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KDDIのフィンテック!

皆さん、おはようございます!
金融(=ファイナンス)と情報技術(=テクノロジー)の融合(=フィンテック)は成るべくして起きているということが出来ます。金融は数値を取り扱う事業であり、システム化との相性が良く、情報化社会の中で大きく変容して行くことでしょう。



通信キャリア大手のKDDIが三菱ファイナンシャル・グループ傘下のカブドットコム証券に最大1000億円規模の出資を行い、50%弱の株式シェアを握るそうです。
KDDIでは、5300万人という顧客基盤を活かして、証券、銀行、資産運用、決済といった金融サービスの収益化を急いでいます。


本業である通信事業の成長が頭打ちになると推測されるなか、新たな収益源として金融事業を据えて「通信会社からライフデザイン会社」へ変革することをその狙いとしています。既にネット銀行、保険、資産運用などの事業を立ち上げており、今般の証券事業を手中に納められれば、目標とする総合金融グループへと近づくことになります。


一見、通信事業と金融事業の融合はシナジー効果(=相互補完効果)が高い様に見受けます。通信事業も金融事業も社会のインフラであり、金融事業を通して蓄積される個人情報(=ビッグデータ)を活用して新しいサービスの展開が考えられるからです。しかし、GAFAなどと比べると顧客基盤の桁が一桁異なっている点も見過ごせません。


金融業には異業種からの参入が相次いでいます。LINEは野村証券と組んでLINE証券の設立準備を進めています。2020年を目途に銀行業への参入も計画しています。
ソフトバンクは、みずほ銀行と共同で人口知能(=AI)を活用して利用者の信用力を測る事業の準備を進めています。


金融事業への参入で先行した楽天は、EC(=電子商取引)の利用者を証券ビジネスに上手く誘導し、傘下の楽天証券の総合口座が300万を超えており、口座数では業界2位の大和証券に並びつつあるようです。669万人の顧客基盤を持つ丸井グループも100%出資の証券会社を設立しています。


データ分析が得意な通信やIT(=情報技術)大手にとって、金融データは消費行動を理解する為に不可欠な重要な領域だということが出来ます。ただし、グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン(=GAFA)が持つ顧客基盤が10~40億にも達している中で、各々の新規参入企業の顧客基盤は見劣りしていると言わざるを得ません。


ECやクラウドで先行する米アマゾンが金融事業に参集するのではないかと憶測される中で、既に決済事業、信用スコア事業を確立させており、新規参入各社が金融事業を成功することが出来るのか些かの疑問が残ります。本来、通信事業各社はIoT(=あらゆるものがインターネットに繋がる)に経営資源を集中していくべきではないかと思います。


IoTを通じて消費者の行動をAIにより分析して、新たなサービスを提供できる契機となります。また、それにより顧客基盤を更に増やして行くことが出来るでしょう。通信事業はネットワーク力がものをいう事業であり、海外の通信事業者を買収することが難しいなかで、IoT用デバイス(=端末)とセットで拡充を図っても良いでしょう。


一方、金融事業にはそれなりの蓄積したノウハウが必要である為、新規参入したところで事業を維持して行く為には一定の難しさもあると思います。本来、銀行や証券会社がコンテンツやソフトとしての金融事業のシステム化を図り、通信事業者やSNSなどの顧客基盤を持つ事業者と協業していくことが順当のように思います。


その意味では業界や企業といった垣根は低くなっていくのでしょうが、餅屋は餅屋ですので自らの本業から滲み出すような新規事業のあり方が望ましいと思います。通信各社であれば、一足飛びに金融事業に参入する前に、やはり顧客のデバイスから上がって来る情報についてAIを活用したビッグデータを強化して行く必要があるでしょう。


自らが持つ情報分析力という強みを確立させた上で、銀行や証券会社と提携してフィンテックを目指して行くことが本当の意味でのイノベーションへの近道の様に思えます。
金融事業は規制業種としての制約もあることでしょう。新規参入各社もあまり自前主義に拘らずに異なる業界の英知を持ち寄って変革を起こして頂ければと思います。


いよいよネット社会とリアル社会が融合する時がやって来たのでしょう。企業や個人のお金の流れを理解することが消費行動を理解する早道であることは間違いありません。
もっと自動車業界におけるCASEへの取り組みの様に、ネットとリアルが融合する協業体制がフィンテックの世界でも待たれるところではないでしょうか。


今日もありがとうございます!
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