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敵対的買収!

皆さん、おはようございます!
自然に抱かれると、日々の人間の営みは小さな存在であることを感じざるを得ません。
人間も自然界の摂理の中に包摂される存在にしか過ぎません。新しい社会の枠組みを築くにあたり、目先に惑わされることなく物事の本質を見極める必要があると思います。



世界で敵対的買収が再び活発になっているそうです。敵対的買収の成立件数は、2018年に26件と、1999年の42件以来の19年ぶりの高水準となったようです。相手先企業の合意なしで相手先を買収しようとする敵対的案件の背景にはカネ余りがあります。長期化する金融緩和を背景に格付けが低い企業への融資が拡大しているからです。


敵対的買収は、買収対象企業の資産を担保に資金を借り入れるLBO(=レバレッジド・バイアウト)というファイナンス手法を活用して、市場にある潤沢な資金を利用して行われます。こうした買収の増加は、経営者に緊張感を与える半面、買収から身を守ろうと過度に株価に偏重した経営を助長する側面もあります。


1980年代後半に興隆し、米投資ファンドであるコールバーグ・クラビス・ロバーツ(=KKR)が1989年にRJBナビスコを約300億ドル(=3兆3千億円)で買収後、事業ごとに解体し転売したころからバーバリアン(=野蛮人)と呼ばれた事例など、世界を驚愕させたことで知られています。


2018年1月、英投資ファンドのメルローズ・インダストリーズが英国製造業を代表する老舗、自動車部品メーカーであるGKNに70億ポンド(=約1兆円)で敵対的買収を提案しています。反対されると2ヶ月後に価格を81億ポンド(=約1.2兆円)に引き上げ、株主の過半から賛成を取り付けた事例もあります。


敵対的買収は、将来的な経営目標を描き切れていないが、既存事業は安定的なキャッシュインフローが見込まれる比較的老舗といわれる企業が対象となることが多く、持てる事業ポテンシャルの割に低収益の企業が狙われ易いと言えます。買収ファンドは、対象企業に梃入れを行い、収益力を改善して転売することを目的としています。


対象企業の潜在的な経済価値を引き出し高めるという点においては、理解できる部分もありますが、それが短期的な視点で、主にコストを削減したり、資産効率を高めることに終始してしまう帰来がありますので、マネーゲームと揶揄されてもやむを得ません。その意味では敵対的買収もその時代の一過性のものであるといえるでしょう。


本来、企業は長期的視点で、経済的価値と社会的価値をともに高めていく使命があると言えます。その様な使命を帯びている企業が、自助努力により事業を改善できない場合に、外部の第三者の力で迫られても、それは資本の論理の世界では止むを得ないものと思います。それは飽くまでも長期的視点で社会的価値を創造するのならという話しです。


社会的価値を創出して行く為には、企業が事業を通して社会の課題を解決して行くことが望まれます。これからの投資ファンドも、単にコスト削減や資産効率を高めるばかりでなく、どう長期的な視点で対象となる企業を改善して行くかを指し示せなければ、社会的に認知されなくなっていくと思います。


敵対的買収の対象となる企業の株主も、如何に投資ファンドから魅力的な買収価格を提示されたからといって、目先の経済的な損得勘定のみでそれに応じていたのでは、企業所有者としての責任を全うしているとは言えない時代だと思います。株主の責任として、自らの企業を継続的に発展させていく必要があります。


その意味では、現在の株式会社制度というものは、時代の流れの中で変容して行くべきかもしれません。もっと委任関係にある経営陣と株主の間で対話する仕組みを強化して行く必要があるでしょう。経営陣も自らの職責を全うし経営理念や経営目標を明確にした上で事業を営むのであれば、経営陣が株主を選別することも必要でしょう。


短期的な視点を持つ株主にはご遠慮を願い、長期的な視点を持つ株主に自社の株式を所有して貰うように、経営陣が意思を明確にすべきだと思います。その様な意味では、自社独自の企業統治(=ガバナンス)に魂を入れて、運用している企業はまだまだ少ないと言わざるを得ないと思います。


特に大手企業などを見ていますと、組織風土自体が標準化してしまい個性が失われているせいか、多くの企業が横並び意識のガバナンスに終始しているのではないでしょうか。
そこに明確な意思を持たないことには、経営理念や経営目標もなおざりとなってしまい、結局は投資ファンドに狙われる存在となってしまうでしょう。


今日もありがとうございます!
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