誰にも聞けない経営財務戦略!

ビジネスの未来を財務と心で読み解くブログです!

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創造的な財務!

皆さん、おはようございます!
三連休を如何お過ごしでしょうか。友人は結婚式で大阪まで遠出していると聞きます。
私は、読書(「自分の仕事をつくる」西村佳哲著)をしながら身体を休めています。
数字を扱う仕事をはじめて30数年になりますが、初心の好奇心を忘れべからずですね。



一般的に財務というと資金調達のために取引先金融機関との調整を行う業務と捉えがちだと思います。それも重要な業務の一つですが、本質は企業の経営活動の全てをお金の側から定量的に把握して、経営判断を行うことにあります。表面的な数値を鵜呑みにするだけではなく、そこから織り成された人間模様をも想起できなければなりません。


財務諸表とは、明文化された会計上の細目規定を取捨選択しながらストーリーを描いて行くものですので、その会社の個性が現れます。その意味では、財務数値を見ますと、それを作成した人の性格が読み取れるばかりではなく、その企業の文化なり、組織としての成熟度まである程度浮かび上がって来るものです。


いまの大手企業の財務諸表を見ますと、そつなく纏めてはいますが、それを見る人に対して訴えかけて来るものがありません。それだけ企業組織として没個性となり、これからどの事業領域で稼いでいくかという構想に迷いがあるからだと思います。その様な状況の中で会社の統制ばかりが高度化していきますと組織が内向きにならざるを得ません。


これからの時代、多くの企業が理念を再定義して、自分達の新たなフロンティア(=事業領域)を見い出して行く必要があります。自ら築き上げてきた事業資源を再度、充分に見つめ直し、それを転用することでどの様な新たな事業を創ることができるか。どの既存市場も縮小していく中で、競合同士がパイの奪い合いをしていても始まりません。


貸借対照表を見れば、現状のビジネスモデルが浮かび上がってくる筈です。一旦、そのフレームを度外視して、個々の事業資源をどの様に再構築すれば、新しいビジネスモデルが出来るか、行間にある人的資源を想像しながらイメージを膨らませなければなりません。それから、変容するお客様の深層心理を充分に理解することです。


情報技術革新を背景に、モノを消費する社会からコトを消費する社会に変容していることを充分に理解する必要があります。商品を販売して事業を完結させる時代から、商品を提供してから如何にその商品の使用価値をお客様に享受して頂くか。その様な観点から、自社の事業のビジネスモデルを再構築していく必要が不可欠です。


それを誰が考えるのかという点も、現代の企業文化の中では大きな問題だと思います。巨大化したピラミッド型ヒエラルキー組織の中では、業務が細分化してしまい過ぎて、事業を大局的に俯瞰できる人財が皆無に等しいのではないでしょうか。経営者が考えようにも、忖度風土の中で育っていますので、視点が形式的と言わざるを得ません。


いま大手企業は、年功序列で昇進した人々の組織集団であり、そこには形式主義を助長する文化が蔓延っていると考えられます。この様な硬直的な組織を排するためには、企業理念を再設定し、これからの事業活動と一致させていく必要があるのではないでしょうか。2018年は副業元年と言われています。多くの大手企業が副業解禁に動いています。


副業は、社員にとって社外での人脈を作るきっかけになります。一定の経験や仕事の知識レベルを満たした人が、ステップアップを求めて行う自身の知見や知識を生かすキャリア副業は、人を成長させます。社外での見聞は、本質を見極める目を養い、本業でも自分の価値を大いに発揮するものとして期待されます。


副業のみならず、人財の流動化を図ることも、自社の将来構想を想起させる起爆剤になるものと考えます。そうでなくとも、これからの時代は自前主義に別れを告げて、協働主義により企業の規模や歴史に拘わらず企業間の垣根を低くして連携を図っていく時代です。
それは同時に自社の将来の事業領域を定めて行く作業でもあります。


その様な時代には、企業間連携を経営だけが考えるのではなく、全社員が経営の視点をもって自らの仕事を創っていく必要があります。既得権益を持つ業界、許認可権を持つ官僚の抵抗が、それらの芽を摘み成長を阻まない様に見守る必要があるでしょう。それでも誰も時代の流れに逆らうことは出来ないほど、時代の変化に強いものを感じます。


財務というものは、企業や事業のおかれた状況を会計という共通言語でどの様に周囲に伝えて行くかということです。大切なのは、それら共通言語を駆使していかに本質に迫って行けるかにあります。その意味では、財務も人々の経済行為を読み解くものであり、その為には、社会を支える人々の心理を読み解くことが大切だと思います。


今日もありがとうございます!
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大手企業による中小支援!

