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ニコンの米企業買収!

皆さん、おはようございます!
自分の考えを言葉にするのが難しいと感じることが増えています。自分の考えというのは外から得た知識を自分なりに演繹的に思考するというよりも、五感で身体に採り入れた経験知を独自の発想で帰納的に思考するからで、適切な言葉への変換が大変だからだと思います。



ニコンは米国企業を買収し、中小型衛星など宇宙航空向け部品事業に参入するそうです。4月2日付で買収額100億円弱で株式の過半を取得しています。買収したのは、米ロサンゼルスを本拠地とする新興メーカー、米モーフ3Dです。米ボーイングなど欧米の大手航空宇宙機メーカーと取引しており、3Dプリンターで製造する小型衛星向けの部品が主力です。


ニコンが三菱財閥であるとは知りませんでしたが、総売上約7000億円の多くを占める主力事業だったカメラの市場が縮小するなか、成長性ある事業に参入し新たな収益源に育てたい考えです。ニコンは「光加工機」と呼ばれる金属製の粉を吹きつけて自由に形成する金属3Dプリンター技術を持ち、既にその3Dプリンターを量産化して販売を開始しています。


衛星部品には軽量かつ高い強度が要求され、ネジやボルトといった継ぎ目をなくす特殊な構造が求められます。ニコンは自社の金属造形機器である光加工機を用いて宇宙部品を生産し米モーフ3Dの販路に乗せて行くことを狙いとしています。小型衛星の市場規模は2020年の28億ドル(約3100億円)から、2025年に71億ドルに拡大する見通しです。


ニコンといいますと、自前主義を貫き通し何でも内製するという印象が強く持たれます。そのせいか、今までに表立ったM&Aにより事業の買収や売却を行ってきた実績があまりないのではないでしょうか。主力事業であるカメラは、広く消費者に知れ渡ったところだと思いますが、迫りくるデジタル化の波に乗り遅れて業績は窮境を極めているものと推測します。


今般の買収事業である中小型宇宙衛星の分野は、時代とともに市場は少しずつ拡大していくものと思いますが、必ずしもニコンの屋台骨を支える事業にはなり得ないものと思います。
どちらかといいますと、光学技術とIT技術を融合した中から、結果的に光加工機という3Dプリンターが生み出されたものであり、技術先行企業のニコンらしい産物だと思います。


きっと当初は、光加工機3Dプリンターそのものの販売を試みたのでしょうが、高価な機器の販売が振るわず、それであればとその機器を活用した製品製造に考え方を方向転換したのが今回の米モーフ3Dの買収なのでしょう。米モーフ3Dにしても、業績を拡大していく為には、莫大な設備投資が必要となる為、ニコンの傘下に入ることは渡りに船なのでしょう。


先日の日立製作所による米IT大手グローバルロジックの1兆円買収に比べましても、そのスケール感の小ささが否めないと思います。それは、買収金額の多寡ということではなく、事業構想のスケールの大きさの話しです。なぜニコンの光学技術と情報技術を融合した結果として、光加工機3Dプリンターが生み出されたのでしょう。それ自体は悪くありません。


必要なのはその先にある社会との関わりの中で、どの様な課題を事業を通じて解決して行こうと考えるかが問われると思います。今の時代であれば、私なら医療機器分野、中小企業の情報化やDX(=デジタルトランスフォーメーション)を採り入れたファクトリーオートメーションだと思います。やはりいま必要なのは、ビジネスを大きく捉える構想力でしょう。


今日もありがとうございます!
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