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NEC、新卒年収1000万円超!

皆さん、おはようございます!
日本型雇用慣行といえば、すぐに新卒一括採用、終身雇用、年功序列が思い付きます。
いまそのどれもが見直しを迫られており、いよいよ日本型雇用慣行も形骸化しようとしています。社会が共同体の枠組みから、個人主義へと変容しているようです。



日本のIT(=情報技術)大手が若手の研究者や技術者の報酬を増やす方向へと動きはじめています。先日ご紹介したソニー、ファーストリテイリングなどに続き、NEC、富士通、NTTデータ、LINEも、世界的に需要が高まっている優秀なAI(=人工知能)人材を獲得するために、これまでの年功序列賃金を見直す動きに着手しています。


NECは、優秀な研究者には新入社員でも年収1000万円以上を支払う制度を導入します。2019年10月から、社外の評価を反映して若手研究者の報酬を決める新制度を設けます。新制度では、新卒でも学生時代に著名な学会で論文発表などの実績があれば1000万円を超える報酬を支給するそうです。


同社に2018年4月に入社した博士号を持つ新入社員の月収は28万9千円であり、年2回の賞与を加えた年収は数百万円ですので、相当の大判振る舞いであることが理解できると思います。現状でも優れた研究者を管理職に抜擢して、年収で2000~3000万円程度を支払う例もあるが、20~30歳代の若手は対象外だったそうです。


新しい制度では、年齢を問わず能力や実績を考慮して決める等級制度を新設することになります。富士通は、カナダのAI子会社で役員待遇の報酬を検討しています。優れた人材を日本の役員並みの年収数千万円で厚遇し、2020年度にはAI人材をグループ全体で現状の7割増の2500人規模に増やす計画です。


NTTデータは、2018年からトップ級のIT人材獲得を目指し、年収2000~3000万円以上を支給する制度を始めています。また、LINEも優れた若手技術者に1000~2000万円の報酬を出すことを決めています。これからの社会を支えるAI人材の獲得に向け、各社とも人材獲得競争が過熱しています。


IT業界では、GAFA(=グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)などの米国企業などが厚遇で世界の人材を集めています。危機感を強めた日本企業は若手を照準に市場価値に見合った評価を導入し、硬直的な賃金制度を見直さざるを得ない状況に至っています。企業の最大の資源が人材であることを改めて認識させられる現実だと思います。


日本の企業は、総合職という名の下、業務を標準化することによりローテーションにより幅広い業務を経験させることにより、共同体としての総合力を引き出すことにより成長して来たということが出来ます。その裏腹に、報酬体系は個人格差の少ない均一の年功序列型賃金による分配を制度として設計しています。


日本の高度成長期に、欧米企業の事業を模倣しキャッチアップを図る場合には、その様な仲間意識を引き出す運命共同体的な人事制度が非常に効果的であり、日本の経済を世界でも有数な経済大国へと押し上げて来たものと考えます。しかし、新たな社会の枠組みが模索される世の中では、日本の雇用慣行が通用しなくなっていることを表しています。


確かに、これからの社会はAIをはじめとするITにより今までの社会の枠組みを変革して行かなければならない中で、各社がAI人材の獲得に動き始めなければならない状況は理解できます。しかしながら、一方で技術のみならずそれをどの様に生かしていくかという事業の構想を描いて行くことも不可欠であることを忘れてはなりません。


GAFAとは異なり、日本のIT大手企業に欠けているのは、これから社会でどの様な事業を営んで行くかという構想の部分だと思います。それなくして、優秀なAI人材を獲得したところで、上手く事業に結び付けらないものと思います。高い報酬だけで人材を獲得しようとしても、優秀な人材を生かしきれないことにならないでしょうか。


新卒一括採用や終身雇用についても、見直していく機運が高まっている中で、いまの企業に欠けているものは、一人ひとりの役職員が社会人としていま起きている現実に対して自律的な行動をとっているのかという点も見逃せません。日本企業の長年に渡る集団組織行動がその様な責任意識を薄めてきた様に思えます。


確かに日本の雇用慣行は、時代の過渡期にあって、それを継続していくことは難しくなっている様に思えます。しかし、人事制度を変える以前の問題として、私たち一人ひとりがどの様な社会に変えていくのかという構想を持って、自律的に行動して行こうという意識が何よりも大切である様に思えてなりません。


今日もありがとうございます!
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