誰にも聞けない経営財務戦略!

ビジネスの未来を財務と心で読み解くブログです!

CREATE LIFE!
より良い暮らしを創造しよう!

http://crelife.co.jp

ある農薬卸事業のM&A!

皆さん、おはようございます!
人とのご縁というものは、いつ、どの様に巡ってくるのか分からないものです。見ず知らずの人と突如として出会い意気投合することもあれば、知人を通して紹介されることもあります。いずれの場合も、お互い誠実に人間関係を築いて行くことが大切だと思います。



とある大手化学メーカーの農薬卸事業子会社売却の新聞記事が目に飛び込んできました。
国内投資ファンドが、九州を事業拠点に置く売上規模130億円の農薬・肥料卸売事業を数十億円で企業買収すると書かれています。この子会社は、私が同メーカーに勤務していた時に、一度、M&Aを手掛けたことのある会社で、15年越しの成就にホットします。


同子会社は、親会社の信用力と資金力を背景に、九州地方に高い市場シェアを持っていますが、親会社グループの主力事業ではないため早くから事業ポートフォリオによる選択と集中により、グループ外への売却の検討がなされていました。親会社が農業ビニールハウス用ビニールシートを製造しており、それを販売する以外に関係がありませんでした。


縮小する市場の中で、経営自体は堅実に行われていましたが、農薬卸は中小事業者が多く、オーナー系企業では後継者不足が課題になっており、その中でも比較的に優位な立場にあった子会社を軸に業界再編を進めて経営効率を高めていくことを某大手総合商社と検討していたことが思い返されます。同子会社の社長の猛反対にあい頓挫した思い出です。


親会社の株主資本経営の下では、経営資源の選択と集中を行い、これから期待される事業に積極投資を行い、株価に貢献しない事業は売却をしていかなければなりません。親会社では、住宅事業、高機能樹脂事業、社会インフラ用樹脂事業をコア事業として事業展開を図っていましたので、業績が良くても農薬・肥料卸事業はノンコア事業でありました。


同子会社の成長戦略に焦点をあてて考えれば、成熟したマーケットの中での卸売り事業という特性から、業界再編を進めるという成長戦略を描くしか手立てはないわけです。しかし、同業他者を買収するためにはその資金を親会社に頼らざるを得なかった訳ですが、親会社としてはノンコア事業に新たな資金を投資する訳にはいかに事情があった訳です。


大手総合商社との連携による業界再編が図れていれば、今頃は業界内の主要な事業体として君臨出来たと思いますが、当時の子会社社長は親会社から派遣された人財であることから、親会社との縁が切れることに固執していた記憶が残ります。親会社が一方的に進めることも出来ましたが、当時のM&Aは情やしがらみに大きく左右されていたと思います。


また、親会社の創業地が九州であるころから、地域感情をも考慮して無碍にも出来なかったという事情もありました。その後15年が経過し、同子会社も業績を維持することが難しくなったのでしょうか。今般、いよいよ同子会社も背に腹を変えられなくなり、決断を迫られたものと思います。競合他社の後継者不足が背中を押している面もあるでしょう。


これからは、グループ経営のしがらみに惑わされることなく、独立した農薬・肥料卸売り事業を営む企業として、独自の事業展開をしていって貰えたらと思います。地域農協が最大のライバルとなると思いますが、再編を為した暁には地域の一番企業として、農薬に頼らない農法の提案など、付加価値の高いサービスを提供していって頂きたいと思います。


今日もありがとうございます!
http://crelife.co.jp

×

非ログインユーザーとして返信する