皆さん、おはようございます!
わが街にもようやく本格的なCafe'ができました。その名も「猿田彦珈琲」。
焙煎工房が併設された素敵な空間です。スタッフのハキハキした応対と、笑顔の中にホスピタリティを感じざるを得ません。心のこもった仕事は最高の贈り物ですね。



後継者不足による中小企業の廃業懸念が高まるなか、製造大手などが取引先の支援に乗り出すそうです。デンソーやコマツは、取引先の廃業による部品調達網が滞ることによるリスクを防ぐため、後継者の育成を支援するそうです。また、豊田通商では事業承継に悩む企業の買収を積極化しています。


2025年頃までに70歳を超える超える経営者は約245万人いますが、その半数で後継者が決まっていません。放置すれば約650万人の雇用が失われ、国内総生産(=GDP)が約22兆円損失する恐れがあると言われています。町工場を含めた中小企業の廃業問題は製造業の安定調達を揺るがしかねず、対策が急務になっています。


デンソーでは、自動車部品を中心に約100社前後の取引先の30~40歳代の若手後継者候補に対して、1年かけて企業経営や人財育成などをテーマにした研修を行い、後継者不足に起因する廃業や調達網の断絶を未然に防ぐそうです。豊田通商では、トヨタ自動車グループの後継者問題に直面する部品メーカー、設備メーカーの買収を行っています。


ドイツの自動車部品をはじめとする総合機器メーカーであるBOSCH(=ボッシュ)の名前を聞いたことのある方は多いと思います。この会社では、部品調達先の多くが中小企業であり、その経営基盤が脆弱であることから、これらの取引先に対して経営支援を行う専門部署を設けていることは、あまり知られていないかもしれません。


折角、取引先の中小企業が一定の技術を持っていても、業績不振や後継者難により急に廃業ということになれば、代替調達が難しかったり、品質が不安定になったりすることが考えられます。その様なことを回避するため、予め定期的に取引先企業の経営状況について継続的なモニタリングを行い、適宜、必要に応じて経営指導を行っているそうです。


流石にドイツの企業らしい行き届いた木目細かい連携体制だと思います。
日本の大手メーカーも、ようやく重たい腰を上げたかという感じです。そんな大手メーカーも、高度経済成長時には販売協力店と共存共栄のスタンスできちんとフォローアップしていたと思います。協力店会を組成して、定期的に会合を開催するなど。


それが、バブル経済崩壊の辺りから、大手メーカーの業績不振により協力店会を解散したり、下請取引先の絞り込みを断行し、自らの身を守るために形振り構わない行動が目立つ様になっていました。本来、モノが売れないのは自社に問題があるのに、そのツケを取引先に転嫁してきた訳です。


それが、中小企業の後継者問題が顕在化するようになって、ようやくその様な行動は、結果的に自社の首を絞めることになることに気付いたと言えます。ビジネスの世界ですから、どの様な中小企業も一律に支援すべきだとは言い切れませんが、その企業の素晴らしい経営資源を見抜き、そこを共に磨き上げる位の取り組みはすべきだと思います。


そうでなくとも、これからは、大手企業であっても全てを自前主義で揃えて事業を行う時代ではなくなっています。時代の変化のスピードが速まっていることと、いままでの様にものを作って販売する時代から、販売した後の使用する場面において付加的なサービスを提供すべきであり、そこが重要な収益源となるからです。


その様な使用価値を高める為には情報技術を抜きには考えられません。業界の壁を越えた企業との協業関係を構想して、実際に組み上げて行くことがこれからの企業には求めらています。その協働先が大手企業であるばかりか、スタートアップであったり、今までは下請け企業と認識されて来た中小企業や町工場である訳です。


先日も、オリックスやあおぞら銀行が後継者難の中小企業を自己資金で買収して、若手人材を経営人材育成のために派遣するという取り組みをはじめています。今回の豊田通商の取り組みもそれに似ています。デンソーやコマツの取り組みも、社会における新たな試みという点では一定の評価が出来ると思います。


しかしながら、独BOSCHの取り組みなどと比較しますと、まだまだもっと遣るべき支援が沢山ある様に思えます。これからは、地方銀行などもコンサルティング事業として積極的に支援していくべきでしょう。その意味で、総合商社丸紅の地方銀行へ中小企業の支援要員を出向させる取り組みは、時代の趨勢に合った取り組みとして注目したいです。


今日もありがとうございます!
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巨大企業、米GEの変兆!

