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主体的な金融の実現を望む!

皆さん、おはようございます!
先日、富岡製糸場を初めて訪れました。今から150年ほど前に明治政府が製糸業の近代化を図るために設立した官営模範工場で、木骨煉瓦造の特色ある建物群が現在もほぼ建設当初のまま保存されています。我が国近代工業の幕開けの地を感慨深く思いを巡らせてました。



日本で起業が増えない要因の一つとして、長年にわたり問題視されてきた金融慣行がようやく是正される機運となってきました。金融機関が法人向け融資で経営者個人にまで保証を求める行為が、来春から金融庁の監督指針で制限されるからです。私自身、起業に際して連帯保証を金融機関に差入れ、敢え無く玉砕し求償債務を負った身として歓迎すべきことです。


新指針では金融機関が融資で個人保証を求める場合、個別具体的な理由と保証解除に必要な条件の明示を義務付けられることになります。また、保証を取った融資について金融庁に対して全案件の報告義務を課せられることになります。これまで金融機関は融資先の審査に際して、保証を取るか否かの基準を持っていなかった為、どう実効性を持たせるのでしょう。


逆に言えば、日本の金融機関の融資姿勢は、物的担保や経営者保証の有無だけで融資が出来るか否かを判断してきたことから、果たして新指針が適用される来年4月迄に個人保証が必要な融資とそれが不要な融資の基準を明確にできるのでしょうか。それは更に融資先の審査を「事業性評価」することを意味しており、実際にどの様に対応するのか疑問が残ります。


これまでの金融機関の融資慣行で、実際に経営者保証の履行を迫られる例は少ないと言われてます(=私の場合は異なりましたが)。しかし、起業を検討する個人の目には、経営者保証の存在自体が大きなリスクと映っています。私の知人の大学生も、若いうちに起業経験を積みたいという考えを持っていましたが、金融機関に対する保証が足枷となっていました。


ここで金融機関について但し書をさせて頂きますと、もちろん金融庁が新指針の対象としているのはメガバンク、地方銀行、信用金庫などなのですが、あまり知られていませんが日本の名立たるベンチャーキャピタル(=VC)もエクイティ出資(=資本金)する際に、経営者の保証を取ったり、株式を経営者が買い戻すことを義務付ける驚きの現実もある位です。


日本の金融システムが如何に浅ましいかを物語っている現実です。それは戦後金融行政において長年にわたり護送船団方式を採ってきたこととも関係していると言えるでしょう。だから日本の企業は、保護政策により新しい競合企業の参入がないことから大手企業ばかりが成長に次ぐ成長を遂げる一方で、時代の端境期において変革できない弱さを露呈しています。


金融機関本来の機能は、事業可能性や経営者の能力を「目利き」することで、自らも貸し手責任を負いながら、資金を供給する信用創造力にあると言えます。お客様から預かった預金を融資する金融機関からは、それでは信用力を担保できないという声が聞こえてきそうですが、だからこそ「目利き力」を鍛え、融資先と共に事業を育成することが不可欠なのです。


今後、どの金融機関も「目利き力」を強化すべきであり、信用創造と債権者による融資先統治機能を高めて行くことが必要でしょう。オーナー経営者に会社と家計の分別と適正な財務管理を徹底させることにより、我が国中小企業の経営力を底上げすることにも通じます。日本経済の弱体化と地方銀行の業績不振は、墓穴を掘った金融機関に責任の一端があります。


今日もありがとうござます!
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