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アステラス製薬の時価総額目標!

皆さん、おはようございます!
今週は2度に渡る出張があり、流石に身体に疲れが溜まっています。気力はいたって前向きなのですが、身体が付いて来ていないことに年齢を感じてしまいます。明日は朝から産業カウンセリングの講習がありますので、少々ペースダウンしながら乗り切りたいと思います。



アステラス製薬が2026年3月期までの新たな中期計画を発表しました。その中で、株式時価総額の目標を掲げ、現状の約2.2倍の7兆円を明記しています。本来、株価は市場で決定されるため、企業が時価総額の目標を中期計画で盛り込むのは珍しいことです。同社としては、株主の目線を意識した企業価値経営を徹底することを狙いとしているのでしょう。


自社の株価や時価総額を業績目標を基礎として理論的に算定することは、そんなに難しいことではありません。ただ、それは飽くまでも理論株価や理論時価総額ですので、目標時点の株価がその通りになるか否かは、その時の経済の基礎的な条件(=金利動向や物価等)に影響を受けることになりますから、一つの目安や目標というように捉えるべきだと思います。


大切なのは、どの様な戦略に基づき業績目標を実現していくかにあります。アステラスとしては、遺伝子治療薬やがん免疫薬など次世代技術に開発投資を5年総額で1兆円超を投下して、コア事業の営業利益を2026年3月期までに、2021年3月期対比で2.2倍の5500億円まで引き上げる計画です。それが実現できれば理論株価も達成できるでしょう。


主力の前立腺がん治療薬「イクスタンジ」、尿路上皮がん治療薬「パドセプ」などの重点戦略商品の合計で、売上高を2021年3月期対比で48%増の1兆8500億円を目指しています。売上高に対する研究開発費の大きさと売上高営業利益率の高さが、製薬会社の財務構造の特徴を端的に表していると思います。新薬の特許権を拠り所とするビジネスです。


アステラス製薬は、元々2005年に山之内製薬と藤沢薬品工業が合併して発足した会社です。国内製薬会社大手5社、武田薬品工業、第一三共、大塚ホールディングス、エーザイの一角を占めており、医薬品売上高世界ランキングで武田薬品工業に続く位置となってます。時価総額ランキングで、武田薬品を抜き去った経験もそれを意識する理由なのでしょう。


いまコロナワクチンで世界中の製薬会社が凌ぎを削っている状況を見ていましても、もはや日本の製薬会社も海外の競合企業に目を向けなければなりません。進むグローバル企業間競争の中で株式時価総額が安いと、海外からのクロスボーダーM&Aの買収対象となってしまいます。その意味で、まだまだ日本企業は時価総額に対する意識が低いのかもしれません。


特に製薬企業の生命線は、新薬開発において莫大な金額の研究開発投資が不可欠となりますので、盤石な財務基盤を持ち得ることが必要条件となります。それが製薬企業各社を資本の論理を前提として物事を捉えていくことに向かわせる根拠となっています。人間の英知が創りだした社会システムなのですが、グローバル化の流れは誰にも止めることが出来ません。


私達の日々の現実の暮らしからみますと乖離してしまっている様にも思います。ただ悪戯に資本の論理に従って企業規模を大きくすれば良いというものでもないでしょう。そこはやはり事業主体が抱えるビジネスモデルを充分に見極め、必要に応じて順応していことだと思います。これからの時代、必ずしも量を求めることなく、質を追求して行くことが必要です。


今日もありがとうございます!
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