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事業成長担保権!

皆さん、おはようございます!
国立駅近くのコワーキングスペースに併設して開設したビジネス支援プラザに関心を持って施設会員になることを検討している方がいらっしゃいます。新たに教育ビジネスでの起業を検討されておりますが、国立市という文教地域に相応しいビジネスではないかと思います。



金融庁は、技術力や知的財産も担保にできる新法の検討をしているそうです。法務省と連携しながら、無形資産を含めた事業価値全体を担保の対象とする「事業成長担保権」を創設する方向です。実現すれば、不動産担保や経営者保証を前提としてきた日本独自の融資慣行が変わることが期待されます。中小・新興企業の資金調達の新たな手法となるのでしょうか。


11月上旬から金融審議会作業部会で制度設計の議論を始める計画で、早ければ来年の通常国会に法案を提出する方針です。現行制度では民法に抵当権や質権を設定できる規定されており、不動産など個別資産を担保にすることが可能ですが、技術力など無形資産は担保に出来ず、中小企業向け融資では不動産担保や経営者の個人保証に頼ってきた経緯があります。


新たな制度は、事業から生み出されるキャッシュフローやその将来性など事業を丸ごと評価して担保にすることを想定しています。スタートアップ企業や事業拡大のための成長資金や事業承継や事業再生の局面で活用されることを想定しています。物価高やコロナ禍で経営改善や事業再構築の必要性が高まる中、担保の乏しい企業も活用しやすくなることでしょう。


近年、金融庁は金融機関に対して事業の成長性に基づく事業性評価融資を促していますが、それを後押しする担保制度がなく実効性が乏しかったと受け止めているようです。米国では全財産を包括的に担保設定できる制度があり、中小企業の将来のキャッシュフロー見極めて全財産を担保に設定し、金融機関1行のみが融資をすることが基本となっているそうです。


金融機関は高いリスクを取るため、中小企業の事業性を木目細やかに評価する必要があります。だから、経営が悪化すれば早い段階で対処することも可能となります。国際連合の国際商取引法委員会がつくったモデル法では、技術力なども含めて全ての財産を担保の対象とすることが盛り込まれており、カナダやオーストラリアにも既に同様の制度があるそうです。


日本も金融機関が独自の取り組みで不動産を担保にする融資手法が変わりつつあるようです
。農業金融の世界では、和牛などを担保にして融資する動産担保融資に取り組む地方銀行が出てきています。大手金融機関でも特定事業のキャッシュフローを裏付けに融資するプロジェクトファイナンスという手法もありますが、事業成長担保権とは些か趣きを異にします。


プロジェクトファイナンスも確かに事業からのキャッシュフローを担保にすべく特定目的会社といわれるビークルを設立して、事業を切り分けた上でそのビークルの株式など権利に質権を設定する形態をとります。それに比べれば、事業成長担保権は無形資産や将来のキャッシュフローまで全てを担保に入れることが出来る簡便さと新規性があると言えるでしょう。


ただし、この事業成長担保権という便利な新しい法制度が成立しても、中小企業の事業に対して金融機関が深く関わり事業を評価しようとしなければ実効性が伴わないでしょう。前提として担保がなければ融資を行わないという意識を変え、飽くまでも事業そのものを自体をもって評価し融資を行い、それでも不透明な潜在リスクへの次善策として捉えるべきです。


今日もありがとうございます!
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