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多摩信金と商工中金の連携!

皆さん、おはようございます!
堺屋太一氏の「知価革命」という本を35年ぶりに読み返しています。元通産官僚の出身で経済企画庁長官まで務めた経済評論家です。大局的に経済動向を俯瞰し、ロジカルにこれからの経済の行方を描き出すその裏には、人間の心理を読み抜いた奥深さがあると思います。



古巣の多摩信用金庫と商工組合中央金庫は、中小企業の事業再生・経営改善支援で業務協力契約を結んでいます。新型コロナウイルス禍で打撃を受けた取引先の経営改善・事業再生計画の策定を支援し、必要な資金を協調融資したり、過剰債務の解消を手伝ったりする目的です。産業経済の過渡期を迎え、中小企業の事業再構築が迫られる中で必要な動きでしょう。


具体的には、多摩信用金庫の店舗網や人財と商工中金の金融スキームや全国での企業再生ノウハウを相互補完する狙いです。コロナ禍に加えて資源高が長引くと、中小企業の経営は厳しくなることが想定されます。貸出債権を返済順位の低い劣後ローンに転換(=DDS)したり、株式に転換(=DES)する金融手法も活用しながら事業再生を支援する計画です。


これら商工中金の金融スキーム以外に必要な企業再生ノウハウがどれだけのものか不透明な部分もあります。多摩信用金庫としては融資による資金支援のみならず、商工中金の多様な再生手法も活用し、取引先の将来を見据えた支援に取り組みたいのでしょう。地域金融機関は全般的に取引先と密着した営業力を持ちますが、企業再生等のノウハウが不足してます。


多摩信用金庫と商工中金は2004年に業務協力、2019年にシンジケートローン(=協調融資)業務で協力し合う契約を結んできた経緯があります。謂わば、新たな収益基盤が欲しいホールセールバンクとしての商工中金と堅固な営業基盤を持つがノウハウ不足のリテールバンクとしての多摩信用金庫の相互に補完し合う関係が見出されたということでしょう。


いまでも多摩信用金庫の方々とはお付き合いがありますが、私が勤めていた時とは異なり非常にサラリーマンチックな優等生集団に変わっているという印象があります。当時はリテールバンクということでどぶ板営業を地で行くような泥臭い仕事であったことが思い返されます。金融機関としての基本的な技術は持ち得ていますが営業力に負うところが大きいです。


最近では、金融機関として非常に組織立った運営が為されており、多摩地区に根を張る大手企業の一員としてのプライドも見え隠れするようになっています。その様な企業意識も手伝って商工中金との提携の運びになったのでしょう。しかし、本当に問われるのは多摩信用金庫の営業基盤である多摩地区の中小企業に対しどれだけ付加価値を提供できるかでしょう。


仮に商工中金が持つとされる金融スキームや企業再生ノウハウを実際に活用しようとしても
、多摩信用金庫の職員がそのノウハウをキャッチアップ出来なければ意味がありません。商工中金の職員と一緒に同行営業を行うにしても、再生に必要な取引先の事業を見極める暗黙知でもある目利き力は、商工中金が負うことは出来ず多摩信用金庫の職員の能力如何です。


そもそも中小企業というものは、本業以外の経営管理や財務、人事、法務といった俗にいうバックオフィスというコストの掛る機能を持ち得ません。そこを手軽に安価で提供することが出来れば、中小経営者は事業運営に専念することが可能となります。そのプロセスの中に再生に必要な事業を見極めるエッセンスが散りばめられていることを忘れてはなりません。


今日もありがとうございます!
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