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従業員による企業買収!

皆さん、おはようございます!
今回の新型コロナ騒動により、まるで社会の動きが一変してしまったように見えます。
過去から積上げられてきた私たちの行動パターンが一瞬のうちに大きく変わってしまい、かろうじて経済を維持しているものの、本格的に影響が出るのはこれからなのでしょう。



ホテルやオフィス賃貸業を営む上場会社であるユニゾホールディングスは、従業員と米投資ファンドロンスターが共同で設立したチトセア投資によるTOB(=株式公開買い付け)が成立したことを発表しています。従業員による買収(=エンプロイー・バイアウト=EBO)の成立は上場企業としてはじめてのことであり、市場から注目されています。


昨年7月期に旅行業大手のエイチアイエスよりTOBを仕掛けられたユニゾホールディングスは、その後、様々な投資ファンドからTOBを仕掛けられ紆余曲折がありましたが、
そうした買収合戦にもようやく決着がつき、結果的に同社の従業員により構成される投資会社に買収されるという望ましい結果で終えることが出来たのではないでしょうか。


なぜ、ユニゾホールディングスがここまで買収合戦の渦中に巻き込まれてしまったかといいますと、同社が所有するホテルや賃貸オフィスビルといった不動産の簿価と時価の差額である含み益が上場会社としての株価に顕在化されておらず、それを顕在化すればもっと株価を上げられるという期待が、血生臭いマネーゲームを誘発する結果となっています。


現代の行き過ぎた資本主義経済の一側面を目の当たりにしたような現実的な出来事であったといえるでしょう。そこに欠けているのは、資本の論理にばかり目を奪われてしまい、社会の中で生活を営む私たちの期待が置き去りにされていることではないでしょうか。
確かにユニゾHD自身も、株主から資金を預る立場として非がないわけではありません。


上場企業である以上、株主から預かった資金を最大限有効に運用して、株価を高めていかなければならない責務がありますが、経営としてそれを放置してきたという見方も出来る訳です。しかし、今般EBOにより会社の経営権が従業員の手に渡ることで、今まで以上に従業員の自律的なやる気に裏打ちされた、活力のある会社に変容することでしょう。


この従業員により主体的に運営される会社をコーオウンド・ビジネスといいますが、これからの企業のあり方として、資金の出し手としての投資家が株式を所有するのではなく、その企業の業務を司っている従業員が株式を所有し、その従業員の中から経営を選出する企業統治を行うことは、ある意味、民主的なあるべき姿と捉えることが出来るでしょう。


いままで株式の目を意識してきた経営方針が、それを意識することなく従業員であると同時に生活者としての目をもって、自律的に会社がどの様な社会的なニーズに応えるべく企業理念を掲げて行くかを内発的に決めて行くことになります。また、自分たちの意思で決めた会社の方針を自らの手で実現していく集団は、それだけ活力も高まるものでしょう。


新生ユニゾHDも、今までは一般的な上場会社であり、会社の経営方法も従業員の意識もこれから変わって行かねばならない状況にあります。急激に自治運営に移行するとは思えませんが、従業員が最大株主となった以上、望ましき方向に変わらざるを得ないことは明らかです。先鞭を付けたこの会社の成り行きを温かく見守って行きたいと思います。


今日もありがとうございます!
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