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日本版SPACの解禁?!

皆さん、おはようございます!
世界の潮流を見ますと、従来型の資本主義観である株主価値最大化を指向する株主資本主義から、企業を社会の受託者とみなすステークホルダー資本主義への転換を目指す動きも見られます。会計理論でもヒューマンキャピタルを資産計上しようという試みが為されてます。



政府は米国で広がった特別買収目的会社(=SPAC)の解禁を検討するようです。SPACは「空箱」に例えられ、自身は事業を営まずSPACの代表には著名な経営者や投資家が就任することが多く、代表者個人の信用力と上場後に有望な企業を買収するという宣言によって、投資家からお金を募り、通常は2年以内に未公開企業を買収し、合併するものです。


いわば有望な未公開企業が短期間で上場する仕組みで、スタートアップ企業の資金調達を後押しするとともに、伝統的な企業の事業再編でも活用することも期待しているのが、今回の日本版SPAC解禁検討の狙いだと言われています。先行する米国では、裏口上場リスクや投資家保護の懸念が指摘されており、多くの問題点を内包していると受け止められてます。


金融庁と経済産業省、東京証券取引所(=東証)などは夏以降、投資家保護やチェック機能を強化した日本版SPACの議論をはじめることとしています。東証の上場制度の見直しや新たなルールを整備するなどして、2022年以降の解禁を模索します。米国以外にも英国やオランダ、ドイツなどでSPACの普及に向けた制度整備が進んでいると言われてます。


問題の本質は、なぜSPACとの合併を通して株式を公開すると、通常の新規株式公開(=IPO)より手続が省略され、1年以上かかる上場準備が半分の6ヶ月程度にすることが出来るかということだと思います。確かに時代の転換期において、多くの新興企業の成長を促す必要がありますが、それは個人投資家へのリスクの転嫁を許容するものではありません。


また、投資家側からみればSPAC設立者の目利き力を頼りに資金を預けることにも通じ、
プロ投資家ならいざ知らず、個人投資家にとっては皆目見当もつかないものと思います。買収される側の新興企業は、従来の審査プロセスを経ずにIPOすることから裏口上場と揶揄されても仕方がないでしょう。それは新興企業の市場を活性化させる目的であってもです。


そうであるなら、もっと新興企業がIPOし易い新しい市場を創設するか、現状のマザーズ市場の審査基準を緩和すべきではないでしょうか。それでは市場を健全に維持発展させて行くことが難しいことから、現在の審査基準に落ち着いたものと思います。新興企業にとりましても、必ずしもIPOが資金調達する為の出口ではなくM&Aによる売却も増えてます。


IPOすると、その為の上場維持コストが新興企業にとって足枷となり、何かと事業活動において小回りが利かなくなるものです。これからの新興企業のビジネスモデルは、必ずしもIPO資金を享受しなければ成長できないというものでもないと思います。むしろ、市中銀行、ベンチャーキャピタルなどがリスクマネーを提供する目利き力を高めていくべきです。


時代の転換期において、新しいビジネスが創出され次世代を担っていく必要性が高まっているのは世界各国共通の課題だと思います。だからといって、従来の制度に無理矢理あて嵌め歪曲することなく、全く新しい視点で新興企業を育成することを考えるべきでしょう。これからは、オープンプラットフォーム上で各々事業主体が機能を持ち寄り連携する時代です。


今日もありがとうございます!
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