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地域社会資本!

皆さん、おはようございます!
何かに付け貨幣価値に換算して豊かさを計測する資本主義社会ですが、人間の幸せというものは経済価値だけで計り切れないものだと思います。モノを充足させる豊かさを手に入れた私たちが次に追い求めるものは精神的な豊かさでしょう。



全国の空き家軒数が約820万戸に達しているようです。全国の住宅戸数が約6063万戸ですので、実に7戸に1戸が空き家となっている計算になります。その内、住居が集積する首都圏(1都3県)には約200万戸の空き家が存在しており、東京に限定しますと全国の10分の1となる約80万戸にも上るそうです。


今後、人口減少にともない、ますます空き家が著しく増加していき大きな社会問題として顕在化して行くことが予想されます。そのような中、空き家を活かすという発想から鉄道事業者によるマッチングの試みがなされています。東京都大田区は、この3月に東急電鉄と空き家・空き店舗に関する協定を結んでいます。


区内の東急沿線で、空き物件のオーナーと物件をリノベーションして事業を行いたい事業者をマッチングする事業をはじめています。まずは東急池上線の池上駅周辺ではじめています。東急電鉄は協力事業者と組み、駅前に交流拠点を設置し、物件のオーナー向けのセミナーやオーナーと事業者をつなぐイベントなどを開催しています。


生活産業を標榜する電鉄企業が地域の暮らしを支える社会問題に事業を通して解決して行く取り組みに、いままでの経済合理性一辺倒であった事業の捉え方から、企業の価値観も変わりつつあることを感じざるを得ません。単なるCSR(=企業の社会的責任)という建て前からだけではなく、一企業市民として事業として捉えているところが凄いです。


池上駅周辺も人口減少の波が押し寄せ、住居のみならず、工場(=こうば)や商店も廃業により空き工場や空き店舗となっている建物が目立ちます。時代が移り変われば、地域に様々な機能が必要となります。最近では、建物をお金を余りかけずにリノベーションして、小商いを行いたいという生産消費者(=プロシューマー)も増えています。


地域住民とそういった生産消費者のつながりを通して、一緒になって地域を盛り上げて行こうという機運も高まっています。単に建物を賃借して商売をはじめるのではなく、例えばシェアキッチンの様な施設を設ければ、高齢化が進んでいる地域のシニアの交流サロンとして、また生産消費者にとってもリスクの少ない小商いが可能となります。


いままでの経済合理性をどこまでも追求する資本主義の考え方でしたら、増え行く人口を背景に空き家などは取り壊して新たに建物を新築しても直ぐに新たな入居者が増えるという経済循環が機能していたと思います。それが、動態人口の変化、およびモノの欲求の充足という社会の枠組みの変化により私たちの価値観も大きく変わっています。


経済資本一辺倒の考え方に物足りなさを感じているのではないでしょうか。経済資本のみでは計ることのできない、私たちの暮らしの豊かさとは何かを考えはじめていると言えるでしょう。過度に行き過ぎた管理社会、縦割り社会の中で、私たちは人と人が信頼し合いつながっていくことの大切さを再認識しはじめていると思います。


経済資本に対して、それを社会資本というのであれば、これからの時代は行き過ぎた経済資本に社会資本とのバランスをとった新しい資本主義の形を追い求めることが必要ではないかと思います。経済資本のみを追求して行きますと、人間関係がギスギスして希薄になって行きますので、もっと滑らかで潤いのある人間関係を築く必要があるでしょう。


そして社会資本を突き詰めますと、そこには重層的な人間関係が織り成すコミュニティが成立することになると思います。コミュニティには「場」が不可欠ですので、地域ごとにコミュニティを創って行くことが必要になるでしょう。その意味で、社会資本とは地域と結びつき地域社会資本という言い方になるのかもしれません。


空き家問題は、地域で解決して行かなければならない課題だと思います。言い換えれば、そこに地域社会資本を宿して行くことでしょう。それを地域経済資本とのバランスをとりながら解決して行くことに社会的な意味があると思います。その意味で、東急電鉄の池上駅周辺での取り組みは、企業の新しい事業への取り組みを体現していると思います。


地域社会資本は、モノに変わる人間の精神的な豊かさを実現する術だと思います。ただ、経済資本のように貨幣的に計れませんので目で見ることが出来ません。将来的に計量化していこうという試みもあるようですが、人間が生きて行く上で何でも数値で割り切る必要はないと思います。そこに人間が持って生まれた感性の尊さを感じます。


今日もありがとうございます!
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