誰にも聞けない経営財務戦略!

ビジネスの未来を財務と心で読み解くブログです!

CREATE LIFE!
より良い暮らしを創造しよう!

http://crelife.co.jp

スタートアップ企業のもう一つの現実!

皆さん、おはようございます!
スタートアップ企業は、自らの事業の成功を信じて見果てぬ夢を追い求める存在です。
その過程で起り得る失敗をも百戦錬磨で解決しながら、すべてを自らの経験として呑み込んで行く逞しさが必要です。そんなスタートアップ企業は現実との闘いです。



自動で衣類を折り畳む家電を開発していた注目のスタートアップ企業、セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ(=東京都)が2015年の鮮烈なデビューから4年経ったこの4月に経営破綻しています。斬新なアイディアで総額100億円超の資金を集めましたが、製品の開発が難航して行き詰ったようです。


人工知能(=AI)やロボット技術を駆使し、冷蔵庫ほどの大きさの本体に衣類を入れると自動で折り畳んで仕分けをする、自動衣類折り畳み機「ランドロイド」を家電見本市に出展し、マスコミ各社から注目を浴びた同社です。まさかその様な機械が誕生するなんて誰しもが予想もしなかったスケールの大きなアイディアに記憶も新しいと思います。


このあったら便利だけど、そんなことは現実的ではないという声が家電産業から聞こえて来そうな製品ではあります。しかし、いまの社会に求められているのは、論理的な大人の分別で判断することなく、大胆かつ無邪気な動機で夢を現実のものに近付けようとする発想と行動力だと思います。その様な中からイノベーションが起き得るものでしょう。


ランドロイドを発表した翌年にはパナソニック、大和ハウスなどが60億円を出資しており、経済産業省が有力新興企業「Jスタートアップ」に認定するほどの大型スタートアップ企業として期待されていただけに、率直に残念で仕方がありません。必ずしも順風とは言えなかったと思いますが、同社の突然の破綻の原因はどこにあったのでしょう。


当初2017年にランドロイドの出荷を予定していましたが、それが2018年以降にずれ込んでしまったところに理由がありそうです。ユニクロの「エアリズム」のような表面が滑る素材の衣類をランドロイドのアームで掴めないことが明らかになり、改良を重ねて2019年に公表された試作機では課題を解決していたかに見えたそうです。


ハードウエアの改良は進んだようですが、それを円滑に動かす頭脳部分のソフトウエアの改良が思う様に行かなかったようです。オープンイノベーションという名の下、パナソニックから多くの技術者が派遣されていた様ですが、恐らく最後は既存出資者からの追加の資金提供が得られず、時間切れとなったものと推測します。


もう少し課題を深掘りしてみますと、セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズの阪根社長は、実父が興した素材メーカーで製品開発に着手しましたが、AIやロボット、画像認識といった技術に詳しい専門家が経営陣の中にいなっかったことが指摘されています。阪根社長は、自らの専門領域外のところで起業していることになります。


やはり望ましいのは、自らの専門分野の延長線上で起業すべきなのですが、もし類稀な製品や事業の構想力だけで起業するのであれば、その構想力に賛同する優秀な技術者を呼び込む必要があります。阪根社長にもある程度の技術的な知見はおありだったのかもしれませんが、AIや画像認識という日進月歩の先端技術力までは持ち得なかったのでしょう。


優秀な専門家を獲得できるか否かについてですが、その様な人財を得る為にはスペシャリストと渡り合えるような知見がないとなかなか難しいかもしれません。これが現実と言えるでしょう。一般的に一人の人間が会社運営に必要なあらゆる知見を持ち得ることは不可能ですので、それを他の人を雇い入れて任せて行くものと思われがちです。


それはそれで間違いではないのですが、やはり自らの製品のコアとなる技術については、起業家本人がそれを持ち得ていませんと、最良な経営判断が出来ないものと思います。
このことは、本来、スタートアップ企業だけに留まらず、株式を公開する大手企業についても言えることだと思います。


複合事業を営む大手企業であっても、自らが描くビジョンを実現していくべき領域に経営資源を集中していく必要があります。その様な事業領域を経営トップが熟知することなく、なぜ最良な経営判断が出来るのでしょう。日本では良くゼネスタという企業のことについて幅広く経験を積んだ方が経営トップまで登り詰めることが多いと思います。


それは企業が右肩上がりに成長している時は、それで良かったかもしれませんが、これからの時代はイノベーションを推し進める為に経営トップが専門性を持つ必要があります。
阪根社長は、さぞかし無念だと思います。折角、素晴らしい夢を私たちに見させてくれましたので、暫くはゆっくり休養して頂き、改めて再起を図って頂ければと思います。


今日もありがとうございます!
http://crelife.co.jp



*お知らせ* amazonより電子書籍を出版しています。
企業経営においてM&Aという手法がすっかり定着しています。しかしながら、これからの時代を見据えますと必ずしもM&Aに固執する必要もありません。そんなM&Aの問題を電車の中で気軽に読める内容に纏めています。

「電車」で「サクッ!」M&A学習
「電車」で「サクッ!」M&A学習
2019-02-25
Kindle本
×

非ログインユーザーとして返信する