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日本ペイント、アジア企業の傘下へ!

皆さん、おはようございます!
猛暑の8月も駆け足で通り過ぎ、気が付けば明日から9月です。夏の暑さも峠を越え、日に日に秋も深まっていくことでしょう。日々、忙しくしながら時が経つのも忘れてしまいがちになる中で、この四季の移り変わりを肌で感じられるのは大切なことだと思います。



日本ペイントホールディングスは、シンガポール塗料大手ウットラムグループの子会社になると発表しています。塗料事業を統合、世界で20兆円の市場をグループ一体で開拓するとしています。日本ペイントは素材業界大手で初めてアジア企業の傘下に入ることになります。有力なアジア勢同士が手を組み、世界に打って出る動きが広がるのでしょうか。


ウットラムグループが、日本ペイントの第三者割当増資を引き受け、日本ペイントへの出資比率を現在の39.6%から58.7%に引き上げ、同時に両社の塗料事業を統合し、日本ペイントに集約する計画です。具体的には、日本ペイントは増資で得られた1.3兆円を使い、ウットラムとのアジア各国の合弁会社10社を完全子会社化するそうです。


日本ペイントは、更なる成長のためにグループ一体で様々な買収や成長戦略を考えられるようになるとしています。日本ペイントは2019年にオーストラリア建築用塗料大手を3千億円で買収し、同様にトルコ同業大手をも買収していますが、何れもウットラムの知見なしでは果たし得なかったとしています。ウットラムとはどの様な企業なのでしょう。


投資業や不動産業も営む同社は、アジアを中心に世界中に情報網を持ち、いち早く買収案件が持ち込まれるうえ、交渉などにも長けているそうです。塗料事業でも中国などに独自の華僑人脈があり、アジアでの販売網を拡大するにはウットラムの後押しが欠かせないと考えられています。そんな、日本ペイントとウットラムの関係は1962年に遡ります。


ウットラムがシンガポールで塗料事業を開始するに先立ち、日本ペイントの門戸を叩いたところから始まります。両社は日本ペイントの技術力、ウットラムの営業力と情報力、資金力という各々の強みを融合した資本業務提携を行っています。その後、日本ペイントがウットラムとのアジア合弁8社買収と同時に、ウットラムの出資比率を引き上げています。


これまでの経緯を窺えば、アジア市場に両社で合弁事業を設立しながら、それを日本ペイントが買収する度にウットラムが日本ペイントへの出資比率を高めていった流れが見て取れます。本来、塗料事業に長けていたのは日本ペイントの筈ですが、経営の主導権を握られてしまったのは、ウットラムの情報力と資金力の方が勝っていたと言えるでしょう。


元々、塗料業界には世界に数千社あるとされており、その中でも欧米企業のビッグ3に大きく水を開けられ、日本ペイントは長年4位に甘んじざるを得ない状況です。塗料市場は縮小を続けており、事業の拡大戦略を描くには特にアジア圏をはじめとする新興市場の競合を買収する以外にありませんが、他業界に比べ再編が進んでいるとは言えません。


塗料事業の販路の多くは建築用塗料が占めていますが、建築用資材の販売チャネルが複雑で業界再編が起こらなかった為、業界内の事業者数が多く中小事業者が多いことにも起因しています。業界トップ3の牙城を崩せずにいる日本ペイントにとって、ウットラム傘下に入ることは、事業存続のためにはやむを得ない究極の選択だったのかもしれません。


今日もありがとうございます!
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