皆さん、おはようございます!
昨晩、以前仕事でご一緒させて頂いた先輩、同僚との旧交を暖める中で、突然、先輩が早期退職制度に手を上げた旨の話しに及び、正直、驚きました。定年まであと3年、今後の長い人生を考え、早々に転身を図りたいとのこと。とても前向きなお考えだと思います。



米ゼネラル・エレクトリック(=GE)が126年に及ぶ歴史で初めて外部からトップを起用することを決めたそうです。新しい最高経営責任者(=CEO)に指名されたのはローレンス・カルプ氏という、年間10件を超える企業買収で米機械メーカー、ダナハーを急成長させた実績のある人物です。


14年間という在任期間中に売上高と時価総額をともに5倍に引き上げた実績を持つそうです。約2兆8千億円の資金をM&Aに投じ、百貨店に工具を供給していたダナハーを機械コングロマリット企業に育てています。そんなカルプ氏の手腕に米GEが見込んだのは、M&Aにより膨張したコングロマリット企業の手綱さばきだということです。


米GEといえば、家電製品製造を発祥に、中興の祖であるジャック・ウェルチ氏のM&A戦略により、IT事業、航空機エンジン事業、発電事業、メディカル事業、金融事業などまで手掛ける世界に名だたる巨大コングロマリット企業です。ウェルチ氏の後を継いだジェフ・イメルト氏は後継者指名の要件として「ポートフォリオ経営」を掲げています。


いかに伸びる事業を見抜き、逆に成熟化してしまった事業を見極め、各々の事業の組み換えを行って、グループ企業としての相互補完効果を最大限引き出して行くかを考えるのがGEのトップに求められる能力であると明言しています。その意味で、カルプ氏のポートフォリオ経営に白羽の矢が立ったと言うことが出来るでしょう。


そのイメルト氏もインダストリアル・インターネットを次代の主力事業と定め、金融事業からの撤退を進めて来た経緯があります。イメルト氏の後継者となるフラナリー氏は電力、メディカル、航空を柱に据える方針を掲げています。しかし、巨艦GEの変革は一朝一夕にはいかなかったことが、今回のCEO交代劇に繋がったようです。


金融事業では追加損失発生が発生するほか、2015年に1兆2800億円で買収した発電事業では再生可能エネルギーの台頭により苦戦するなど誤算が続いています。イメルト氏がCEOを務めていた時代までは順風満帆に見えた巨艦米GEにおいても、情報技術革新に端を発した社会の変化に、忍び寄る影が近づきつつあるように思われます。


30万人以上を擁する従業員の中から、将来のトップ候補を英才教育を施して選抜していく明確な人事制度を持ちながら、なぜ、今回はグループ外からトップを招聘する必要があったのか疑問に思われる方も多いことでしょう。また、GEでも優秀な若手社員ほどスタートアップに新天地を求め、退職者が増えているそうです。


この辺の話しを聞きますと、やはり米国においても、大手企業のピラミッド型のヒエラルキー組織が、上意下達型の官僚的な企業文化を生んでしまい、これからの時代に相応しい事業構想を描き切れずに企業の活力が減退しているのではないかと推測されます。
時代が大きく変容する中では、ポートフォリオ経営も万能な手法ではないのでしょう。


米GEの様なポートフォリオ経営を実践するコングロマリット企業経営の常套手段は、持ち得る資本力にものを言わせて、様々な事業を買収して各事業領域ごとに統廃合することにより規模の経済を追求してきたということが出来ると思います。しかも、自前主義の発想により必要と思われるあらゆる事業をグループ内に抱え込んできたと言えます。


これからの時代、同質性の高い文化を持つ大手企業グループの中で、新たな事業を構想していくには限界があると言わざるを得ません。それは社会のニーズが供給者の論理で構想された事業ではなく、消費者の目線の中にこそ新たな事業機会があるからであり、その様な事業は現在の企業と企業の境目に存在していると言うことが出来ます。


その様な境目にある事業を形にして行くためには、オープンプラットフォーム、オープンイノベーション型の開かれた企業文化の中で、役職員全員が経営判断を司る様なフラットな人間関係を醸成していく必要があります。それだけ時代のスピードが早くなっており、個々人に求められる判断力が重要になると考えられるからです。


社内外の境にボーダーラインを設けることなく、人々がコミュニティの中で協働することにより新たなアイディアの発見が促がされるものだと思います。工業化社会では資本力が重要な資源でしたが、これからの時代は人的資本こそ最も重要な経営資源と認識される様になると思います。企業の内外、組織の営利・非営利に拘わらず。。


今日もありがとうございます!
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