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素材開発特化型ファンド!

皆さん、おはようございます!
投資ファンドが日を追うごとに増えているようです。その目的は、スタートアップ企業を支援する為のファンドであったり、経営が悪化した企業を支援する為のファンドであったり千差万別です。資金の出し手として社会に欠かせない機能と言えるでしょう。



三菱ケミカル、住友化学、AGC、信越化学、出光興産、宇部興産など化学・素材大手11社が、素材開発のスタートアップ企業に特化して投資する60億円規模のファンドを共同で設立しました。ファンドを組成したのは、ベンチャーキャピタル(=VC)のユニバーサル・マテリアルズ・インキュベーター(=UMI、東京都)です。


研究開発に時間のかかる素材分野のスタートアップ企業には投資資金が集まり難く、大手化学・素材メーカーが協力することにより、新たな事業開発や商品開発につなげていく考えです。海外の有望なスタートアップ企業と共同開発を進めていく狙いもあるようです。
年内には追加出資を募り、ファンドの規模を100億円まで拡大する計画です。


素材分野はネット関連のスタートアップ企業などに比べて、投資先企業の株式公開などによる投資回収に時間がかかり、一般のVCなどの資金が集まり難いため、素材大手各社は業界全体を支えていく必要があると判断したものです。各社とも投資部門を持ちますが、ファンドに資金を集めることで投資金額を大きく出来るメリットがあります。


また、VCのUMIには素材分野における技術の目利きをする実績を持っており、VCとしてスタートアップ企業の経営を指南するノウハウを持つ他、出資元である素材大手メーカーとの共同開発を斡旋する役割も期待されています。UMIが海外や国内のスタートアップ企業の投資選定を行っていきます。


想定されるスタートアップ企業の事業領域として、自然環境で分解される生分解性プラスチック、食糧増産のための農薬、次世代の通信・自動車向け電子材料などが挙げられています。いずれの事業領域でも、高い技術力を持つ国内外のスタートアップ企業に1社あたり10億円を上限として投資して行く模様です。


一般的に、投資ファンドとは複数の投資家から集めた資金を用いて投資を行いそのリターンを分配する仕組みを言います。資金運用の為に株式投資を行うファンドから、企業再建のようなファンド、不動産ファンドや今般の様に事業領域を限定したスタートアップ企業への投資を行うファンドまで千差万別です。


通常、スタートアップ企業への投資を前提とする投資ファンドは、VCという専門の投資運用代行業者がファンドを組成し、投資先のスタートアップ企業に対して経営が上手くいく様にハンズオン(=マネジメントに深く関与すること)で支援して行きます。その上で、株式公開を目指して行くことを目的とします。


その意味では、VCは投資先スタートアップ企業に対する目利き力が問われることになり、それ如何によりスタートアップ企業を成功へと導いていく重責を担うことになります。最近ではメガバンクもスタートアップ企業へ融資を行う様になってきたと言われていますが、それはまだほんの一握りに過ぎません。


いまは未だ、投資ファンドによる株式投資が主流であるということが出来るでしょう。そんなVCも、以前は今回の素材開発特化ファンドの様に資金の出し手である化学・素材大手メーカーのニーズを特定することなく、様々な新規事業分野に分散投資することによりファンド全体としてのリターンを高めることを追求していたと思います。


今回の素材開発に特化したファンドは、単にリターンを享受することだけが目的となっておらず、むしろ大手化学・素材メーカーが中心となって、これからの素材領域を業界で支えるという社会的な意義が高いファンドだということが出来ます。だから、投資元である大手化学・素材メーカとの共同開発に主眼が置かれているということが出来ます。


業界として共同でスタートアップ企業を育てていこうとする点が、単にスタートアップ企業を株式公開させて高いリターンを追求するのとは異なり素晴らしい点だと思います。
米国のスタートアップ企業への投資エコサイクルなどを見ていますと、投資ファンドのみならず、株式公開を果たした企業がそこで得た資金を積極的に投資に回しています。


今後、日本でも、大手企業が投資ファンドを介さずに、直接、スタートアップ企業へ投資を行っていくノウハウを培っていくべきだと思います。その為には、事業を大局的に判断し指南して行く目利き力を持った人財を増やして行く必要があります。その様な人財は、社内で育てられる知見ではありませんので、広く社外に求めるべきでしょう。


今日もありがとうございます!
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