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新たな社会の枠組み2!

皆さん、おはようございます!
私たちは、モノのない時代から安価で良質な商品を行き渡らせるために、規模の経済を追求してきました。これにより大量にモノをつくり大量に消費するという社会の枠組みが定着しました。いま生活者はその様な大衆向けのモノに飽き足りなくなっています。



いまの社会の枠組みは、工業化社会を前提とする枠組みから、生活者を主体とするパーソナルな社会へ変容する端境期にあることは間違いないと思います。既に多くのモノは生活者の手に行き渡り、生活者はモノを使う意味(=コト)を問いはじめています。自らのライフスタイルを充実させるために、どの様なコトを取捨選択すべきかというように。


大衆マーケットを対象とした大量生産大量消費型の工業化社会の枠組みは、現在も色濃く残っています。それはモノが不足する時代、言い方を変えればテレビコマーシャルなどのマス媒体を通じて一方的に情報を受け止めた消費者が、そこから少しでも生活を豊かにするモノの存在を知り、それを手にする枠組みであったと思います。


その様なモノを大衆商品と呼ぶのかもしれませんが、いま生活者が求めているのはその様な大衆を対象とした商品ではなく、自らのライフスタイルに彩りを添えてくれる差別化の図られた商品に移行しつつあります。単に大衆商品が厭だというのではなく、人には本来、趣味嗜好といった個性が存在するものであり、今まで選択の余地がなかった訳です。


大量にモノをつくることを前提とする工業化社会は、ヒト、モノ、カネといった膨大な資源を事業へ集中的に投下することを必要としますが、それ自体確かに1商品あたりのコストを逓減するという意味で理に叶っています。しかし、マスマーケットという前提条件を外して俯瞰しますと、その巨大さゆえに大きな規模の不経済に直面することになります。


そう巨大な生産供給体制を抱えてモノが売れなくなれば、その生産設備そのものがリスクに置き換わってしまう恐ろしさを内包していることになります。多くの大手家電メーカーが破綻して行った理由はそこにあります。新たなコトを開発できなかったばかりか、日進月歩の技術革新により、既存製品まで売れなくなってしまったことにあります。


いまモノからコトへ、マスからパーソナルへ社会の枠組みが歴史的転換期を迎えている背景には、やはり情報技術革新の存在抜きには考えられません。いままでは不特定多数の生活者を対象とするテレビ媒体が情報波及力として優位な立場にありましたが、いまはSNSなどの口コミサイトでの情報の方が波及力が高まっています。


また、テレビ媒体を利用するには資本力のある大手企業にしか出来ませんでしたが、SNSでしたら限りなく費用がゼロに近いので大手企業の規模の経済という牙城を脆くも揺るがすことになります。それは、大手企業でなくとも、生活者に受け入れられるコト商品を開発出来れば、規模の小さい企業であっても充分に互角に戦うことが出来ます。


いま、日用品市場で新興ブランドが大手ブランドの牙城を脅かしているそうです。生産は外部に委託して自らは新商品開発に特化する。そんな中小企業が現れはじめています。化粧品メーカーのフローフシ(東京都港区)、美容家電メーカーのI-ne(大阪市)、家電のバルミューダ(東京都武蔵野市)など、様々な業界に広がりはじめています。


これらの企業は、SNSを活用して宣伝を行っていますが、情報は瞬く間に拡散するそうです。生活者も商品購入時に参考とする情報源として、知人からの紹介が42%、口コミサイトなどが34%、テレビコマーシャルが32%と、遥かにテレビコマーシャルを上回っている実態が浮かび上がって来ます。


一方、大手企業も手を拱いている訳ではなく、やはりスモールマスという新たな分野に活路を見い出して試行錯誤を繰り返しているようです。花王やキリンビールなどが挙げられると思います。規模の利益を追求しながらダウンサイジングするという相矛盾した取り組みですが、この分野にも将来的にはAIなどの情報技術が入って来ることでしょう。


ただし、大手企業もいままでのようなスケールメリット一本槍のビジネスモデルは通用しなくなると思います。商品の価格訴求をするだけではなく、いかに生活者と共感できる商品を提供できるか、翻ってそれは企業としての哲学や理念が問われることになります。多様なスモールマス商品を抱えて、一貫性のある価値観を打ち立てられるかが問われます。


いま暫く、規模の経済を追求しながら如何にスモール経済に近付くかという試行錯誤が続くと思います。しかし、いままでのように圧倒的な優位性は薄れることでしょう。これからの時代、大きいことは良いことだから、小さいことは良いことだという社会の枠組みへ変化して行くと思います。この点はプロシューマが活躍しやすい時代かもしれませんね。


今日もありがとうございます!
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