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大きなM&Aと小さなM&A!

皆さん、おはようございます!
先日、以前勤めていた会社の先輩諸氏と久しぶりに旧交を温めてきました。
元音響機器メーカーに勤めていた先輩方は無類の音楽好きで、昔取った杵柄ではありませんが、最近30数年ぶりにバンドを再結成して楽しんでいる姿が頼もしくありました。



産業界を見ていますと相変わらずM&Aが興隆を極めているようです。長引く超低金利政策により企業内にダブつく資金と国内市場の低迷により将来の姿を描き切れないでいる企業にとって、M&Aは格好の成長戦略なんだと思います。本来なら、市場の成長とともに企業も成長していくことが理想ですが、それはもう幻想なのでしょうか。


日本の経済は既にモノが行き渡り市場が飽和しているといわれています。その様な中で企業はリピート需要に対して商品を供給するだけでは、現状維持することは出来ても拡大成長することは出来ません。その様な経済環境の中で、成長ばかりを追いかけることなく横ばい均衡させていくという選択肢があっても良いと思います。


ところが同業他社との競争の中で、他社が成長戦略を緩めない中で自社のみが成長を止めるわけにはいかないことや、株式を公開している企業であれば株主に対して株価を高めていく必要から、絶えず利益を増やし続けなければならないジレンマに身を晒されている現実があります。大手企業にとっての資本の論理という呪縛が存在するわけです。


この大手企業にとっての呪縛が、高度経済成長下のように市場成長とバランスが取れていれば良いのですが、実体経済が振るわなくなっているのに表裏一体であるはずの金融経済のみが企業に対して成長を要求するところにいまの社会の矛盾、課題が内包しているということが出来ると思います。


私たち生活者の立場からみれば、多くの働き手がこれら大手企業によって吸収されているわけですが、大手企業が新たな付加価値を生み出さずに潤沢な手元資金により既存の市場を買うというマネーゲームに勤しめば、当然にそこで働く方々にとって実感を伴わない忙しさに埋没してしまい、働くことに対する疑問を抱いても不思議はありません。


この一週間のM&A動向を見ても、アサヒビールがビール世界最大手アンハイザー・ブッシュ・インベブ(=ベルギー)からオーストラリア事業を1兆2千億円で買収することが話題に上ったり、国内旅行業大手のエイチ・アイ・エスがホテル業を手掛けるユニゾホールディングスを対象としたTOB(=敵対的買収)を実施すると発表しています。


きっとこれらのM&Aも巨額の買収のれん(=被買収企業の時価純資産を上回る価額で買収した時に発生する超過額)が発生するのでしょう。この買収のれんは2018年度末現在の世界中の企業の残高が720兆円を超えており、米中貿易摩擦などを受けた景気減速が重なり、既に同年度で16兆円強の損失が発生していると言われています。


この様な現象を見ていますと、既に大手企業は私たち生活者にとって手の届かない大きな経済圏の論理(=資本の論理)により突き動かされており、大手企業もそのような経済境の枠組みから足を踏み外すことが出来ないまでになっていると言えるでしょう。しかし、いつかはその遠心力も逆回転し始めることを忘れてはなりません。


一方、社歴が100年以上の老舗企業が倒産した件数が2018年度に465件に達し、2000年度以降、記録を更新し続けています。中小企業の人手不足や後継者難が深刻化していることが背景にあります。長寿企業が多い日本ですが、今後も先行き不透明な状況が続くとみられています。


これら中小企業こそ、事業の一部だけでもM&Aを行い後世に遺伝子を受け継いでいくべきだと思います。M&Aとはいいましても大手企業が行うそれとは異なり、私たちの生活の身近にある事業を生かしていくことは、地に足の着いた実物経済での取引だということができ、身の丈にあった安心感を感じぜざるを得ません。


今後、M&Aのノウハウを後継者のいない中小企業を生かしていくためにもっと活用していくべきでしょう。大きな経済圏におけるM&Aに対して、小さな経済圏におけるM&Aという捉え方が出来るものと思います。私たちは、自ら制御できない大きな経済圏よりも、自らコントロールできる小さな経済圏に安らぎすら覚えるものと思います。


大きな経済圏が無くなることはないと思いますが、少しずつ小さな経済圏が広がりつつあるように思えます。その様な経済圏では、人と人の結びつき、信頼関係といった資本が、貨幣資本にとって換わられるつつあるようです。貨幣資本の興隆により失われたものに私たちは気づき始めているように思います。


今日もありがとうございます!
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