうとする考えからなのでしょう。石橋を叩いて渡るかの様に。


同社は1955年に住宅メーカーとして創業してますが、倉庫や工場等の建設を請け負うゼネコンとしても成長してきた経緯があります。2000年代以降は物流施設などの不動産を開発するディベロッパー事業にも進出して伸ばす一方で、2013年には準大手ゼネコンのフジタを買収してます。建物請負工事でキャッシュを稼ぐのが厳しくなったのが理由です。


2022年3月期の売上高営業利益率は8.6%で、大林組や鹿島、大成建設の大手ゼネコン3社の平均4.8%を上回っています。一方、三井不動産や三菱地所、住友不動産という大手ディベロッパー3社の売上高営業利益率19.1%には及びませんが、総資産利益率では大和ハウスが4.3%であるのに対してディベロッパー3社の2.4%を凌いでいます。


総資産利益率が高いのは数字のマジックがあり、開発した物流施設などの物件を投資家に売却する持たざる経営が理由としてあるからです。不動産開発利益が売上高営業利益率の中に含まれていると想定できますので、軽はずみに大手ゼネコン3社より建物請負工事の事業効率が高いとは言えませんが、大手ディベロッパー3社より資金効率は高いと言えそうです。


大和ハウスの借入金は相対的に少なく、有利子負債を自己資本で割ったDEレシオ(=負債資本倍率)は0.76倍と1倍を下回っています。大手ディベロッパー3社平均1.62倍に比べれば半分以下となっています。不動産開発事業への投資基準も従来の内部収益率(=IRR)8.5%から10%に引き上げ、これからの金利上昇にも備えているといいます。


この様に大和ハウス工業を俯瞰してみますと、もちろんハウスメーカーとしての商品開発にも余念がないのでしょうが、財務に主眼を置いた経営戦略を採り過ぎており面白みに欠けます。事業を行うという事は、売れるかどうか分からない商品開発に注力するよりも、効率的に優良な財務諸表を追求した方が手っ取り早いという合理的な考えに基づくものでしょう。


その様な大和ハウス工業を見ていて感ずることは、そこまで財務面を強調するのなら何故、企業価値経営を追求しないのか疑問も残ります。足下の株価は3100円前後と5年前に比べて2割以上落ち込んでいます。2023年3月期ベースの株価収益率は9倍で東証プライム市場平均の13.9倍を下回り、株価純資産倍率も0.9倍と1倍を割り込み低調です。


不動産投資のディベロッパーと建設請負のゼネコンの顔を使い分ける戦略を採るにしても、それは方法論であり不動産金融事業を営むのでなければ、それらによってどの様な付加価値ある不動産をこの社会に創っていきたいのかを明らかにすべきではないでしょうか。ゼネコン事業ならいざ知らず、ディベロッパーとは社会を創り出していく夢のある仕事の筈です。


今日もありがとうございます!
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