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アサヒビールの業績連動解任基準!

皆さん、おはようございます!
企業も成長し、それなりの規模になって来ますと、あらゆる意味で守りの姿勢になることは良く知られたところです。時代の変革期に企業に求められているのは、そうした守りの姿勢を打ち破り、失敗を恐れずに行動を起こして行く姿勢ではないでしょうか。



良い会社というものは、社会の課題を事業を通して解決して行こうとするものであり、企業の経済的価値と社会的価値を両立させている会社だと思います。いまの会社を見ていますと、経済的価値ばかりに目が行ってしまい、それを目的化しているところが多いことにまだまだ日本の企業は一皮も二皮も剥けなければいけないと感じます。


本来、企業は社員、取引先・債権者、株主、顧客、地域、社会、国、経営者といった全ての利害関係者(=ステークホルダー)の利益に資するように(=共通価値)事業を営む必要があると思います。その為には、やはり事業を通して社会の課題を解決する付加価値の高い事業を創出して行く必要があります。


企業の社会的価値を顧みず、経済的価値ばかりを追求すると、各々のステークホルダーの利益相反を起こすことにもなりかねません。ROE(=自己資本利益率)、ROIC(=投下資本利益率)、売上高といった定量的な目標だけを掲げたところで、株主の価値は高まりますが、必ずしも他のステークホルダーの価値は高まりません。


例えば、ROEやROICを高める為に、売上や利益を増やすのではなくコストを削減したらどうでしょう。それが人件費であったとしたら、社員と株主の利益は相反することになります。また、それが社会に貢献する様な商品を提供するものでなければ、顧客、地域、社会と株主の利益も相反することになるでしょう。


企業は、やはり社会の公器である為、自己の都合で企業価値(=株価)さえ高めれば良いという存在ではなく、全てのステークホルダーにとってメリットのある経済活動を行い続けなければならない存在だと思います。いまの日本での企業統治(=コーポレート・ガバナンス)の動向を見ていますと、株主の為の企業という意識が強すぎる様に思えます。


1990年代後半より、企業は株主のものであるという欧米流のガバナンスの考え方が日本にも入って来ており、最近では金融庁と東京証券取引所が2018年6月に企業統治指針を改定する中で欧米並みに企業価値を高めることまで踏み込んでいます。しかし、企業価値を高める為なら企業は形振り構わずで良いかというと社会的な責任をともないます。


アサヒビール(=アサヒビールホールディングス)では、業績不振が続けば社長兼最高経営責任者(=CEO)を解任することが出来る基準を設けたそうです。ROEやROIC、売上高といった定量的な経営目標が一定期間下回ると、指名委員会で審議し取締役会での検証を経て解任することが出来るようになるといいますから驚きです。


経営トップに権限を集中させ経営のスピード感を持たせながら経営の透明性を高めることが狙いにあり、確かに今までの経営目標が曖昧なまま、取締役会の合議制という名の集団指導体制とでもいう責任の所在の不明確さは回避されることになるでしょう。問題なのは、経営目標として何を定めるかが大切だと思います。


経営の責任の所在を明確にするところまでは良いですが、それが単に株主の利益を追求する為だけの短期的なROE、ROIC、売上高を高めることにあるとしたら、調和のとれた円滑な社会の枠組みを提供することができません。やはり企業は、長期的な視点で社会的価値と経済的価値の両方をバランス良く追求して行くべきでしょう。


2008年9月15日にリーマン・ショックが起り、金融経済を震撼とさせた記憶は新しいと思います。行き過ぎたマネーゲームともとれるお金でお金を生み出す錬金術が破綻したのは、利益の追求だけを目的とした効率至上主義の限界ということが出来ます。企業経営においても、同じことが言えると思います。


企業とは経営理念(=経営者が経営活動を通じて実現しようとして抱懐している信念、信条、理想、イデオロギーなど)を持って経済活動を行っていく存在です。経営理念なくして利益ばかりを追求したところで、企業の存在価値が問われます。また、利益なくして経営理念ばかりを追求したところで現実の経済の中では寝言と言われるでしょう。


必要なのは、経営理念と利益のバランスをとって社会に貢献することこそ企業の使命だと言えます。いまの多くの企業を見ていますと、小手先で利益ばかりを追い求めているのではないでしょうか。情報技術革新により時代が大きく変わろうとしている今だからこそ、企業は明確な経営目標を描いて行く必要があるのではないでしょうか。


今日もありがとうございます!
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