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サッポロが米クラフトビール買収!

皆さん、おはようございます!
リモートワークがすっかり定着している様に思います。私も用が足るのであれば、なるべくWeb会議を多用してます。しかし、流石にリアル会議でないとコミュニケーションが図れない場合もあります。信頼関係を築くにはリアルに顔を合わせる回数に比例するでしょう。



サッポロホールディングス(=HD)が、米クラフトビールメーカーのストーンブリューイングを1億6800万ドル(=約226億円)で買収しています。米国などで人気が高まっているクラフト市場を開拓するほか、自社ビールの製造拠点として活用することを狙いとしています。キリンやサントリーに比べて後塵を拝している企業がようやく動き出しました。


ストーンブリューイングは1996年にカリフォルニア州で創業した企業であり「ストーンIPA」というクラフトビールブランドで知られています。カリフォルニア州とバージニア州に醸造所を2ヶ所構え米国を中心に40ヶ国以上でクラフトビールを販売しています。2021年の米クラフトビール市場でシェア9位の実績を持つ比較的新しい企業と言えます。


今般、ストーンブリューイングの酒類卸事業は切り離し、クラフトビール類の製造販売事業と飲食店事業のみを取得する計画です。ストーンブリューイングから見れば、ビール類の製造販売事業は祖業である酒類卸事業と比べ、事業を拡大再生産していくのにブランド維持など手間ばかりが掛り、持て余していたから本業回帰し経営資源を集中させたいのでしょう。


サッポロHDとしては、ストーンブリューイングのクラフトビールを米国で販売するのと同時に、現地で販売が好調な「サッポロプレミアム」の製造拠点として活用したい考えで、流通はストーンブリューイングの酒類卸事業に任せ拡販を目指すものと思います。M&A戦略としては、単に市場を取得するのとは異なり、機能を獲得する玄人受けする案件でしょう。


同社が戦略地域と位置付けるカリフォルニア州など米西海岸には大規模な生産拠点がなく、サッポロベトナムから輸入したビールなどを販売していたそうです。輸送コストの負担が大きく、北米での生産拠点の確保がかねてからの課題になっていたそうです。国内ビール大手御三家に比べれば取得金額的にも地味なM&Aですが、その堅実さが返って目を引きます。


サッポロHDの連結売上高は5千億円に満たないですが、恵比寿や札幌の持てる好立地不動産のポテンシャルを背景に華々しく不動産事業を安定収益基盤として経営のバランスを取って来たという印象が拭い去れません。そんなサッポロHDが祖業である酒類事業で渋く打って出てきたという感じがします。地域を限定して生産拠点とブランドと市場を獲得します。


資本力にものを言わせグローバル市場を制覇する拝金主義的なM&Aよりも、自分たちで掌握できる範疇で事業成長に必要な事業資源を獲得していくというM&A戦略の方が地に足が付いている様に感じてしまうのは、結果的に必要最低限の買収価額で事業に必要な機能を取得して、それを礎として事業を成長させることで事業の経済価値を最大化できるからです。


本来M&Aには、投資目的と事業目的の二つがあると思っています。仮に事業会社であってもグローバル市場を獲りにいく様なM&Aは投資目的と私の目に映ります。それは、世界の競合企業との間で競り落とすプロセスの中で買収価額が吊り上げってしまいますし、シナジー効果があるとはいっても、それは所詮後付けのコンサバな理由づけに過ぎないからです。


今日もありがとうございます!
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