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伊藤忠商事の2000億円ファンド!

皆さん、おはようございます!
情報技術革新のスピードが速まる中で、ファーウエイを軸とする米国と中国の貿易戦争ではありませんが、中国IT(=情報技術)企業の目覚ましい成長に目を見張るものがあります。約14億人もの人口を抱える中国の国力から目が離せません。



伊藤忠商事は、資本提携先の中国国有企業、中国中信集団(=CITIC)グループや清華大学系投資法人と組み、2000億円規模の投資ファンドを設立することを発表しています。投資対象は、主に日本のスタートアップ企業であり、中国マーケットへの進出を促し先端技術を呼び込む狙いがあるとみられています。


伊藤忠商事と日本国内向けスタートアップ企業への投資に向けたファンドの設立で合意したのは、CITICグループ子会社の投資法人である信金インベストメント・ホールディングス(=香港)です。信金インベストメントには、スタートアップ投資で知られる清華大学系の投資法人TUSホールディングスが10%を出資しています。


また、伊藤忠商事にとっては、6000憶円を投じたCITICグループとの提携後、最大の協業案件となります。伊藤忠商事と信金インベストメントは、他のCITICグループ企業にも出資を募り、年内に1200憶円の資金を集め、投資は8月をめどに開始する計画です。将来的には2000憶円のファンドとする目標を打ち出しています。


伊藤忠商事は投資先となる日本の企業を発掘し、スタートアップ企業と連携して、既存事業を刷新し、新たな事業参入を狙うことを目的としています。新たな事業の可能性を中国市場に見出している伊藤忠商事と中国への先端技術を呼び込みたいCITICグループの思惑が合致したということができます。


清華大学系のTUSホールディングスが投資先の技術を見極め、投資に値する企業には中国向けの事業構築の支援をする予定です。CITICグループは、現地の法規制の面で助言を担うことも予定しています。1件あたりの投資額は数億円~数十億円になることを見込んでいます。


投資を受けるスタートアップ企業は中国への進出が条件となるようで、中国での外資規制の撤廃が進む中で、米中貿易戦争により外資系企業による中国市場への参入が滞りかねなくなっている中での、いささか政策的な意味合いを多分に含んだ取り組みともいえるかもしれません。


ただし、中国には約14億人もの人口を擁しており、進出するスタートアップ企業にとっては、ITデータ活用に積極的な中国において、事業拡大の可能性を秘めた魅力的な市場であるという見方もできるかもしれません。国内小売最大手イオンもグループの情報化投資の拠点を中国に置いている事例もあります。


果たして、伊藤忠商事に中国へ進出しようとするスタートアップ企業を発掘できるのか手腕が試されるところですが、見方を変えればスタートアップ企業にとっては大判振る舞いな投資額と中国という市場を手にできる可能性があります。本気で事業を立ち上げたいと考えるスタートアップ企業にとってはチャンスかもしれません。


いままでスタートアップ企業にとっての登竜門といえば米シリコンバレーと相場が決まっていましたが、時代とともにその流れも移りゆくものかもしれません。自動車業界が目指すCASE(=つながるクルマ、自動運転のクルマ、カーシェアリング、電気自動車)に関わるスタートアップ企業は、米国に留まらず中国にも多くが出現しています。


トヨタ自動車、ソフトバンクなども、CASE確立に向けた投資を中国にも大きく向けています。それは、新たな先端技術の背後に14億人ものマーケットが控えており、それを取り込まない理由がないからだと思います。米国経済が興隆を極めているといいましても、人口は3億人強にしか満たず中国のマーケット規模の大きさが際立ちます。


考えてもみれば、今回の米中貿易戦争の発端は、GDP世界第2位にまで追い上げてきた中国経済に対する米国側の危機意識の表れという見方もできます。中国は強かに日本へ歩み寄っていることが、今回の伊藤忠商事とCITICグループによるスタートアップ企業に対するファンドの組成から見て取れるでしょう。


日本にとって近隣諸国である中国との親交関係を前向きにとらえていくことは、必然なことかもしれません。来春には国賓として習近平国家主席が来日することも具体的な日程として上っています。ただし、金の力にものを言わせた近代資本主義の行き過ぎた覇権とならないことを願うばかりです。


今日もありがとうございます!
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