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大手ゼネコンの不動産開発投資!

皆さん、おはようございます!
若い頃は、将来ありいたい自分の姿を想像しながらキャリアアップすることに余念がありませんでした。いま思えば、それは決して悪いことではないのですが、決定的に欠如していたのは、社会との関わりの中で自分がどの様な役割を担っていくかという視点だと思います。



大手ゼネコンの不動産開発投資の稼ぐ力が向上しているとのことです。清水建設はこのほど
、私募不動産投資信託(=私募REIT)を組成したほか、鹿島は銀座などで高級物件開発に乗り出すそうです。長期化する資材高騰などで主力の建設事業の収益悪化が鮮明になっており、粗利益率で2割を超える非建設事業を拡大し、安定した利益成長を目指す考えです。


大林組や大成建設も含めた大手4社の今期平均では、不動産開発を中心とした非建設事業の粗利益率は24%を超えているそうです。5年前の19%強から上昇し、建設事業の粗利益率である完成工事利益率の9%弱を大きく上回っています。粗利益額は今期で1800億円前後と完成工事総利益の約3割ですが、今後も安定した収益源になると見ているようです。


不動産投資を強める背景に、建設事業の稼ぐ力の低下が挙げられます。東日本大震災の復興需要や東京五輪・パラリンピック特需など好採算工事物件が終息し、価格競争が厳しかった際に受注した低採算工事が増加していることも関係している様です。そのことは既に2019年の頃から見通せた筈です。そこに、鉄骨やセメントなどの資材高が直撃した格好です。


大手ゼネコン4社の今期の完成工事総利益は、新型コロナウイルス禍前の2019年3月期比で2割以上低下しています。このため連結全体の純利益も低迷し、鹿島は2019年3月期比で4%減で済んでいますが、大林組と大成建設は4割前後減り、清水建設はほぼ半減しています。元々、建設会社は契機に左右され易いフロー型ビジネスモデルなので当然です。


それ故、各社は安定成長が見込める事業を模索し続けており、その打開策として洋上風力などの再生可能エネルギー事業やインフラ運営などPFI(=民間資金を活用した社会資本整備)事業も手掛けていますが、これらがまだ収益貢献に時間を要している状況の中で、不動産開発事業に触手を伸ばしていると言えます。何れも付け焼刃の発想と見えてしまいます。


大手ゼネコンは、不動産開発事業に対してこれまで蓄積してきた建築ノウハウを活用できるほか、施工受注の相乗効果が高いと見ていることから、投資を積極化しているそうです。しかし、大手各社は過去にも不動産開発に力を入れていたことがあり、バブル期の地価上昇に乗じて自ら土地を仕入れ、建設用地として工事受注につなげる造注営業を繰り広げてます。


ところが、バブル崩壊後に不良資産となった土地や開発案件で巨額赤字を計上し財務を悪化させた苦い経験があるはずです。喉元を過ぎれば忘れ去ってしまうかのように、今回はこの苦い経験を生かし採算性を重視した投資姿勢が根付いていることから、安定した収益源になると見ているようです。思わずため息が出てしまいます。餅屋は餅屋であるべきでしょう。


REIT、再生可能エネルギー、PFIは何れもバブル時代と異なり、金融商品化している事実に気が付いていない様です。建物を建設する技術を蓄積してきたゼネコンにとって門外漢の金融事業であることに留意すべきです。大手ゼネコン各社の経営陣は、何れもバブル期末期から崩壊に至るまでを若い頃に経験している筈ですが自分事ではなかったのでしょう。


今日もありがとうございます!
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