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シェアオフィス!

皆さん、おはようございます!
先日、以前会社の事務所を置いていました東銀座へ行って参りました。つい3年前まで通勤していたコワーキングスペースです。普通のオフィスとは異なり、創業間もない企業や個人事業者が入居する、一階にカフェのある施設です。



貸会議室事業大手のティーケーピー(=TKP)が「リージャス」などのブランドでシェアオフィスを世界展開するIWG(=スイス)から日本事業を買収します。TKPが買収するのはIWGの日本法人である日本リージャスホールディングスであり、国内に150ケ所のシェアオフィスを運営する最大手です。


TKPは国内拠点を引き継ぐほか、国内でリージャスブランドを使って出店するライセンス契約も結んでいます。買収金額の約500億円は銀行からの借り入れで賄うそうです。
TKPは2017年に東証マザーズに上場していますが、2019年2月末時点の自己資本が106億円の同社にとって、財務に与える影響は大きいと言えるでしょう。


それでもリージャスの買収に踏み切るのはシェアオフィス市場に対する成長期待があるからです。背景に企業の働き方改革があり、シェアオフィスを活用して自宅近くの拠点に出勤したり、営業で外出した際に帰社せずに仕事をすることが出来ます。この他にも、スタートアップベンチャーが活況であることも需要を押し上げる要因となっています。


一方、リージャスブランドのシェアオフィスを売却する側のIWGは、日本には現在の10倍の1500ヶ所の出店余地があると見ているのに、なぜ事業を売却することにしたのでしょう。IWGが事業展開する120ヶ国すべてで、企業や個人の働き方が大きく変わっておりシェアオフィス市場が大きく伸びているそうです。


世界でのシェアオフィス市場が大きく拡大する中で成長を加速させて行くためには、現地のパートナー企業と組むことが得策と判断した為であり、今回の日本でのTKPへのシェアオフィス売却が初の取り組みとなるそうです。IWGの2018年12月期の連結営業利益率6%と低い収益率であることもロイヤリティビジネス化を急がせる理由でしょう。


通常のオフィスビルに比べ、シェアオフィスは運営に手間がかかることもIWGの収益力が低い理由だと思います。また、ソフトバンクグループが出資する米ウィーワークも2018年に日本へ進出し、都市部に相次ぎ拠点を開設するほか、日本の不動産大手もシェアオフィスに参入しており、競争が激化していることも背景にありそうです。


シェアオフィスのビジネスモデルは、単にオフィスを企業や個人が共用するのみならず、
運営者が積極的に企業の社員や個人の事業者をマッチングすることによって、新たなビジネスの機会を創出するノウハウが問われます。利用者各人がどの様なビジネスに取り組んでいるのかをデータベース化している運営者もあります。


特に創業間もないスタートアップベンチャーにとって、家賃負担を軽減できるのみならず、新たな事業機会を得る場として魅力的です。多くの拠点を持つシェアオフィス運営者にとって、多くの利用者を抱えることになりますので、それだけマッチングする機会も増えると言えるでしょう。


米ウィーワークでは、単に入居者同士をマッチングさせるだけではなく、将来有望なスタートアップベンチャーの入居を促がし、将来の出資や提携につなげていく思惑もあるようです。これからの時代、新たな事業の創出がコミュニティにあるとしたら、このシェアオフィスという「場」を活用して、まだまだ様々なサービス展開が出来そうです。


例えば、将来性が期待されるスタートアップベンチャーが入居する場合、家賃はゼロにしてその代わりにそのスタートアップベンチャーに出資させて貰うことなども考えられると思います。場所貸しとしてのシェアオフィスにベンチャーキャピタルとしての機能を持たせ起業支援することも可能だと思います。


スタートアップベンチャーとの人脈づくりでシェアオフィスを利用している企業もいる訳ですが、そういった企業であれば様々な形でスタートアップベンチャーと関りを持って行きたいと考えていると思います。企業からスタートアップベンチャーへ人材派遣を積極的に行うことも可能でしょう。


ものづくり系スタートアップベンチャーであれば、シェアオフィスを工場に設置することも必要かもしれません。いまは未だシェアオフィスの勃興期であり、都心の一等地に施設を設置することが多いと思いますが、これからの時代は1億総起業の時代ですから、様々な個性的なシェアオフィスが必要になってくるでしょう。


今日もありがとうございます!
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