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スモールマス市場!

皆さん、おはようございます!
デジタル化の波は、いままで築き上げてきた大量生産大量消費型の社会の枠組みをも変革し、少量生産少量消費型の枠組みへと移行しつつあるようです。大衆商品しか選択肢のなかった消費者の心理は、自分ならではの逸品に欲求を満たしつつあります。



大多数の消費者(=大衆)をターゲットとするビジネスが転機を迎えているようです。
低価格の大量生産品は、例えば日用品のシャンプーで市場の8割を占めていましたが、この8年間で5割に減っている様です。これに変わり台頭するのが新興企業が切り拓く、スモールマス市場です。


SNS(=交流サイト)などのデジタル技術で個客のこだわりを吸い上げ、製造は外部に委託して企画・開発に専念する、そんなビジネスモデルが想起されます。大量生産で消費者の平均像しか吸い上げられないマス商品を淘汰する波が、化粧品、アパレル、食品などの分野に広がりを見せています。


スモールマス市場とは、大衆ではない一定の規模の市場が見込める消費者層を対象としています。SNSの普及やビッグデータ解析技術の進展により、消費者の属性の違いによって多岐にわたる好みや嗜好にあわせた商品開発が可能となっています。消費者が共鳴する一定規模の市場は無数にあり、不特定多数に向けた量産型マス市場の対極といえます。


スモールマス市場の開拓を支えるのは、個人のニーズを吸い上げるデジタル技術の進展と、資本を持たなくとも生産できる水平分業の広がりです。水平分業とは、技術開発、部品生産、組み立て、販売、アフターサービスなどの業務ごとに、別々の企業が得意分野をそれぞれ受け持つビジネスモデルをいいます。


これまでの時代、多くのメーカーは資本力により自前の巨大生産設備を持つことで、規模の経済を追求し商品価格を低減することにより大衆消費市場で優位に立つことが出来ました。ただし、それは消費者の持つ多様な商品の中から自分ならではの逸品を選択するという自由を犠牲にしていることは意外に知られていません。


いままでメーカーが目指してきたことと、消費者心理というものは、実はミスマッチを起こしていると言えます。企業側も商品の価格を低減すれば、消費者は付いてくるという幻想を抱いている訳ですが、それは今のようにモノが潤沢に消費者の手に行き渡っていない時代のことです。既に消費者は多くのモノを手にしてそれに飽き足らなくなっています。


例えばスーパーマーケットに買い物に行けば気がつくことですが、最近のスーパーは品種も絞り込まれ、商品を選ぶ楽しむワクワク感がないと思いませんでしょうか。売れ筋商品ばかりを商品の陳列棚に所狭しと並べているだけで、いつ行っても同じ陳列棚に同じ商品が並んでいます。せいぜい特売品を探しあてることだけが楽しみと化しています。


スーパーという事業も、規模の経済を追求して大衆商品を取り扱うことによって、商品廃棄ロスを少なくし、商品回転率を上げることにより最大の利益を享受しようとしていることから起り得る現象です。大量に山積みされた商品の中から自分ならではお目当ての一品を探しあてることが出来るドンキホーテーの堅調な業績が業界内では注目されてます。


メーカーをはじめとする規模の経済を追求する企業群は、どこまでも価格低減に拘り続け、グローバル化の流れの中で安価な労働力を持つアジアなどへ生産拠点を移したことは皆さまの記憶にも新しいことだと思います。アパレルではH&Mやユニクロが台頭するなど、多くの産業で地殻変動を招いています。


そんなアパレル業界でも、いまスモールマスを取り込む新興企業が現行勢力を揺るがし始めている様です。英ブーフーでは毎日200以上の新商品をサイトに掲載しているそうです。初回の生産と販売を抑える一方、SNSなどで消費者の反応を分析して人気の出そうな商品のみを追加生産しています。


売れ残りを覚悟で大量生産するマスブランドビジネスとは一線を画した新たなビジネスモデルであるということが出来るでしょう。既存のビジネスでは、大量生産により生まれた廃棄ロスを商品価格に転嫁せざるを得なくなる矛盾を抱えており、それがまたマスブランド商品が売れなくなる悪循環に結びついていると言えます。


マスブランドを対象とする既存のビジネスモデルも時代を背景とした一過性のものであるということが出来ます。時代が変われば、それにあわせてビジネスモデルを変えて行かなければなりません。ビジネスを行う上で大切なのは、相手の顔の見えない大衆のニーズではなく、しっかりと顔の見えるお客様のニーズに応えていくことでしょう。


今日もありがとうございます!
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