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エーザイ柳CFO!

皆さん、おはようございます!
映画「トップガン・マーヴェリック」を観てきました。若かりし頃に観てから30年余りが経つでしょうか。同じ世代のトムクルーズ演じるマーヴェリックは、戦闘機を操縦することに拘り続け現役を貫き通す役の設定ですが、そんな一途な彼に思わず共感してしまいます。



エーザイでCFOを務めてきた柳氏が6月17日付退任するそうです。柳氏はコーポレートファイナンスで博士号まで取得する、日本企業では珍しい本物のCFOです。ESG(=環境・社会・企業統治)と企業価値の関係を研究・発信してきたことが印象に残ります。その柳氏が退任記者会見の席上、日本企業の株価が過小評価されていることに言及されてます。


柳氏によれば、日本企業のPBR(=株価純資産倍率)を足元の1.2倍程度から2倍に引き上げることが可能とするコメントを残してます。ESGを定量化し投資家を説得すれば、企業価値を倍増できると判断しているからです。その為に平均自己資本利益率(=ROE)を主要企業過去5年間の平均ROE8%強を底上げし10%を目指す必要があるようです。


PBRとROE、PER(=株価収益率)の間にPBR=ROE×PERという関係式が成り立ち、PBR2倍とすれば日本企業が目指すべき水準はROEが10%、PERが20倍であるとしています。その為に、技術革新による利益率の向上を図ること、および貸借対照表のマネジメントにより、最適な効率的な資本構成を目指すことも重要であるとしてます。


短期志向で人件費や研究開発費を減らせば、縮小均衡となり技術革新は生まれません。また
、財務情報として環境問題への対応や内部統制などはリスクを下げるので資本コスト低減につながり、女性の登用や脱炭素での技術革新などは利益成長率を高めることができ、株価やPBRの底上げに繋がるとの持論を展開しています。理論の基本に忠実なご意見でしょう。


柳氏は、自らの持論を実証検証的に明らかにしており、その意味では国内企業におけるコーポレートファイナンス(=企業財務)の考え方に一石を投じた功績は大きいと思います。論より証拠、CFOを務められたエーザイの業績を株式市場に対して適切に説明しながら、余すことなく評価して貰うことに尽力され、高い株価推移を維持してきたと言えるでしょう。


日本においてはCFOといいますと、大手企業においてすら未だ経理部長や財務部長といった狭い領域の最終的なあがりのポストといったニュアンスが含まれています。しかし、本来は経営そのものを経理や財務といった言語で語る役回りであるべきだと認識しています。広義の財務係数に長けた、それを通して経営をどうするべきかを語ることが不可欠でしょう。


CEOとともにパーパスを明確にしながら、ビジョンを打ち立て、事業計画に落し込む参謀としての役割が望まれます。そもそもCEOという経営トップであっても、孤軍奮闘、独りで経営を司ることは出来ません。人間は自分で自分の考えが分かっている様でなかなか分からないものです。その様な時にCFOというメタ認知能力を高めてくれる存在が必要です。


これからの時代を見越しますと、これ迄ほど企業規模は意味をなさなくなってくると思いますので、中小企業であっても将来に向けた志の高い企業ほど、本当の意味でのCFOを招き入れるべきだと思います。その意味では、日本において経営を語れるCFOの存在は希少であり、もっと政策的に育成して行くことが、我が国経済の底上げに繋がるものと考えます。


今日もありがとうございます!
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