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ラクスルのシェア物流!

皆さん、おはようございます!
経済の動脈とでもいうべき物流の世界で、生産性を向上させようとする動きが出はじめています。情報技術を活用してトラック輸送の分野でも運転手や車両を融通し合うシェアリングエコノミー(=共有経済)が現実のものとなっています。



日本の物流業界といえば、人手不足が深刻化しており、物流費の高騰にどの企業も頭を悩ませる喫緊の経営課題となっています。その様な状況にありながら、全国の運送会社の貨物トラックの平均的な積載効率は40%前後に低迷しているという矛盾を抱えています。この生産性の低さが更に物流費の高騰に拍車をかけています。


そこに目を付けたのが、名刺などの印刷物を中小印刷会社の空き時間をシェアして活用するプラットフォームを提供するIT企業のラクスルです。運送会社間で空車情報と荷受受注情報を共有するプラットフォームを新たに提供することで、運転手やトラックをシェアするサービスを2月から開始します。


この新しいサービスに、早くも物流大手のハマキョウレックスやコクヨロジテムが参加する表明をしており、ラクスルに出資するヤマトホールディングスも検討をしています。
国内には約6万の運送会社があり、その99%を中小企業が占めています。ラクスルとしては将来的にそのうち4万社への導入を目論んでいます。


運送会社では、荷主から配送依頼を受けると車両や運転手を手配する配車業務を行いますが、繁忙期や急な配送依頼を受けると自社配送だけで対応することが難しいため、外部の運送会社に配送を委託することが一般的です。しかし、その運送会社間の遣り取りは、未だに電話やファックスが主流となっており、業務上の大きな負担となっています。


一方、運送会社間でその様なアナログな遣り取りをしている為、中小運送会社では人員や車両が空いていても適切な配車ができず、荷物が満載されていない状況でもトラックを走らせるという矛盾を抱えています。それが、わが国の物流効率が上がらず、物流費の高騰という課題に跳ね返っているといえます。


ラクスルのシステムは、運送会社がネット上でお互いの受注案件と空車情報をリアルタイムで共有できるようになっています。それにより、運送会社は空いているトラックを融通できるのみならず、荷台が空いていれば他社の荷物を載せて積載率を高めることが出来ます。これにより運転手1人当りの売上高を業界平均に比べ5割高められるそうです。


いまの社会は高度に効率化しているとはいいましても、それは製造業をはじめとする一部の大手企業内部のことであり、社会全体の枠組みの中ではこの物流業界のように、まだまだ非効率な部分が多いと思います。特に企業間の連携が弱く、多くの中小企業が存在する業界では、このシェリングエコノミーは生産性の向上に寄与するものと思います。


ラクスルの創業事業である印刷業界もそうです。市場が急激に縮小している中で、多くの中小印刷会社は印刷機が空いている時間の稼働率を高め、生産性を向上することが課題となっています。その様ななかラクスルでは、印刷を依頼するお客様と印刷会社とを橋渡しするプラットフォームを創り、印刷会社の稼働率平準化とコスト削減に寄与しています。


ラクスルのプラットフォーム事業の見方を変えますと、単に業界内の稼働率の向上と平準化をさせるだけではなく、営業力(=受注力)の弱い中小企業に対して、荷物や印刷といった「仕事をシェア(≒ジョブシェア)」させるものと捉えることも可能だと思います。大手企業にはない、小回りを利かした事業が出来る様になります。


それは企業の量的な規模の追求が必ずしも経済的な優位性を物語るものではなく、規模の不経済を補完する機能としてプラットフォームが存在する意味は大きく、それを情報技術により実現しています。仕事をシェアすることにより、個人や零細事業者であっても容易に市場へ参入することが可能となります。


これからの時代のシェアリングエコノミー(=共有経済)は、企業という事業主体の壁を越えて事業に必要な資源を共有することにより、個別企業では実現できない生産性を高めることが出来る様になります。その結果、社会全体で費やすコストを逓減することが可能となり、持続可能な社会を創る為にも役立ちます。


また、仕事をシェアするということは、事業をシェアすることをも意味します。この事業のシェアが容易に可能となるようになりますと、企業と働き手との関係も変容し、多くの働き手が大手企業に偏重する働き方が変化する様になると思います。それは、将来の不透明な事業を立ち上げていく為には、企業の枠組みを越えた協業が不可欠だからです。


これからの企業は、変革し続けることが出来なければ成長が覚束なくなることでしょう。
情報技術の進展により、社会は大きく動き始めています。今までの常識に捉われることなく、柔軟に目の前の課題を解決していくことにより、結果としてイノベーションがやって来るのでしょう。その際に、ジョブ=事業シェアという考え方が見逃せません。


今日もありがとうございます!
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