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代表者保証

みなさま今晩は。
今日は、中小企業の融資における、代表者保証について考えてみたいと思います。
昨年12月、中小企業庁、金融庁の後押しで、日本商工会議所、全国銀行協会が経営者が保証をせずに融資を受けるガイドラインを公表したものです。


経営者保証に関するガイドライン


主な要件は、以下の通りです。
①保証人が個人であり、主債務者である中小企業の経営者等であること。
②主債務者である中小企業と保証人であるその経営者等が、弁済に誠実で、債権者の請求 
 に応じて負債の状況を含む財産状況等を適切に開示していること。
③反社会勢力でないこと。他


その結果、
❶経営者保証なしで新規融資を受けることができる可能性があります。
❷経営者保証の解除ができる可能性があります。
とのことです。


あくまでも可能性であり、その為には1)中小企業と経営者間の常識の範疇を超える資金のやり取りがなく、2)融資を受けた会社は返済能力の向上を通じた信用力向上、3)財務諸表の適宜情報開示等の透明性の確保、が努力義務として課せられています。


今まで、機械的に代表者に連帯保証を求められ、出来ない場合には融資を受けられなかったことから比べれば、前進した内容だと思います。確かに、全ての企業が胸を張れるような財務内容に至っていないことも否めません。


しかしながら、高齢化による創業オーナーの引退、折角の素晴らしいアイディアを持つ創業者であっても実績がない等の理由で、若手経営者へ事業承継できない、海外に比べて創業企業が少ないなど、今後の日本の経済に深刻な影を落とす重要な問題だと思います。


私の考えは、財務諸表を一見すれば対象企業のレベル感がある程度分かってくるものです。また、経営者と話をすれば、自社の事業構造に対する問題意識、その改善策等に建設的な意見を持っているのかが理解できます。


国税庁の発表に寄りますと、創業した中小企業の実に95%が10年後には消え去っているという驚くべき調査結果があります。一方、国内企業の95%が全国の中小企業です。余談ですが、その5%の大手企業のうち丸の内に本社を構える企業がGDPの過半を稼ぎ出しているそうです。


経済活動やファイナンスの世界でリスクヘッジする為には分散投資する事が常套手段です。わが国の財政収支の状況や、来るべき人口減少問題を踏まえますと、マクロ的には各々の企業すべてが元気良くならなければ、大変に危険な状況と言わざるを得ません。


先の銀行による代表者保証人要求の緩和は多少なりとも寄与するとも考えられますが、現在の銀行は戦後のようにバンカーが身を費やして企業を育てるという意気が消失しており、また融資審査にあたっては誰が審査しても同じ結果となるスコアリングなるものに頼っている懸念点があります。


銀行業であっても事業であるからには、融資審査という「目利き力」を最大の資源として、融資先企業を育てながら自らの金利収入を増やして行くビジネスモデルが本来あるべき姿のはずです。


実際は、金融は公共性が高いとの事から金融庁の指導により、銀行間の横並び意識が非常に強く、かつお客様から預かっている預金をどの程度貸し出しとして払い出しているかを示す預貸比率が地銀などは50%を下回っており、今日の日銀ゼロ金利政策により経営統合が始まりはじめています。


M&Aにより海外市場を取り込むことも良いですが、現在の日本の経済環境を見渡し、変容してしまった銀行のビジネスモデルを立て直す必要があるのではないでしょうか。
今後、業界に特化した金融機関が現れても良いのではないでしょうか。その業界に対する目利き力が他行より長じる訳ですから、当然に生きた審査能力が高まり、他行より低い融資金利を提供できると思います。


また、現在、取引先企業のリスクを踏まえても、融資金利格差の幅は少ないと思います。この点について、金融工学を活用すれば、リスク対リターンを明確にし、メリハリのある融資活動が出来るようになると思います。


一方、中小企業サイドも財務に長じた経営者の片腕が社内にいるとも限りません。もっと財務諸表が法律として詳細が作成義務が規定されておりますので、会社として敢えて任意で第三者的な立場にある公認会計士の監査を受けて金融機関にアピールする位の努力も必要かと思います。


この場合、銀行も真摯に受け止め審査を行う融通性をも持って頂きたいと思います。今の日本の社会は、余りにもマニュアルによる標準化ばかりが進んだ硬直的な組織になってしまっていると思います。組織が大きくなれば、なるほど意思命令系統が機械的になってしまうものです。


この際、大手銀行を業態別、融資先別に分社化してしまい、若い銀行マンに身を張って自分が惚れん込んだ企業に融資と事業支援が出来るようにしては如何でしょうか。これだけの行員数、取扱金額ですから、ポートフォリオとしてのリスク率が推計できるのでは。


最後に思いますのは、会計士、税理士は数値を取り扱うことには長けていますが、必ずしも経営や事業計画立案に長けている訳ではないことです。事業というのは、やはり経験と場数がモノを言います。その様な人材を見出す光を充てる社会の仕組みも同時に必要かと思います。


何でも、所属する組織やチームのコンセンサスを前提とする社会では、結局、最大公約数でしか物事が決まりませんので、だんだんと意思決定のスピードが遅くなるのは当たり前の話しです。ノアの箱舟ではありませんが、人間は脅かされないと本気になりませんので、2020年東京五輪後の日本がどの様に変革できるかが、重要な岐路にあると思います。


また、お会いしましょう!





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