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オリックスが会計ソフト弥生売却!

皆さん、おはようございます!
コミュニティ・ビジネスという言葉があります。文字からしてなんとなくイメージしやすい言葉なのですが、きちんとした意義を理解して目から鱗が落ちる思いでした。地域が抱える課題を地域資源を活かしながらビジネスの手法によって解決しようとする事業だからです。



東京株式市場でオリックスが一時、前週末比70円(=3%)高の2319円まで上昇しています。好調な業績に加え、子会社の会計ソフト大手である弥生を米投資ファンドKKRに売却する方針であることが伝わり、オリックス株式に買いが集まったからです。市場では売却資金が成長分野への投資に向けられることを好感した、参加者による声が多いそうです。


弥生会計の想定売却価額が2400億円程度とオリックスの時価総額2兆9346億円と比較しますと、10%程度を占めており決して小さいとは言えないイベントだと思います。しかし、振り返えれば2014年に800億円超で弥生会計を買収した時から、なぜオリックスが会計ソフト事業を傘下に収めたのか、些かの疑問と驚きを持ったことを思い出します。


オリックスは、弥生会計の買収後、複数の取締役を派遣して収益拡大に取り組んでいます。オリックスの営業網を通じて弥生会計ソフトの拡販を狙っていましたが、オリックスの顧客が主に大手企業や中堅企業で、個人商店の経営者などを得意とする弥生会計との相乗効果は限定的であったようです。弥生会計の2021年3月期の事業利益は60憶円と黒字です。


しかし、弥生会計の競合であるマネーフォワードやフリーの時価総額がいずれも3000億円を超えるなかで、業績の伸びが冴えない弥生会計の売却価額2400億円は明らかに見劣りする金額です。株式市場参加者から見れば、先行き不透明な同社に投下資金を寝せるよりも、早く投資回収し将来性が見込める事業領域への再投資を行って欲しかったのでしょう。


しかも、1600億円もの株式売却益を享受できるというメリットもあります。オリックスは弥生会計の新規株式公開(=IPO)も視野に入れていたようですが、KKRという有力な買い手候補が現われたことから売却方針に転じたのでしょう。それが株式市場への参加者にとってサプライズとなり、オリックスの株価を押し上げる効果となったものと思います。


ここまでの事実は、資本の論理に従って為された事象であり、やはりオリックスは金融会社なんだと改めて認識させられます。オリックスの本業であるノウハウは、資本を投下することにより享受するキャピタルゲインおよびインカムゲインを最大化することにあります。そういう観点から、事業を評価しますので、事業を育成して成長させるにも限界があります。


そもそも買収時点において想定した弥生会計とオリックスの相互補完効果について、弥生会計を使用するターゲット顧客層とオリックスの顧客層が異なるなんて、少し考えてみれば分りそうなものです。それだけオリックスも成長したということですが、祖業であるリース事業における強みは、当初の顧客層である中堅企業や中小企業との取引関係であった筈です。


今回の弥生会計売却劇は、やはり金融と実業をミックスさせた商社を目指していたオリックスも単なる金融会社なのだと思わせる現実だと思います。また、事業会社でありながらオリックスと同様な価値判断基準を持つ企業グループとしてソフトバンクを挙げないわけにはいきません。金融事業の判断基準で実業を成長させることに無理がある思わざるを得ません。


今日もありがとうございます!
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