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業績不振が続く旅行業界!

皆さん、おはようございます!
三寒四温。冬から春への季節の変わり目で、天候は比較的晴天に恵まれているものの、気温の目まぐるしい寒暖差には驚きを隠せません。冬物の洋服を身に纏ったり、ジャケットを脱いで外出をしたりという状況ですが、一歩ずつ春が近付いていることが嬉しい限りですね。



旅行業最大手のJTBが、3月末日付で資本金を現在の23億400万円から1億円に減資します。税制上、中小企業とみなされることで税負担を軽くするほか、今期発生する巨額損失の補填原資を確保することを目的としています。外出自粛による苦境が一段と深まっており、減資は緊急事態宣言の影響を受けた航空業界や飲食業界でも相次いでいるようです。


JTBの2020年4~9月期の中間決算によると781億円の連結最終赤字に転落しています。株主資本のうち利益剰余金は2020年9月末で799億円と、半年でほぼ半減しています。10月以降も利用者は回復しておらず、2021年3月期は過去最大の1000億円の経常赤字を想定していることからすると利益剰余金は500億円にまで減少します。


JTBとしては、国内店舗の統廃合で25%削減する他、早期退職や採用抑制でグループ全体で27000人いる社員のうち6500人の社員を減らす計画を打ち出しています。しかし、東京五輪・パラリンピックの開催も危ぶまれ、開催されても無観客が想定される中で、観光の低迷が長引けば更なる経営構造改革に踏み込まざるを得ない状況に至っています。


観光庁によるとJTBの旅行取扱高は2020年5月に前年同月比96%減の51億円まで落ち込んでいます。その後「Go To トラベル」による需要喚起策により国内旅行は11月に同28%減まで回復したものの、感染再拡大により12月には同41%減にまで再び落ち込んでいます。コロナ禍は1年以上になり、旅行業界は厳しい状況に追い込まれてます。


旅行業界他社に目を向けますと、12月は海外旅行が主力のエイチ・アイ・エス(=HIS)が同87%減、近畿日本ツーリスト各社を傘下に置くKNT-CTホールディングスが同56%減となっています。緊急事態宣言が追い打ちをかけた今年1月以降は更に需要動向が落ち込んでいることが予想され、宣言解除後の業績回復についても不透明さが残ります。


まずは国内の宣言が解除されても海外のコロナ禍収束に未だ時間を要することを考えますと海外旅行者の回復には時間を要することが考えられます。JTBの売上高に占める海外旅行の割合が3割強にも及んでおり、海外旅行主力のHISなども業績回復が見込みずらいと思います。そうでなくともネット旅行事業者が勢力を増す中で、既存事業者はじり貧です。


元々、旅行事業というものは鉄道、航空、ホテル、旅館といった素材提供事業者の商品を旅行という商品パッケージにして顧客に提供する手数料商売が基本です。各々の素材は顧客自身がそれぞれの素材提供者から購入することが出来る訳ですから、よほどパッケージ商品に顧客には出来ない手間を省くといったような付加価値を含んでいることが必須となります。


それでもネット事業者と比較した場合、最近ではネット事業者もパッケージ商品を充実させていますので、顧客との対面販売による付加価値を見出し難くなってます。既存事業者の店舗のカウンター越しに応対を頂いたところでコストにこそなれ、付加価値を見出せるとは言いにくいと思います。旅行という定義を広く捉えた商品企画力が価値の源泉なのでしょう。


今日もありがとうございます!
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