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もう一つのコンビニ、セイコーマート!

皆さん、おはようございます!
企業とは、なりふり構わず利益を追求すれば良いというものではなく、いかに社会に受け入れられているかということも大切だと思います。一企業市民として、利益と社会貢献の狭間の中で、バランスをとって行くことが経営というものでしょう。



全国チェーンの大手コンビニエンスストアを抑え、4年連続で顧客満足度が首位となった企業が北海道にあります。地域コンビニエンスストア「セイコーマート」を運営するセコマ(=札幌市)がその企業です。サービス産業生産性協議会によりますと、2011年度以降、2019年度も含めて8回もトップの座を射止めているそうです。


セブンーイレブン・ジャパンが2019年2月に1532億円の純利益を稼ぎ出しているのに対して、セコマは2018年12月期に5億円の純利益(=単体ベース)に過ぎません。しかしながら、過疎地にも積極出店し、北海道という地域に欠かせない社会インフラとして道民に受け入れられています。


道内ほぼ全ての市町村に1091店舗を展開するセコマの強さは、過疎地においてこそその異彩を放っています。一般的にコンビニ経営を成り立たせる為には、徒歩5分程度の商圏に3千人規模の人口が必要とされるのに対して、34ある人口3千人未満の自治体にコンビニは49店舗あり、そのうち36店舗をセコマが手掛けています。


2017年に新規出店したオホーツク海に面する上渚滑(=かみしょこつ、紋別市)店の近隣住民は900人程の過疎化に悩む地域の一つです。他にスーパーなどの競合店舗はなく、営業時間も午前6時半から午後9時までとコンビニにしては短いが、客単価は一般のコンビニの1.5倍から2倍もあり、開業以来収支トントンで営業を続けています。


大手コンビニエンスストアは、都市部の立地を奪い合い、24時間営業、店員の雇用難などで消耗戦を繰り広げているのと対照的です。セコマの人口減や過疎化の中でもしたたかに事業を展開する姿は、これからのコンビニエンスストアのあるべき姿を描く上で、ヒントになると思います。セコマのビジネスモデルの秘訣はどこにあるのでしょうか。


1つ目は、乳製品から、弁当、菓子、即席麺まで、セコマの道内にある20以上の工場で原料生産から一貫して手掛けるメーカー機能を持つ「自主生産モデル+販売モデル」コンビニエンスストアであることです。しかも、自主生産するPB商品の1割をグループ外のドラッグストアなどに卸しているというから驚きます。


大手コンビニチェーンもPB商品には力を入れていますが、いずれも生産を外部に委託しているのとは異なり、セコマは本当の意味でのSPA(=製造小売業)としてのビジネスモデルを追求していると言えます。自社で生産を行うとコスト管理を行い易く、メーカーとしても利益が稼げるメリットもあります。


2つ目は、物流機能も自社で抱えており、配送センターを出たトラックが各店に商品を届け、帰路に農業生産法人や食品工場から荷物をセンターに持ち帰っているそうです。一般的に、物流は片道のみ荷物を積載して、帰りは空でトラックを走らせることが多い中で、自社で物流をも手掛ける強みだと思います。


3つ目は、フランチャイズ(=FC)方式で店舗拡大を図ってきた大手コンビニチェーンとは異なり、セコマは約8割が直営店により運営が為されています。これが、いまのセコマの強みとなっており、FC店だとマニュアルによる画一的な運営を強いられますが、セコマでは地域の実情に応じて現場の裁量を大きくしています。


規模の経済による効率性を追求する大手フランチャイズチェーンは、実は地域性を無視して画一的な運営を行うために規模の不経済を起こしているということが出来ると思います。セコマの様に、店舗毎に部分最適を目指しますと、店舗毎の生産性が高まるというメリットがあることを如実に示している好例だと思います。


地域密着型のセコマの様な企業が、単品毎の在庫管理を行い、またお客様の購買履歴をデータベース化して精度の高い需要予測を出来るようになれば、非常に店舗効率のよいチェーン店舗展開が出来るようになると思います。それにも増して、更に顧客満足度が高まって行くことでしょう。


いまの大手企業の様に何でも自前主義にするという形骸化した発想とは異なり、過疎地域を多く抱える店舗の採算性を合わせるという発想から、メーカー機能、物流機能、店舗機能を内在化していますが、それは木目細かくコストコントロールを行うための結果です。
兎角、人間は常識に捉われがちですが、その常識を疑ってみることも必要でしょう。


今日もありがとうございます!
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