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事業性評価の必要性!

皆さん、おはようございます!
時代も大きく変わり、過去の枠組みや考え方を踏襲するだけでは、これからの社会を描き切れなくなっています。フレキシブルな発想で行動する為には、自らの専門性を極め × 自分の得意分野を深め、そこから生まれる可能性を広げ一瞬の風になることだと思います。



事業を行っていますと、どうしても銀行から運転資金や設備投資資金の融資を受けなけらばならない局面があります。商品を仕入れ、売上を計上してから、売掛金として回収するまでにそれなりに時間を要します。自己資金のみで手堅く行っても良いのですが、特に伸び盛りの会社などでは、折角の販売機会を逃すのであれば運転資金に頼るのも方法です。


この銀行から融資を受ける際に問題となるのが、決算書の内容や保証・担保の有無をもとに判断(=融資審査)されることが一般的であることです。過去の実績である定量的な決算書を見ても、これからの事業の成長性を理解することは出来ません。やはり経営者の将来的なビジョンを踏まえて、決算書を見て行かないと見誤ることになります。


また、銀行による過度な経営者の保証依存や不動産への担保設定は、銀行が事業の将来性に対して共感し判断していないことの裏返しで、融資した資金が返済されないリスクを一方的に経営者に負わせていることに他なりません。本来、事業として銀行業を営んでいるのであれば、投資に対する応分のリスクを負担すべきです。


どうしてその様になってしまったかと言いますと、金融行政のあり方に問題があったとしか考えられません。旧大蔵省の保護の下、金融機関は護送船団方式により都銀、地銀、相互銀行、信用金庫、信用組合と棲み分けが為され、信用秩序の維持という大義名分の中で、行政による銀行検査において厳格な貸出債権の審査が行われてきたからです。


その後、金融行政の方針も大きく変わり、2014年2月よりお客様である企業の役に立つ金融機関となることへと転換されました。具体的には、融資に際して決算書の内容や保証・担保だけで判断するのではなく、事業内容や成長可能性等も評価して行う「事業性評価融資」を行うように、金融庁から各銀行に対して指針の通達が為されています。


それから5年が経過していますが、長年、保証や担保による融資に慣れきってしまった銀行は、未だこの事業性評価融資に取り組んでいないところも多い状況にあります。なかなか古き慣習に染まった組織を変革して行くのは大変だと思います。失われた銀行員の事業評価への目利き力を取り戻すにも時間が掛ります。


その様な中で、金融庁が発表した地方銀行による調査の中で、融資先企業の経営者の個人保証に頼らない貸出が中小企業の円滑な事業承継につながったとする地銀が5割超に上っていることが明らかになっています。その他にも、お客様との信頼関係の強化につながった地銀が7割にも上るそうです。


この銀行による個人保証、不動産担保という悪しき慣習が、如何に融資先企業との信頼関係を歪めて来たかを如実に表す数値だと思います。それは、ゼロ金利政策により、また地方経済の減退に喘ぐ地方銀行にとって、自ら自分の金融事業の首を絞めていることを示すものであると思います。


後継者のいない中小企業の事業承継が進まない問題でネックとなっているのが、当該中小企業の借入金に対して経営者が連帯保証をしていることにあります。経営を承継する際に、銀行から事業を承継する者にこの連帯保証をも引き継ぐことを条件とされたら、普通の人でしたら尻込みするのがあたり前です。


銀行は、承継対象事業を公正に事業性評価を行い、問題のない事業については経営者の個人保証を解除すべきであり、それにより事業承継が増えることは当然のことだと思います。このことは、承継対象事業者の廃業により銀行の顧客が失われる負の連鎖を未然に防ぐための策として、銀行が事業として取り組まなければいけない経営課題だと思います。


事業承継に拘わらず、地域に新たな事業を創出したいのであれば、銀行がその新規事業に、よりコミットすることにより、創業者への個人保証を求めないことにも通じます。最近、銀行は、融資業務を効率化する為にAI(=人工知能)を活用した融資審査に着手していますが、これは企業の定量面で判断し、定性面を考慮しないことに留意すべきです。


当然に、融資の対象先企業の中には成長している企業ばかりではなりません。企業に応じて融資リスクに差異が出てくると思いますが、そこは金融工学の知見を活用して、融資先に応じて金利に格差を設ける他、精緻にポートフォリを組んで回避することも可能です。
AIとは、その様な場面において活用すべきであり、事業性評価が基本にあるべきです。


今日もありがとうございます!
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