誰にも聞けない経営財務戦略!

ビジネスの未来を財務と心で読み解くブログです!

CREATE LIFE!
より良い暮らしを創造しよう!

http://crelife.co.jp

私的整理で特別立法!

皆さん、おはようございます!
楽天的な性格の割には、物事を慎重に進める性質(=たち)だと思います。自分で自分の内面のことは、なかなか分からないものかも知れません。ただ、ビジネスの場において、相手の立場を考えながら慎重に落とし所を探すところは、自分ならではの性格だと思います。



政府の成長戦略会議は、今秋とりまとめを目指す成長戦略の議案の中で、財務体質が悪化した企業が金融機関などとの協議の上で債務を軽減する私的整理を進めやすくする為の特別立法を検討しているそうです。昨春からの新型コロナウイルス禍の影響で、資金繰りを確保するために金融機関からの借り入れを行い、未だ業績見通しが立たない企業が増えています。


銀行からの借入債務が重くなりますと、事業転換を狙って設備投資などを計画したとしても追加融資が受けられず、業績好転を描き難くなることから、政府としては新型コロナ終息後に経済回復のスピードを上げるための措置として検討を進めていることは好感できると思います。このままの状態では、企業の自力再建には限界があると考えられることによります。


私的整理は、債権者の過半数が同意すれば整理手続に入れるようにする案も浮上しているようですが、仮に私的整理に反対する金融機関の債権が無理矢理カットされる懸念もあり、憲法29条に規定される財産権の侵害に該当する可能性もあるため慎重な検討が必要だと思います。拙速につくった法制度がモラルハザードの温床にならないよう留意が必要でしょう。


私的整理は、会社更生法、民事再生法などに基づいて裁判所が主導する法的整理に比べ、企業が事業を継続し易いという特徴があります。一般的に買掛金などの商取引による債務がカットの対象にならないため取引先に迷惑が掛り難く、私的整理を適用する企業にとっても事業を継続する際に信用低下という企業価値を毀損するリスクが小さいメリットがあります。


一方、私的整理を行う当事者企業による、必ずしも蓋然性の高くない事業計画や見通しをもって金融機関の債権カットを行おうとする誘因をいかに防ぐかという点を如何に打ち立てるかが不可欠でしょう。確かに経済産業大臣の認定を受けた、公正・中立な弁護士、公認会計士などの第三者が関与することによる事業再生ADR制度を活用することが考えられます。


しかし、事業再生ADR制度はどちらかといえば、財務的、法律的な見地から企業再建していく視点だけに陥りがちであり、もっとビジネスライクに事業を再構築していくプランが欠けている所が否めません。時代の端境期において、コロナ禍の影響は切っ掛けに過ぎず、本質的には新しい時代に相応しいビジネスモデルへの転換が望まれることに留意が必要です。


その位、思い切って企業の構造転換を迫って行かなければ、悪戯に金融機関の債権カットを認めるべきでないと思います。経営者も不退転の覚悟を持ってもらう必要があるでしょう。その意味で、私的整理と事業再構築をパッケージにしてみれば良いと思いますが如何でしょう。債権者も納得できるビジネスプランをもって、前向きに社会を変える必要があります。


特に大手企業、中堅企業にばかり目が行きがちですが、日本の経済を支えているのは多くの中小企業であることを忘れてはなりません。確かに1企業当たりの債権額からは大手や中堅企業ばかりが注目されてしまいますが、今、行わなければいけないことは旧態依然とした社会の構造を変える又とない機会であり、中小企業が元気になることが不可欠だと思います。


今日もありがとうございます!
http://crelife.co.jp

×

非ログインユーザーとして返信する