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シェア経済のM&A!

皆さん、おはようございます!
昨夕からの雨が今朝もまだ残っていますね。
今日は、これから朝一番の列車で新緑のまぶしい松本へ向かいます。
松本は、不思議と人を優しく包み込む街の魅力があります。



いま日本経済の課題の一つに、中小企業の後継者難の問題があります。
少子高齢化により、高度経済成長時代に中小企業の経営者として携わった団塊の世代以前の方々が、引退の時期を迎えます。本来なら、親族や従業員の中から後継者を選び社長業を引き継いでいくべきですが、多くの会社で後継者がいない状況です。


兎角、日本の経済と言いますと大手企業ばかりに目を奪われがちですが、企業の数の上では97%もの中小企業が日本の経済を支えていることも忘れてはいけません。
時代の端境期にある中で、なかなか将来のあるべき姿を見通せない不安定な現状も、中小企業が後継者を見い出せない理由として挙げられると思います。


今までの時代は資本力の多寡が事業の優劣を決定していましたが、情報化社会は、誰でも自由に情報にアクセスできるとい意味において、情報を上手く使いこなしたものが成功する時代になると思います。その様な社会では、組織の規模が大きければ良いと言うものではなく、個人事業者であっても、中小企業でも事業を成功に導くことが出来る時代です。


後継者がいない場合、上手く外部の第三者に事業を承継できれば良いのですが、個人の資力では被承継事業の債務の肩代わりや株式の買い取りには限界があるかもしれません。
その様に考えますと、多くの事業承継はM&Aによる事業を譲渡する形に頼らざるを得ないのが現実的なのかもしれません。


最近、この事業譲渡型の事業承継が増えて来ているようですが、本格的に事業承継が為される様になるのは、まだまだこれからではないかと思います。
一般的に事業譲渡型の事業承継といいますと、比較的事業エリアの近い同業同士が手を組むというイメージが強いと思います。


スケールメリット(=規模の経済)を追求するという今までの経済のセオリーは分かり易いのですが、これからの経済は相互補完型のシェアーメリット(=共有の経済)の追求に移行する時代となりますので、中小企業における譲渡型事業承継においても、そんな事業の要素や機能を補完し合い、新たな事業を創出する様な視点が不可欠だと思います。


最近では、自社に足りないノウハウやエリアを「足し算」の事業承継で補う地方企業が増えていると聞きます。例えば、買収元である甘酒を製造販売する商店が、買収先の漬け魚の老舗の製法を使い、魚のかす漬け新商品を発売した事例があります。互いに持たざる事業上の機能を融合させる事により新たな事業を創出した例だと思います。


また、買収元である旅行会社を傘下に持つ地方商社が、老舗酒造店を買収した事例もあります。これなどは、どの様な相互補完効果が見込めるのか興味がありますが、実はこの老舗酒造店には酒蔵見学で年間約2万人もの人が訪れるそうです。この酒蔵を観光拠点として活用できることと、商社が新たな商材としてお酒を販売することも出来ます。


更には、中小企業といいますと、商圏がある程度限られている場合が多いと思います。
関東地区の営業に強い企業が、同業で関西地区を拠点とする企業を買収することもあり得ると思います。ただし、この場合は、単に商圏を広げるだけの規模の経済を追求するだけになってしまいますので、先の二つの事例との掛け合わせの方が面白いと思います。


異なる事業者同士が連携して新たな事業を創出される形の付加価値の高いM&Aと言えます。その為には、同自社事業がどの様な事業資源により成り立っているのかを充分に見極め、企業同士ではなく、その事業資源同士を足し合わせることにより、どの様な化学反応が起きるかというインスピレーションと目利き力が不可欠です。


いま大手企業のM&Aを見ていますと、持たざる市場を買収するスケールメリットを追求する形の取り引きがいまだ多いコトが不思議です。これからの時代の移り変わりを見極めて、新しい事業を創出する観点でM&Aを行って行けば、もっと時代の変革のスピードが速まって来ることでしょう。


また、今回の事例は中小企業の事業承継に関わる足し算型M&Aのご紹介です。これからが必ずしも資本力の時代ではなくなりますと、新たな事業を創出する形のM&Aは「買収」という形ではなく、「業務提携」という形でも充分に果実を得ることが出来ます。
規模の大小に関わらず、多くの企業が事業連携に取り組む時代でしょう。


今日もありがとうございます。
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